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HPVワクチン接種時に確認する事項

「HPVワクチン接種時には性交渉の有無を確認しなさい。」という厚労省からの指導

(魚拓)https://twitter.com/iina_kobe/status/1785224748055875871

そんなんあるかいなと思ったので、できる範囲で確認してみました。

まず、予診票。

様式第三 ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票


様式第四 ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票(保護者が同伴しない場合)


特にセンシティブな項目は「現在妊娠している可能性」の有無だけでしょうか。

次に、定期接種実施要領。
※太字は筆者による

定期接種実施要領(改正後全文)

https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/13337908/www.mhlw.go.jp/content/001092480.pdf

第1 総論
(略)
7 予防接種の実施計画
(1)予防接種の実施計画の策定については、次に掲げる事項に留意すること。
(略)
イ ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種については、積極的勧奨の差控えにより接種機会を逃した方に対して、公平な接種機会を確保する観点から、時限的に、従来の定期接種の対象年齢を超えて接種(以下「キャッチアップ接種」という。)を実施するため、「HPVワクチンのキャッチアップ接種の実施等について」(令和4年3月 18 日健健発 0318 第3号厚生労働省健康局健康課長通知)を参考に計画を策定すること。

9 予診票
(略)
ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種のうち、接種を受ける者に保護者が同伴する場合及び接種を受ける者が満 16 歳以上の場合については様式第三ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票(保護者が同伴する場合、受ける人が満 16 歳以上の場合)を、満 16 歳未満の接種を受ける者に保護者が同伴しない場合については様式第四ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票(保護者が同伴しない場合)を、(略)それぞれ参考にして予診票を作成すること。
 なお、満 16 歳以上であって未成年である者に対するヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(キャッチアップ接種を含む。)及び日本脳炎の定期接種については、各市町村の判断で、本人の同意の他、保護者に対して接種の意向を確認することは差し支えない。この場合であっても、満 16 歳以上の者は保護者の同意は必要無く、予防接種を受けるかどうかについて満 16 歳以上の者が自ら判断できることから、保護者の意向により判断することなく、本人の同意の有無によって接種の実施を判断するよう留意すること。ただし、仮に予診票の自署欄に保護者の自署が記載されていた場合であっても、本人が接種を受けることを同意していることについて明示的に確認できる場合には、自署欄の修正は不要である。

10 予診並びに予防接種不適当者及び予防接種要注意者
(略)
(2)個別接種については、原則、保護者の同伴が必要であること。
ただし、政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項による日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(いずれも 13 歳以上の者に接種する場合に限る。)において、あらかじめ、接種することの保護者の同意を予診票上の保護者自署欄にて確認できた者については、保護者の同伴を要しないものとする。
また、接種の実施に当たっては、被接種者本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するために、予診票に記載されている質問事項に対する回答に関する本人への問診を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に連絡するなどして接種への不適当要件の事実関係等を確認するための予診に努めること。
なお、被接種者が満 16 歳以上である場合は、この限りではない。

11 予防接種後副反応等に関する説明及び同意
 予診の際は、予防接種の有効性・安全性、予防接種後の通常起こり得る副反応及びまれに生じる重い副反応並びに予防接種健康被害救済制度について、定期接種の対象者又はその保護者がその内容を理解し得るよう適切な説明を行い、予防接種の実施に関して文書により同意を得た場合に限り接種を行うものとすること。
 ただし、政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項による日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(いずれも13 歳以上の者に接種する場合に限る。)において、保護者が接種の場に同伴しない場合には、予防接種の有効性・安全性、予防接種後の通常起こり得る副反応及びまれに生じる重い副反応並びに予防接種健康被害救済制度についての説明を事前に理解する必要があるため、様式第四ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票(保護者が同伴しない場合)を参考に、説明に関する情報を含有している予診票を作成した上で、事前に保護者に配布し、保護者がその内容に関する適切な説明を理解したこと及び予防接種の実施に同意することを当該予診票により確認できた場合に限り接種を行うものとすること。

12 接種時の注意
(1)予防接種を行うに当たっては、次に掲げる事項を遵守すること。
(略)
ク ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種にあっては、ワクチンの添付文書の記載に従って、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合は原則として上腕の三角筋部に、組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合は原則として上腕の三角筋部又は大腿四頭筋部に筋肉内注射する。
 組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合は原則として上腕の三角筋部に筋肉内注射することとし、当該部位への接種が困難な場合は、大腿前外側部への接種を考慮すること。なお、その際、臀部には接種しないこと。
 接種前に接種部位をアルコール消毒し、接種に際しては注射針の先端が血管内に入っていないことを確認すること。同一部位への反復しての接種は避けること。

13 A類疾病の定期接種を集団接種で実施する際の注意事項
(略)
(5)保護者の同伴要件
 集団接種については、原則、保護者の同伴が必要であること。
 ただし、政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項による日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(いずれも 13 歳以上の者に接種する場合に限る。)において、あらかじめ、接種することの保護者の同意を予診票上の保護者自署欄にて確認できた者については、保護者の同伴を要しないものとする。
 また、接種の実施に当たっては、被接種者本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するために、予診票に記載されている質問事項に対する回答内容に関する本人への問診を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に連絡するなどして接種への不適当要件の事実関係等を確認するための予診に努めること。
 なお、被接種者が満 16 歳以上である場合は、この限りではない。
(略)
(7)女性に対する接種の注意事項
 政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項で定める日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種対象者のうち、13 歳以上の女性への接種に当たっては、妊娠中若しくは妊娠している可能性がある場合には原則接種しないこととし、予防接種の有益性が危険性を上回ると判断した場合のみ接種できる。このため、接種医は、入念な予診が尽くされるよう、予診票に記載された内容だけで判断せず、必ず被接種者本人に、口頭で記載事実の確認を行うこと。
 また、その際、被接種者本人が事実を話しやすいような環境づくりに努めるとともに、本人のプライバシーに十分配慮すること。

第2 各論
(略)
7 ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種
(1)次に掲げる者については、ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に広範な疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状が発生する場合があるため、予診に当たっては、これらの者の接種について慎重な判断が行われるよう留意すること。
ア 外傷等を契機として、原因不明の疼痛が続いたことがある者
イ 他のワクチンを含めて以前にワクチンを接種した際に激しい疼痛や四肢のしびれが生じたことのある者
(2)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に当たっては、ワクチンを接種する目的、副反応等について、十分な説明を行った上で、かかりつけ医など被接種者が安心して予防接種を受けられる医療機関で行うこと。
(3)キャッチアップ接種の実施に当たっては、次のことに留意すること。
ア 令和4年4月1日から令和7年3月 31 日までの3年間の期間中に実施し、平成9年4月2日から平成 18 年4月1日までの間に生まれた女子を対象者とすること。
また、期間中に定期接種の対象から新たに外れる世代(平成 18 年4月2日から平成 19 年4月1日までの間に生まれた女子及び平成 19 年4月2日から平成 20 年4月1日までの間に生まれた女子)についても、順次、対象者とすること。
なお、過去に1回又は2回のワクチン接種歴があり、長期にわたり接種を中断していた者についても、接種間隔にかかわらず、対象者とすること。その際、接種を初回からやり直すことなく、残りの回数の接種(2、3回目又は3回目)を行うこと。
イ 従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を実施するため、次に掲げるワクチンの安全性、免疫原性及び有効性に関する事項についても、十分な説明を行うこと。
(ア) ヒトパピローマウイルス感染症の子宮病変に対するワクチンの有効性は、概ね 16 歳以下の接種で最も有効性が高いものの、20 歳頃の初回接種までは一定程度の有効性が保たれること。さらに、性交経験がない場合はそれ以上の年齢についても一定程度の有効性があることが示されていること。
(イ) 従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を実施した場合においても、明らかな安全性の懸念は示されていないこと。
(4)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合には、13 歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間を標準的な接種期間とし、標準的な接種方法として、1月の間隔をおいて2回行った後、1回目の注射から6月の間隔をおいて1回行うこと。ただし、当該方法をとることができない場合は、1月以上の間隔をおいて2回行った後、1回目の注射から5月以上、かつ2回目の注射から2月半以上の間隔をおいて1回行うこと。
キャッチアップ接種においては、1回目の注射から行う場合は、前段の方法により接種を行うこと。2回目の注射から行い、当該方法をとることができない場合は、1回目の注射から1月以上の間隔をおいて2回目を行った後、1回目の注射から5月以上、かつ2回目の注射から2月半以上の間隔をおいて3回目を行うこと。3回目の注射から行う場合は、上記の間隔を全て満たすことを確認のうえ、可能な限り速やかに行うこと。
(5)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に、組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合には、13 歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間を標準的な接種期間とし、標準的な接種方法として、2月の間隔をおいて2回行った後、1回目の注射から6月の間隔をおいて1回行うこと。ただし、当該方法をとることができない場合は、1月以上の間隔をおいて2回行った後、2回目の注射から3月以上の間隔をおいて1回行うこと。
キャッチアップ接種においては、1回目の注射から行う場合は、前段の方法により接種を行うこと。2回目の注射から行い、当該方法をとることができない場合は、1回目の注射から1月以上の間隔をおいて2回目を行った後、2回目の注射から3月以上の間隔をおいて3回目を行うこと。3回目の注射から行う場合は、上記の間隔を全て満たすことを確認のうえ、可能な限り速やかに行うこと。
(6)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に、組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合には、13 歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間を標準的な接種期間とし、以下のいずれかの方法(アに掲げる方法については、第1回目の接種時に 12 歳となる日の属する年度の初日から 15 歳に至るまでの間にある者に対して当該予防接種を行う場合に限る。)により行うものとする。
ア 標準的な接種方法として、6月の間隔をおいて2回行うこと。ただし、当該方法をとることができない場合は、5月以上の間隔をおいて2回行うこと。
イ 標準的な接種方法として、2月の間隔をおいて2回行った後、1回目の注射から6月の間隔をおいて1回行うこと。ただし、当該方法をとることができない場合は、1月以上の間隔をおいて2回行った後、2回目の注射から3月以上の間隔をおいて1回行うこと。
(7)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に当たっては、同一の者には、過去に接種歴のあるワクチンと同一の種類のワクチンを使用することを原則とするが、同一の者が組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン又は組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンと組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを接種した場合の安全性、免疫原性及び有効性は一定程度明らかになっていることを踏まえ、市町村長が、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン又は組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用して1回目又は2回目までの接種を終了した者の接種について、(4)又は(5)に掲げる方法によることができないやむを得ない事情があると認める場合には、以下のいずれかの方法により接種を実施して差し支えないこととする。
ア 1回目に組換え沈降2価ヒトパピローマ様粒子ワクチン又は組換え沈降4価ヒトパピローマ様粒子ワクチンを接種した者が、1回目の注射から2月の間隔をおいて組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを1回筋肉内に注射した後、1回目の注射から6月の間隔をおいて同ワクチンを1回注射するものとし、接種量は毎回 0.5 ミリリットルとする方法。ただし、当該方法をとることができない場合は、1回目の注射から1月以上の間隔をおいて組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを1回筋肉内に注射した後、2回目の注射から3月以上の間隔をおいて同ワクチンを1回筋肉内に注射し、接種量は毎回 0.5 ミリリットルとすることとする。
イ 1回目及び2回目に組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン又は組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを接種した者が、1回目の注射から6月の間隔をおいて組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを1回筋肉内に注射し、接種量は 0.5 ミリリットルとする方法。ただし、当該方法をとることができない場合は、2回目の注射から3月以上の間隔をおいて組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを1回筋肉内に注射し、接種量は0.5 ミリリットルとすることとする。
(8)キャッチアップ接種において、過去に接種したヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンの種類が不明である場合、接種を実施する医療機関の医師と被接種者とで十分に相談した上で、接種するワクチンの種類を選択すること。この場合、結果として、異なる種類のワクチンが接種される可能性があるため、同一の者が異なるワクチンを接種した場合の安全性、免疫原性及び有効性についても、十分な説明を行うこと。さらに、過去に接種したワクチンの種類が不明である旨が予診票に記載されていることを確認すること。
(9)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に血管迷走神経反射として失神があらわれることがあるので、失神による転倒等を防止するため、注射後の移動の際には、保護者又は医療従事者が腕を持つなどして付き添うようにし、接種後 30 分程度、体重を預けられるような場所で座らせるなどした上で、なるべく立ち上がらないように指導し、被接種者の状態を観察する必要があること。
(10)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に広範な疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状が発生した場合、次に掲げる事項について適切に対応すること。
ア 法の規定による副反応疑い報告の必要性の検討
イ 当該予防接種以降のヒトパピローマウイルス感染症の予防接種を行わないことの検討
ウ 神経学的・免疫学的な鑑別診断及び適切な治療が可能な医療機関の紹介
(11)ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種について、平成 26 年4月1日より前に、旧規則に規定する接種の間隔を超えて行った接種であって、実施規則に規定する予防接種に相当する接種を受けた者は、医師の判断と保護者の同意に基づき、既に接種した回数分の定期接種を受けたものとしてみなすことができること。
(12)ヒトパピローマウイルス感染症は性感染症であること等から、感染予防や、がん検診を受診することの必要性について、併せて説明することが望ましい。

太字部分を簡単にまとめると、
 ・予診をしっかり行いましょう
 ・集団接種の際はプライバシーに配慮しましょう
 ・20歳を超えていても一定程度有効である
 ・定期接種対象外でも安全性の懸念はない
 ・検診も大切
と、こうなります。

以上より、HPVワクチン接種時に使用する予診票や定期接種実施要領において、冒頭記載のような「厚労省からの指導」は確認できませんでした。

●参考

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