'95 till Infinity 037

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 029 】


 そうやって俺が独り待っていた何かは俺があのパートを見る度に必ず訪れた。

 ある時は音もなくやってきて気づくと横にいたこともあったし、壁を時間をかけてすり抜けてきたこともあった。

 それがどうやって来たかなんてことはどうでもよく、大事なのはそれが毎回必ず俺のところにやってきたということ。俺がその何かを求めて何回も何回も、本当に擦り切れるほどそのビデオを見たということ。

 あの頃の俺は、このビデオに限らずカセットテープでも何でも本当に擦り切れるまで繰り返し繰り返し見たり聴いたりしていた。

 繰り返し聴いて伸びてしまったテープは徐々にピッチを落としたレコードのように聞こえだす。

 それでも、バックパックの中に他にテープがないものだから、俺は家に帰るまで聴き続けて、しまいには伸びきったテープはウォークマンの中で切れてしまう。

 もちろん、あの頃はDVDもなければ、滑りに出るのにディスクマンなんてもったいなくて持っていけなかったけど、それでも今の俺はあの頃ほど音楽や映像を繰り返し聴いたり見たりしているだろうか?

noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。