飲食140字小説まとめ④
【No.-215 ゆめいっぱい】
「ちびまる子ちゃんの食卓を囲む場面って、いつも一人足りない気がする」日曜の夜にアニメを観ながら彼女が呟く。幼少の頃から側にあった光景だから、自分も家族になった気分なのだろう。幸せそうにご飯を食べる姿を見てお腹が減る。憂鬱な月曜日も笑うために。手を合わせて、いただきます。
【No.919 不正交業】
歯列矯正で控えていたガムを、終わってからも噛んでいないことに気付く。瓶に詰めたノミが蓋を外しても飛び出さないように、私も条件付けされてしまったのだろう。禁煙か、コンプレックスの克服か。何のために始めたのか思い出せずにいた。綺麗になった歯並びを、いびつになった笑顔で隠す。
【No.920 夢見るあの子】
幸せな夢を見れる枕を購入する。大金持ちになって、おいしいものを食べて、とても幸せな時間だ。でも彼女は「別に普通の夢だったな」と残念がっていた。「あなたとコーヒーを飲んで、読書して、絵を描きに散歩する。いつもの、普通のことでしょ」と笑う。まだ、僕は夢の中なのかもしれない。
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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652