見出し画像

映画日記『アイ・アム まきもと』

週一で映画館に足を運ぶ新習慣の第11弾。今回は、2013年公開のイギリス・イタリア合作映画『おみおくりの作法』を原作に描いたヒューマンドラマ『アイ・アム まきもと』。

主演は大人計画の阿部サダヲさん。監督は『舞妓Haaaan!!!』(2007年)以来、阿部さんと4度目のタッグとなる水田伸生さん。元々が日本テレビのディレクターで、夏ドラマ『初恋の悪魔』の演出も手掛けていました。

人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」として役所で働く男が、ある老人のおみおくりに身寄りや知人を集めようと奔走する(cinematodayより引用)。

ある老人(宇崎竜童さん)の娘役に満島ひかりさん、主人公に振り回される刑事役に松下洸平さん。他にも、松尾スズキさん、宮沢りえさん、國村隼さんらが共演。

以下、ネタバレ多少あります。

偶然ながら、前回映画館で見た『川っぺりムコリッタ』にも、孤独死した人のその後を担当する市役所の人が出てきて。しかも、どちらも満島さんが重要キャストで出演。こうしたテーマが被るのは、そういう人たちが増加しているという社会的背景があるからなのでしょう。

通常、身寄りのない孤独死なら、遺体が傷んでいることもあり、火葬場へ直葬でしょうが、牧本はポリシーがあるようで、死者のために葬儀をあげたい(自費)、なるべく近親者に葬儀に出て欲しい、遺骨を拒否されても心変わりを期待して、机の下に長期保管し、なかなか無縁者の墓に納骨しない。

そんな変人キャラの牧本が起こす騒動で、前半は予告編のとおりコミカル。松下さんは、これまでの出演作品の中で最も怒鳴っているものの、人の言うことを聞かない牧本のきょとん顔との落差で笑ってしまいます。

上層部により「おみおくり係」の廃止が決定。牧本が最後の仕事となる、老人の近親者や知人に話を聴いて回るあたりは、一種のロードムービー風でもあり。嫌われ者と思っていた老人の意外な素顔とその人生が、少しづつ明らかとなり…。

終盤、あっと驚く展開がありますが、伏線が割とハッキリと何度も示されていたので、やっぱりなという感じでした。ラスト、牧本が起こした小さな奇跡、そして松下が最後に吐いたセリフとは。

切なくも、どこか優しい気持ちになれる映画でした。



この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?