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化学・環境・サイエンス系トピック

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私が書いた化学・環境等に関する記事をまとめています。理系トピックがメインになると思います。
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化学の最前線:マテリアルズ・インフォマティクス(MI)がもたらす新しい可能性

化学の最前線:マテリアルズ・インフォマティクス(MI)がもたらす新しい可能性

近年、化学界隈で「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」という言葉をよく耳にするようになりました。
本テキストでは、そのマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の概要、および企業での活用事例をまとめました。

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは実際にMIをネット検索してみると、おおよそ下記のような説明がされています。

要するに、「今までのデータを有効活用して、なるべく実験や試作を減

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マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の事例紹介

マテリアルズ・インフォマティクス(MI)の事例紹介

前回の記事では、化学業界で話題になっているマテリアルズインフォマティクス(MI)の概要を簡単に解説しました。

ざっくり説明すると、「AIやビッグデータの技術を利用して、材料開発を効率化させる」といったものです。
今回は、そのMIに取り組む企業や団体の具体的事例を、海外も含めてご紹介します。

MIの事例:日本の大学・独立行政法人まず、材料関係で有力な独立行政法人である国立研究開発法人、物質・材料

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環境フレンドリーかつ強固な材料、セルロースナノファイバーの技術動向

環境フレンドリーかつ強固な材料、セルロースナノファイバーの技術動向

本記事では、素材としてのポテンシャルやエコロジーといった観点で話題の「セルロースナノファイバー(CNF)」の大まかな概要と、最近の技術動向について執筆しました。

セルロースナノファイバーとはセルロースナノファイバーは木材から得られる木材繊維(パルプ)を1ミクロンの数百分の一以下のナノオーダーにまで高度にナノ化(微細化)した世界最先端のバイオマス素材です。セルロースナノファイバーは植物繊維由来であ

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マイクロプラスチックに対する疑問

マイクロプラスチックに対する疑問

最近ニュースを賑わせている「マイクロプラスチック」問題。もちろん、プラスチックごみ自体は生物が誤飲して死んでしまったり、景観的にも悪いなど悪影響ばかりです。ですが、マイクロプラスチックはちょっと違うのでは…?という疑問から、本記事ではマイクロプラについて少しまとめつつ、私の意見を述べさせていただきました。

マイクロプラスチックとはマイクロプラスチックとは直径5ミリメートル以下の小さなプラスチック

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生分解性プラスチックの概要と製品事例

マイクロプラスチックや海洋ゴミ問題が注目されている昨今、生分解性プラスチックが注目されており、長い間研究が進められています。
本記事ではこの生分解性プラスチックの概要と、現在どのような商品に使われているかをまとめました。

生分解性プラスチックとは?生分解性プラスチックとは、非常に安定で環境中に残存しやすい一般的なプラスチックに対して、生物の力によって環境中で分解されるプラスチックです。

生分解

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世界最大級の米国化学メーカー、デュポンとダウの統合分社化後の各社概要

世界最大級の米国化学メーカー、デュポンとダウの統合分社化後の各社概要

本記事では米国トップ化学メーカーの二社であったダウ社とデュポン社の世紀の合併、およびその後の分社後に誕生した各3社についてまとめました。

ダウ&デュポンの合併・分社化 概要2015年、アメリカの大手化学メーカーであるダウ社とデュポン社の合併が発表され、世界中に衝撃が走りました。発表からおよそ1年半後の2017年9月、世界最大の化学メーカーとしてダウ・デュポン社が誕生しました。売上規模は約860億

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なぜ化学メーカーのDXが遅れているのか

なぜ化学メーカーのDXが遅れているのか

世界的なデジタライゼーションの波が押し寄せる中で、IT化が遅れている日本でも徐々にデジタルトランスフォーメーションが浸透してきています。
しかし、まだまだIT導入が進んでいない企業や業界も少なくありません。化学メーカーをはじめとする化学業界でも例外ではなく、中小企業を筆頭にデジタル化に遅れている企業が数多くあります。

そこで、本記事ではこうしたデジタルトランスフォーメーション(DX)が遅れている

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使い捨てプラスチックが有料化?プラスチック資源循環促進法の概要

使い捨てプラスチックが有料化?プラスチック資源循環促進法の概要

世界的に環境意識が高まる中、2021年6月4日にプラスチックごみの削減とリサイクル促進を目的とする「プラスチックに係る資源環境の促進等に関する法律(通称:プラスチック資源循環促進法)」が参院本会議で成立しました。

本記事ではこのプラスチック資源循環促進法の概要と具体的な法律の中身、および我々の生活にどのような影響があるかをまとめました。

本法の概要この法律はサーキュラーエコノミーの達成を目指す

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