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世の中のアパレル事情

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長い事アパレルで仕事していて感じた事っていうか、まあお仕事のお話。問題叩き潰しがメイン業務だったので、わりと端から端まで並列処理してた日々。 まあ実際のところ、アパレルから離れ… もっと読む
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2018年5月の記事一覧

アパレル業で私が知ってる事-Intro-

アパレル業の流れって、まあ割と複雑です。洗練されていないっていうか、洗練のしようがないっていうか。なのでアパレルって他業界から見れば「もっと上手くやれるんじゃね?」的に見えるかも知れません。 現実問題として、一定条件をクリアすることで「もっと上手くやれる」のは事実です。ユニクロなんかは「上手くやって」ますから。 でも実のところ「上手くやってる」会社ってユニクロしか知らないんですよね。それくらい「上手くやる」のが困難な業界でもあったりします。 じゃあなんで「上手くやる」の

アパレル業界で私が知ってること(小売篇)その1:店頭売価的なお話。

アパレル業界っていうか、違う業界から見てアパレルの最大の特徴は(例外もありますが)マークダウン販売ってのがわりと頻繁に行われるって事でしょう。なんで?的な意味で不思議に思ってる人も多いかと思います。 実は戦後とかから見れば現在はかなり早期化しちゃってる傾向があります。笑い話に近いのですが、私の亡くなった祖母なんかは「マークダウンはお盆頃」だと長い事思ってたりしてました。 実際のところ、例えば夏物なんかは本格的に暑くなる前、ぶっちゃけ7月頭からスタートしてたりします。7月頭

アパレル業界で私が知ってること(小売篇)その2:取引条件とかについて

その1で「積極的に小売に関わっている」的な話をしましたが、その前にアパレル業が小売に卸すときの主な取引条件を先に紹介します。主には1:買取 2:委託 3:消化 の3種類です。ちなみに「委託」っていうのはわりかしアパレル特有の使い方で、いわゆる「委託販売」とは全く違います。とりあえず、順番に説明していきます。 1:買取 身も蓋もない言い方すれば、普通の卸売です。でもアパレルの場合はその中でも「完全買取(事前発注—生産前予約みたいな感じ—した商品すべてを買い取る)」というのと「

アパレル業界で私が知ってること(小売篇)その3:迷走開始―バブル後のさらに数年後

さて、実のところ、バブルが弾けてから数年は、アパレル会社的には、実のところ「売上取れねーな、やべーな」程度で、まあ私がいた会社なんかは特に黒字は黒字(しかもそれなりに)でしたから、まあいいか的なところがあったんだと思います。でも、その間に実はかなり大きな(今になって過去を振り返れば本当に大きな)出来事がありました。 最初に来たのは大店法緩和です。まあある意味ではこれが最大のターニングポイントだったのかも知れませんけど。 他の企業の細かい事までは知りませんが、少なくとも私が

アパレル業界で私が知ってること(小売篇)その4:アパレル会社でのPOSの活用とSPA的な仕組みの構築のお話。

と、まあ年末(多分2002年)に社長から特命(なのか?雑談の延長って気もしてますけど)を受けて、数か月で簡単なレポートを作成しました。多少の問題点はあったようですが、基本的にはそれがその後の基本方針になって、実際にSPA型の商売へと大きく舵取りを行う事になりまして、ぶっちゃけ1年はBPR的に考えた時の組織とか部門の業務内容変更やら、そんなんをサブに、今までやってた業務は一応他に人がいないのでそのまま継続してたりとかしてました。この頃システム部門で仲が良い外注のシステム屋がいて

アパレル業界で私が知ってること(小売篇)その5:シーズンのお話とか

アパレル業界の小売でなにが面倒って、シーズンが変化したら売るものが変わるって事です。このせいで販売期間も決まっちゃいますし、当然売れ筋商品も変わります。さらに言っちゃえば、気候の変化だけじゃなくて、年間行事とかで変わるものが含まれてるって事です。 とある人(昔一緒に仕事した、っていうか当時の社長)によれば「一番激しいのはレディースのスプリングコート」だそうです。メインの販売期間は1週間らしいです。春分の日を境にバタっと止まるそうです。QR(Quick Responce)なん

アパレル業界で私が知ってること(企画篇)その1:生産量とかのお話。

いきなりもいきなりなんですが、商売事ですから、生産量が先にある程度決まらないと企画はちょっとできにくいです。いや、単体とかで企画はできなくもないんですけど、そもそもどれくらい作るのかが決まらないと製品化は無理です。当たり前なんですけどね。 実は、卸売りの場合、商品の生産量は展示会とかの発注量の積み上げですから企画そのものはできるっちゃできます。生産できない分は製品化しないから無駄になるってだけです。 まあ、無駄になるってだけなら百歩譲ってあきらめりゃいいだけなんですが、例

アパレル業界で私が知ってること(企画篇)その2:企画準備とか展示会とか

前回、生産量はプロパー販売予算とプロパー消化率から決めるって書きましたが、じゃあ実際に企画ってどういう感じで進めるのよってお話をしようかと思ってたりします。基本的にはシーズン単位で企画しますが、例えば初夏物と盛夏物とは同時に企画してました。梅春と春、秋と冬と防寒はセットです。これはわたしがいた会社の展示会が年3回でそういう括りで行われていたからで、実は会社によって違ったりします。例えば会社によっては「防寒展」とかしてたりします。 大ざっぱな流れとしては下の感じになります。