Alexander Stankov

ブルガリア出身。東京大学大学院卒。在日10年以上。47都道府県全てに足を運び、日本全国…

Alexander Stankov

ブルガリア出身。東京大学大学院卒。在日10年以上。47都道府県全てに足を運び、日本全国の魅力を知り尽くすインバウンド観光の専門家。地方行政や中央省庁のアドバイザー業務に従事し、日本の知られざる魅力を世界に発信中。通訳案内士。インバウンド実務主任者。日英を含む、4か国語が堪能。

最近の記事

インバウンドサミット2022から:「立ちはだかる壁」インバウンドはもういらないと言われてしまったら?

7月2日に開催された「インバウンドサミット2022」は、120名を超える登壇者と4000名を超えるリアルタイム視聴者が集まり、これまで最大規模の業界サミットとなりました。このイベントに参加する機会を与えてくれたMATCHA Inc.の素晴らしいチームに、深く感謝したいと思います。前夜祭のパーティーと合わせて、全体の企画・運営は非の打ち所がなく完璧でした。インバウンドサミットの成功については、こちらで詳しくご紹介しています。 私が登壇したパネルは、「立ちはだかる壁インバウンド

    • インバウンド復活にパンデミックがもたらした最悪の課題

      日本の国境を外国人旅行者に開くだけで、インバウンドが徐々に復活していくと考えている人が多いようですが、実はもっと大きな壁があると思います。新型コロナウイルスが引き起こしたのは、政治的な目的のために行われる過剰な規制や意味不明の措置だけではありません。新型コロナウイルスがさらに引き起こしたのは、社会的不安や活発な社会交流への恐怖感です。特に「外」との関わりへの恐怖感が著しくなりました。ここで私が主張しているのは、世界的に有名で日本精神を代表する「おもてなし」の遍在が危うくなって

      • オンライン体験:バーチャルトラベルのメリットはリスクを上回るか?

        2020年春の緊急事態宣伝の際、日本では学校が一時的に閉鎖されましたが、オンライン授業やオンライン教育は、何ヶ月もロックダウンされていたのヨーロッパのようには普及しませんでした。学校教育をビデオチャットで行うことについては、すでに専門家から多くの懸念が表明されていますが、バーチャルツアーなど、最近登場したオンライン体験が、懸念なく広く賞賛され、前向きに受け入れられています。確かに、グローバルパンデミックの悪影響を最も大きく受けたのは旅行業界ですが、オンラインツアーやアクティビ

        • 国内トップレベルのスキー場で国際的な需要に応える

          日本の数あるスキー場の中でも、海外からのスキー旅行者を魅了するトップクラスのスキー場がいくつかあります。ニセコ(2019年に倶知安と合わせて551,693人の外国人延べ宿泊者)、白馬(2019年に278,835人の外国人延べ宿泊者)、野沢温泉(2018年に138,460人の外国人延べ宿泊者)は、グローバルレベルのサービスを提供することを目指している有名なスキーリゾートの例です(※)。 通常はオーストラリアから多くのスキーファンが訪れますが、2020-2021年冬シーズンには

        インバウンドサミット2022から:「立ちはだかる壁」インバウンドはもういらないと言われてしまったら?

          持続可能な観光とSDGs(岐阜県の視察)

          空港や港がないにもかかわらず、岐阜県は2019年の訪日外国人旅行者数が944,644人(※)と、日本で最も人気のある旅行先トップ15に入っています。飛騨エリアの北部が最も多くの観光客を集めており、岐阜県内では高山や白川郷が人気の旅行先となっています。もちろん、岐阜には他にも様々なジャンルの魅力がたくさんあり、私もこの6年間で多くの魅力的な体験の視察や造成に携わらせていただくという光栄に浴してきました。最近では、岐阜県では、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に焦点をあてた体験

          持続可能な観光とSDGs(岐阜県の視察)

          ワーケーションが草の根レベルで直面する課題

          最近、日本では様々な自治体がワーケーションを推進しており、魅力的なワーケションパッケージ作りに力を入れています。しかし、前回の記事で述べたように、多くの企画はトップダウンで行われており、利用者の具体的なニーズを考慮していないのが現状です。 先日、ワーケーション訪問者数の増加を目指している新潟県のある地域を訪問した際に、ターゲットユーザーがワーケーション制度の実用化に不安を持っているだけでなく、現地の事業者が持っているイメージもさまざまであることを発見しました。 例えば、宿泊

          ワーケーションが草の根レベルで直面する課題

          インバウンド富裕層旅行者向けコンテンツに盛り込むべき基本的な要素

          観光庁が重視しているのは、海外からの富裕層旅行者の増加です。現在、対象となる「ラグジュアリー」(一人当たりの旅行代金が100万円以上)に該当する外国人旅行者は約1%で、インバウンド全体の消費額の11.5%を占めています。確かに、1%という数字はかなり低い数字であり、より多くのラグジュアリー旅行者を日本に誘致しようとする政策は正しいです。しかし、他のターゲット市場と同様に、提供するコンテンツやサービスが旅行者のニーズにマッチしたものでなければならないと思います。富裕層の旅行者は

          インバウンド富裕層旅行者向けコンテンツに盛り込むべき基本的な要素

          フルーツ狩り体験と、それに適したインバウンドターゲット市場

          日本には一年を通じて美味しいフルーツが種類豊富にあり、地元農家の農業技術は本当に素晴らしいものがあります。トップクラスの甘みがあるフルーツの栽培に力を入れてきた結果、多くのブランド品が生まれ、各地で「フルーツ王国」として発展してきました。近年では、外国人観光客を受け入れてフルーツ狩りや試食などの体験を行う農家も増えてきています。しかし、このようなコンテンツはターゲットがやや特定されていたり、マーケット分析が不十分なため、プロモーションがうまくいかないことも多いです。 結論か

          フルーツ狩り体験と、それに適したインバウンドターゲット市場

          単なる紅葉鑑賞から地域へお金を落とす工夫

          秋も深まり、美しい紅葉に魅了され多くの人が日本各地を訪れています。 今年はCOVID-19の影響で、京都や鎌倉にある名勝のお寺でも、庭園の賑わいはあまり聞かないかもしれません。しかし、コロナ渦の復興後も、地方自治体は人気のある紅葉スポットへの訪問者数を増やすことを目指すだけでなく、この自然の美しさからマネタイズする、新たな方法を模索することを目指すべきではないでしょうか。 近年、海外からの旅行者は日本の素晴らしい紅葉に特に魅了されていますが、桜の季節とは異なって、紅葉狩り

          単なる紅葉鑑賞から地域へお金を落とす工夫

          ふるさと納税クラウドファンディングによる地域観光活性化の可能性

          近年、寄付者と地方自治体の関係性がより密接になるなど、様々な理由から、「ふるさと納税クラウドファンディング(通称:行政系クラウドファンディング)」が注目されています。 ・ 寄付者は、どのようなプロジェクトなのか、どのような貢献が現実的な解決につながるのかをしっかり吟味した上で、支援するプロジェクトを選択することができます。 ・ 各プロジェクトが資金調達の目標達成にどれだけ近づいているかが、よりわかりやすくなりました。 ・ 税制上の優遇措置や地産地消の返礼品を得るための制度は変

          ふるさと納税クラウドファンディングによる地域観光活性化の可能性

          インバウンド観光の成功事例:海の京都エリアの視察を通して

          「最近訪問した中でどの地域が面白かったですか?」とよく聞かれることがあります。いたる所で感じた素晴らしい発見や私なりの考察を皆さまと共有できたらと思います。 私が大きな魅力と高いポテンシャルを感じ続けているエリアの1つに、「海の京都」(京丹後市、宮津市、綾部市、福知山市、舞鶴市、与謝野郡伊根町を含む京都府北部)があります。 海の京都地域には日本の食文化の源流があると言われています。(日本で初めて稲作が行われ、また、初期の酒造りがこの地で興ったとされる)貴重な伝統文化が生き

          インバウンド観光の成功事例:海の京都エリアの視察を通して

          ワーケーション vs Digital Nomad

          COVID-19は、これまでに経験したことのない渡航制限をもたらしました。封鎖、国境閉鎖、長い検疫期間、飛行機や電車などの公共交通機関での移動への恐怖......これらすべてが半年足らずで突然起こったのです。しかし、旅行者の習慣がこれほど劇的に変わると言って本当に正しいでしょうか?ワクチンが発明され、世界中で徹底して投与されるまで、旅行することへの恐怖が続くと本当に言えるのでしょうか?単純な答えはノーであり、旅行への衝動が再び戻ってきていることを示す兆候はたくさんあります。

          ワーケーション vs Digital Nomad