取材でゆく旅は面白い

仕事で旅に出ることがあります。
僕は基本的にデザイナーなので、ただのデザイナーとして取材に同行することは稀です。
でも、アート・ディレクターとして、あるいはプロジェクトの責任者であるエディトリアル・ディレクターとして同行することがあります。
取材での旅には、編集者やライターやフォトグラファーなどの仲間が同行するので、必然的に楽しい旅になります。
役割分担があり、信頼してるクリエイターの集団になるわけだから、多くの現場は痒い所に手が届く、それぞれのクリエイティブに専念できて、なおかつ自発的な助け合いが生まれるとってもポジティブなクリエイションに満ちた取材現場となるのですね。
そんな現場が僕は大好きなんです。

どこか学生時代の文化祭に似ていて、みんなでいいものにしようぜ！という有形無形のパッションが流れてて、目指す結果に揺るぎないビジョンで向かってる感がとても心地いいのです。
仕事って、本来そうありたいものですよね。

インタビューという仕事の面白さ

ロケがメインで、インタビューも必須という仕事は、その取材対象が有名人であろうとなかろうと楽しい取材になります。
特にインタビューをするということは、その人を深く知りたいための取材なわけですから、それが匠であっても、思考であっても、開発であっても、記事にするためにピックアップされた対象者の話す言葉の内容が面白くないはずがないのですね。

特にその人が歩いてきた道と、成し遂げてきたこと、その推進に必要不可欠だった意思やビジョンを語る本人の言葉には、必ず心震えるエナジーと感謝の心で生み出される良質なバイブスが流れているものです。
誠実な思想、とでもいうか、僕らが何かを信じて進んでゆくためのヒントのようなもの、とでもいうか、そういうことが満載されていて、それを聞いて誌面を作ってデザインしてゆくというのは本当に楽しい仕事なんですよね。笑

過去、三浦知良さんや石井竜也さんなど、幾人ものセレブレーションにロングインタビューをして誌面デザインをしたことがありますが、それはそれは楽しい仕事でした。
インタビューして記事にする、というだけでなく、そのアートディレクションの全権を握って行うデザインは本当に刺激的でフリーダムな興奮に溢れた仕事たちでした。
しかし、町工場の社長や、メーカーの社長や役職の担当者のお話も、そんなセレブリティたち以上に面白く刺激的で感動と共感を与えてくれるものなんですね。

例えば昨年の夏、和歌山ではしらす工場を取材して、会社の取り組みをインタビューで語っていただきましたし、長野や八戸でも他メーカーの工場を取材し、製品に対する取り組みや、その歴史、想いなどを語っていただく行脚をしたんですね。
どの現場でも、作るものや歴史は違うのに、語られるそれらの言葉たちは、今でも心に残るパワーと輝きに溢れていました。

僕らが食卓で普通に食べているモノの裏で営まれている、製品に対する厳しい品質管理や美味しさの追求は、会社の収益自体に大きな影響を与えうるものではあります。
しかし、その語る言葉が伝えてくれるのは、それよりも大事な根底に横たわる、食や人への愛というか、美味しくて安全なものを届けたい！という尊いほどにまっすぐな想いだったりするのですね。

そして、何と言っても、箕島のあの高台から見た紀伊水道の美しさや、安曇野の建物を出た瞬間から迎えてくれるあの澄んだ空気とアルプスの稜線や、何もないけど何もない八戸や、みんなで夜に繰り出した街の食べ物の美味しさは、それらの仕事を忘れられないものにしてくれますからね。笑

人の言葉の持つ美しい思念

人の言葉には特別なパワーがあります。
そして、物事に真摯に向き合い、志を持って取り組んできた人の言葉には特別な命が吹き込まれているものです。
そういう言葉の数々を聞き出して、紡いで、整えて、多くの人に伝えてゆくこと。
そういう仕事をずっとやって行きたいと思うのです。

テキストとインタビューはライターの腕の見せ所ですね。

写真はフォトグラファーの腕の見せ所だし。

ムービーもムービーディレクターの腕の見せ所です。

そしてアートディレクションとデザインは僕の腕の見せ所となります。

チームで参上して、たくさんの言葉を紡いで、美しくも力強い誌面や動画を創って行きたいと思います。
そして、人の言葉の持つ美しい思念を、出来るだけ多くの人に伝えることができたらいいなと思うのです。

グラフィック・インタビュー・マガジン。
実現しましょうか。笑