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リーダーに必要な6つの能力と鍛え方

9月の中旬からUC San Diego Extensionでプロジェクトマネジメントを勉強しています。早いものであっという間にFall Quarterが終わってしまいました。期末試験等も落ち着いたので、自分自身の備忘も兼ねて、特に面白かったと感じた現地の授業から、学んだことを簡単にまとめました。

私の学んでいるコース(Business Program Project Management with Lean Six Sigma)では、6ヶ月間(2クオーター)でプロジェクトマネジメントの知識を体系的に学ぶ授業や、リーダーシップやチームコンセプトについて学べる授業、また2クオーター目からは興味に応じて選択科目も選べます。今回ご紹介するのは、必修授業のTransformational Leadershipより。(マネジメントの経験もない、ひよっこ社会人のリーダーシップ論なので、あくまで参考程度にしていただけると...)

授業は最初の3週間で「信頼」のコンセプトについて学んだ上で各種アセスメントで自分の現状を把握し、残りの6週間で各能力のコンセプトの理解とそれを鍛えるトレーニングをするというものでした。(日本語のソースがないので、あくまで私の理解のもとの意訳となります)

リーダーに必要な6つの能力

Greg Goates教授によると、リーダーシップに必要な6つの能力(Six Streams of Leadership Competence Model)は以下となります。各能力を鍛えることでリーダーシップ力を養うことができます。

1. Somatic Intelligence(自身の身体への理解力)
2. Emotional Intelligence(自身の感情への理解力)
3. Relational Intelligence(他者と関わる能力)
4. Cognitive Intelligence(情報を統合して認識・理解する能力)
5. Spiritual Intelligence(他者のために奉仕する能力)
6. Integrational Intelligence(一貫性を保つ能力)

1. Somatic Intelligence(自身の身体への理解力)

「人を導くリーダーたるものまずは己の理解から」というコンセプトの1つ目。まずは自分自身の身体の状態を正確に把握できているかが、良いリーダーへの第一歩です。自身の身体の状態を把握した上で、健康状態を維持しましょう。もしリーダーが見るからに不健康だったら、チームメンバーとしては、信頼以前に心配してしまいます。

推奨されていたトレーニングには以下のようなものがありました。
・ 週3回以上の有酸素運動と1回以上の筋力トレーニング
・ メディテーション(瞑想):ヨガ、座禅などでも可

要は日頃の運動で健康を維持し、メディテーションによって身体の状態を常に見つめましょうということです。授業の時間にBody Scanというメディテーションをやりましたが、体調の変化に気づく良いきっかけになると感じました。スティーブ・ジョブズやイチローも禅を積極的に実践していたことで知られています。

2. Emotional Intelligence(自身の感情への理解力)

「人を導くリーダーたるものまずは己の理解から」というコンセプトの2つ目。そもそも自分の精神状態を把握できていない、自分の感情が起伏する時の特徴等の自身の感情への理解力が低いリーダーが、チームメンバーや各関係者の気持ちを考え、最良のコミュニケーションが取れるでしょうか。他者との接し方を気にする以前に、まずは自分自身と徹底的に向き合うことが大切です。

推奨されていたトレーニングには以下のようなものがありました。
・ 1日のうちで自分の感情が大きく動いたと感じた時に、その出来事、きっかけなどをメモする
・ 1日のうちで、気持ちやエネルギーを注いだ出来事をメモする

私も上記のような感情の変化をスマホにさっとメモし、1日の最後に短い日記にまとめていました。これ以外にもEmotional Intelligenceを鍛える方法はたくさんありますので、気になる方はこちらの本をおすすめいたします。(残念ながら翻訳版はないようでした)

Emotional Intelligence 2.0  - Travis Bradberry

3. Relational Intelligence(他者と関わる能力)

6つの中で最もコンセプトの理解がしやすかったのがこちら。他者との関わりの中で、良い相互関係を築き、維持する能力です。よく相手の話を聴くことができ(傾聴力)、様々な個人や集団と深いコミュニケーションができる必要があります。さらに、必要に応じて妥協できること、相手の視点で物事を観察し、相手の気持ちになって考えられる能力を指します。信頼関係を築く上で最も重要な要素であるように思います。本当に優秀と感じるリーダーは、メンバーからも上層部からも信頼が厚く、各関係者とも良好な関係を築いているように感じます。

授業では、Deep Listening等のトレーニングをしましたが、この能力に関しては日本語でも関連書籍等がたくさんありますので、具体的なトレーニングは割愛します。

4. Cognitive Intelligence(情報を統合して認識・理解する能力)

あらゆる物事・情報を観察・分析し、首尾一貫性のある理解へと結びつける能力です。情報の溢れる現代社会において、非常に重要な能力だと感じたのがこちらです。例えば、会社の経営層からの大量のオペレーションや情報を、リーダーが可能な限り首尾一貫した内容としてメンバーに伝える能力がこれに当たると思います。個人の場合では、スマホが選んで通知してくれたニュースの情報だけで終わらせるのではなく、その他のニュースやSNS等のあらゆる情報から世の中の出来事を分析し、正確に把握する能力などもCognitive Intelligenceに該当すると思います。

授業ではグループワークでこの能力をトレーニングしました。その内容は、とある企業に関する情報が大量に記載されたプリントが各自に配られ、5~10分間で読み込み、理解し、30分間でグループで要約し、プレゼン資料を作って、即席のプレゼンをする、というトレーニングを体験しました。(そもそも英語力の問題もあり撃沈しましたが、かなり刺激になりました)

5. Spiritual Intelligence(他者のために奉仕する能力)

6つの能力の中で最もコンセプトの理解に苦労したのがこちらです。スピリチュアルというと、日本人の感覚だと「霊的な」とか、それこそ「(日本語で)スピリチュアルな」という理解しかできず、英和辞書とかを見ても大概はこの意味しか載っていません。しかし、英語圏の人々はこのSpiritualという言葉を「ボランティア精神」みたいな意味合いで使うようです。Spiritual Intelligenceとは、自分自身や家族のためだけでなく、全ての人々の利益となるような人生を送ることに専念できる能力です。相手のことを想う部分はRelational Intelligenceに共通しますが、こちらは精神的に奉仕するマインドを養うことに焦点を当てているように感じます。

Spiritual Intelligenceの事例として、アメリカ企業の社会奉仕活動の記事を読んだため、日本企業で言うCSRに近いのかと感じましたが、日本企業のCSRはある種のイメージアップみたいな側面が見え隠れしている場面も多々あるため、やはり少し違うと感じました。ちなみに、アメリカでは、CSO(Chief Spiritual Officer)を役員に置く事例もでてきているとのことです。

授業では、それぞれが割り当てられた物品を購入して持ち寄り、ホームレス救援キットを作るという活動をしました。ボランティア精神のあるアメリカらしい授業だなあと良い意味でカルチャーショックを感じた瞬間でした。この能力を日本人が養うためには、やはり積極的にボランティア活動に参加するのがベストかと思います。

6. Integrational Intelligence(一貫性を保つ能力)

最後は、これまで紹介した5つの能力を統合して活用する能力です。そして、自分自身の言動、思想、行動や人間関係は、全て一貫した価値観や学び、コミットメントのもとにあり、その一貫性を保つ能力です。その他の能力にも共通しますが、常に他者から、または自身自身で継続して学ぶ姿勢を持つことが重要です。

学習やトレーニングを継続することは山あり谷あり、なかなか難しいですが、この記事が少しでも皆さんの参考になったのなら幸いです。

最後に、授業で紹介されたTED Talksの動画より、リーダーシップについて、指揮者のBenjamin Zanderがプレゼンしている動画をご紹介します。情熱的で非常に感銘を受けたプレゼンです。ぜひご覧ください。

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