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昔話にはしたくない

何度眠って、何度目が覚めても
あの人やあの子やみんなは、もういない。
季節は巡って別れから1年が経とうとしている。
私が今日まで抱えてきた憂鬱の根っこにあるのは
「あの頃を昔話にはしたくない」
というものだった。
うまく表せる言葉が見つからなくて
今までただ「悲しい、憂鬱だ」としか
言えなかったけれど、きっとそうなんだ。
時間は前にしか進んでくれないから
これからもどんどん遠ざかっていって、
そのうち振り返っても見えなくなって
昔話になる、あの結末を放置したまま。
過ぎたことを気にしたってしょうがない
思い返したって苦しむだけだ
だからもう考えるのも、思い出すのも辞めよう。
そうやって見ない振りをして
この9月を過ごしてきた
だってあまりにも苦し過ぎたから。
前の記事にあるけれど、
8月は将来に悩み苦しんで強い鬱だった。
ここで過去のことまで持ち出したらもう、
自分はとうとう駄目になってしまうと思った。



だけど、なんでこんなにも虚しいんだろう
あの場所に行けなくなっても
あの仕事をもうできなくても
みんなに会えなくても
あの子が居なくても
あの人が居なくても
私は平気になっていくしかない。
その誰1人とも和解や再会も叶わぬまま
みんなが居ないのを当たり前にしていく
その現実が、時が経つほどに色濃くなる。
確かにみんな、そこに居たのに。


過去から目を逸らすようにしたら
気の沈む度合いがすこし浅くなった。
でもひどく味気ない毎日だ
力が抜けて、そのまま入らなくなっている。
過去に取り返しのつかない後悔を抱えた人間は
どうやって生きていけばいいんだろう。
過去からは目を逸らし続けて、
同じ過ちは繰り返さないようにだけ
気をつけながら、ただ
前に前に進んでいくしか術はないのか。
将来はもちろんだけど、
なによりも「あの頃」をどうにかしたいのに。



これだけの時間が経った今、
はっきりと強く思ってしまう
少しでも傷が生々しいうちに
もう一度、あの人に会いたい。
あの頃の私にとってあなたは、あの場所は、
大げさじゃなく私の世界の全てだった。
あなたが私の基準であり、憧れだった。
お互いを深く知っていった過程で
あなたの綺麗でもなんでもない所も見たけれど、その歪ささえ愛おしく思っていました。
そして反対に、私も同じくらい醜いところを
あなたの前に曝け出した。曝け出せた。
まるで伝わらなかっただろうけど
最後別れるその瞬間も、ずっと私は
あなたに敬意があったし、好きでした。



あの日々を失って
全く平気になって(して)しまった後の私が
会いに行ったって、もう遅いんじゃないかと
ふと怖くなる。
「会いたい人には、会えるうちに会っておけ」
という言葉があるけれど、それには
「会いたいと思える内に会っておけ」
という意味も含まれている気がする。
永遠に「誰かに会いたい」と強く思い続けるのは無理かもしれない
その想いを抱え続けて生きるのは、相当苦しい。
やっと心の整理がついた、
だけどまだ平気にはなれない今のうちに。



私に、会いにいく資格はありますか?
確かに深く傷つけられたからとはいえ
私もあなたに、あの子に傷つけ返したこと
に変わりはない。
やっぱりそんな資格私にはないのか。
それともその前に、もう手遅れでしょうか
今更ですか


まだみんなで笑い合っていた1年前を
忘れていません。
毎日、あぁもう居ないんだよなって思います。
独りよがりでもどん底まで苦しんで、
上手くできないことが多くて
本当にみっともなくて、情けないばかりです。
だけどその間にも、生々しい傷は少しずつ瘡蓋、傷跡として形を変え、残ろうとしています。
1人で情けないなりにも必死にやってきたこと、
これから頑張っていかなきゃと思っていることもあります。
1年経つ今だから、そう言いきることができる。
あなたは、みんなはどう過ごしていますか?
お元気ですか?
誰にもどこにも届かないこの本音と後悔は、
いつか。






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