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エッセイ 貧血

貧血なのだそう。

なんだか貧血っぽい。とかではなく、血液検査の結果が数値をもってそう示していて、正真正銘の貧血なのである。

そう言われれば、貧血っぽい。

自覚症状は特に無かったし、お医者さんにそう言われた時は首を傾げていたけれど、「貧血だ」と証明されてしまえば、たちまち日常生活に「貧血」が幅を利かせてくる。
そう言えば、立ち上がった時にややふわっとする。なぜか急に気分が悪くなる時がある。動いているものを見ると目が回りそうな感覚になる時がたまにある。なんだか頭がふわふわしている。なんだか眠い。
もうこうなったらなんでも貧血のせいな気がしてくる。首を傾げていた時までは、「自覚症は無い」と言っていたのに、今やなんでも自覚したものが症状な気がしてくるのだから、人間なんていい加減な生き物だなと思う。
もうこうなったら、最近強迫症状が強いのも、スマホをあまり見る気になれなくなったのも、送ったメールの返信が来ないのも、ちょっと風邪っぽいのも、みんな貧血のせいなのだろう。なんてやつだ、貧血というやつは。

ちなみに、胃が弱い私は、胃に負担のかかる鉄剤を飲むことは勧められないとのことで、食事療法で鉄分を摂ることになった。
ふむふむ、鉄分を摂る食事は?とネットで早速調べてみると、レバーを筆頭に動物性の食材に含まれる「ヘム鉄」という成分を摂るのが良いらしい。ん?「非ヘム鉄」という緑黄色野菜などに含まれる成分も有効だが、それだけでは体への吸収率が低いため、ヘム鉄と一緒に摂ることで吸収率が上がって良いらしい。そしてなんだか分からんが、葉酸やビタミンB群も一緒に摂るのが有効で、そもそも鉄分は吸収率が低いため、胃での吸収率を上げるために胃酸分泌を促す食材も一緒に摂る必要があるのだとか。
それらは当然、肉類から貝、魚介類、豆類や野菜に果物、乳製品色々なものを食べないと満足に摂取できないのである。
要するに、「バランスの取れた食事を3食規則正しく食べなさい」ということなのだそう。

病人然とした気持ちだったのが、急に「一人の大人としてしっかりしなさい」と言われた気持ちになった。それと同時に、日本人はなんて理に叶った食事をしていたのだろう、と思わず感心してしまった。

とりあえず3ヶ月、食事療法を頑張らねばならない。でもバランスの良い食事を適量食べるというのは、わりと難しく、もう既に諦めかけているのだけれど。
でも昨日、いつもはあるもので簡単に済ます昼ごはんのところを、栄養を摂るためにちゃちゃっと軽く料理をし、ししゃもを焼いていた時は、「ああ、こんな生活が普通になるのは憧れるなぁ。」と思った。これを機に、生活も見直すか?なんて。

でもそのあと昼食を済ませて出かける準備をしていたら、前髪がめちゃくちゃ魚臭くなってしまっていて、ちょっと萎えたけど、まぁそれも生活である。