診察で話すことがない人に向けた医師に痛みや辛さをうまく伝えるコツ
あなたは病院にいったときに、医師と話すことがなくて悩んでいませんか。
病院では前回の受診日から今日までの体調変化を、短時間で伝えるという高度な会話術も求められますよね。
次の点を習慣化するだけで、痛みや辛さを簡単に医師に伝えることができます。
・痛みや辛さは数字化する
・「記録表」を使用する
この2点を意識するだけ。
自分の体調を口頭で伝えても、正確に医師は判断できないでしょう。
今回のnoteでは、医師に痛みや辛さを伝えるコツや記録表の書き方をまとめています。
病院に行っても医師と話すことがなくて困っている人は活用してみてください。
医師に痛みや辛さをうまく伝えるのは難しい
診察室に入り開口一番、医師に聞かれて困ることといえば
「〇〇さん、その後はいかがですか?」
「〇〇さん、調子はどうですか?」
という文言ではないでしょうか。
返答に困り「う~ん。変化ないですねぇ~」と言ってしまい…
医師も「そうですか…。じゃぁ…次回の予約ですが…」
で終わってしまうことも度々あると思います。
医師が求めている痛みや辛さの表現方法とは
外来では、具合が悪い中、短い診察時間の中で「何が辛くて、どうしたいのか」を正確に伝えなければいけません。
そこで医師が最低限知りたい項目をまとめてみました。
①いつから?
②どんな風になると?
③どのように体調が変化した?
④強さは?
⑤部位は?
⑥どのくらい続くのか?
①いつから?
・三日前から
・寒いとき
・雨が降ったとき
②どんな風になると?
・起き上がるとき
・横になるとき
・腰掛けるとき
③どのように体調が変化した?
・眠れない
・歩くことが難しい
・お風呂に入ることができない
・ご飯が食べられない
④部位は?
・腰
・胸
・足
など…
⑤痛みの強さは?
・ズキズキ
・キリキリ
・チクチク
⑥どのくらい続くのか?
・酷くなる
・数分で緩和される
・持続した痛みがある
限られた時間で説明する会話術が必要
日本の外来診察時間は平均6~7分間です。
例をあげてみます。
9時~12時30分までの診察で、医師が外来患者を30人診察した場合
(一般的なクリニックの場合、午前中で30人程度は診察しています)
外来一人当たりの診察時間:7分間という計算になりますよね。
この短い6~7分間の診察時間!
診察中は医師との会話、内診、診察、検査を得て、さらに処方箋発行と続きます。
特に高齢者は、女性の声が聞き取りにくい傾向があります。
話すことがない人は自分の体調を紙にまとめてみよう
がんの人は自分の体調を「身の置き所がない」と表現します。
先が見えない苦しさから、この世にいることすら嫌になるそうです。
身の置き場がないほど痛みやだるさがある人ほど「話すことがない」と訴えるのは当たり前なのです。
医師と話すことがない人は、以下の項目に沿ってメモを書いておくと良いでしょう。
気になることは「口頭」ではなく「紙」に書き出すことが大切です。
痛みや辛さを数字化して見やすさを重視しよう
痛みや辛さを的確に伝えるためには、数値化して見やすく管理すること。
がんの場合「昨日、今日の状態」よりも、医師は長期的なデータが知りたいはずです。
だからといってダラダラ書いた日記を見せるわけにもいきません。
簡単に伝わる方法はないのかと考えた結果、一週間分の痛みや辛さを数字で表現することにしました。
痛みや辛さを数字で表す記録表
サンプル画像を印刷したい方は以下をダウンロードしてください。
記録表の原本は記事の最後に添付しています。
印刷する際はA4用紙をおすすめします。
記録表は縦書きのバーチカルタイプですので、上から下に向かって書いてください。
では詳しい記録表の書き方をご説明します。
※今回の記事は私の祖母の経験を書いています。母親が現役看護師のため、看護師監修のもと作成しました。痛みの場所や副作用は個人差があります。ご注意ください。
(痛みの場所)
痛みの場所も日によって異なります。
腰、左足など痛む部位を記載してください。
(痛みの強さ)
時間に応じての痛みを0~10段階の数字で表します。
あとは時間に応じて「1日6時の痛み→2」「2日18時の痛み→5」と書きましょう。
(定期の痛み止め)
体調が悪くなってくると「副作用」なのか「がん」によるものなのか分からなくなります。
定期の痛み止め、頓服薬、副作用といった内容を「記録表」に記入することも大切です。
記録表の書き方です。
たとえば「1回1錠 1日2回」のお薬であれば「1日に2錠」飲む計算になります。
記録表には、全量の「2錠/日」と記載してくださいね。
(追加したレスキュー)
祖母は定期の痛み止め以外に、頓服薬に医療用麻薬を併用していました。
がんの疼痛コントロールは「頓服薬」と呼ばず「レスキュー薬」と呼んでいます。
では記録表の書き方です。
痛みや辛さ以外に医療用麻薬の副作用もある
(お通じの有無)(お通じの硬さ)(お通じの量)
祖母は医師から懸念される医療用麻薬の副作用として「便秘、吐き気、眠気」の3つがありました。
記録表に「お通じ」「吐き気」「眠気」の項目を追加しています。
お通じにかんしては、がんによるものではなく、医療用麻薬が便秘になりやすいとのこと。副作用は「便秘薬」を服用することで対処しました。
ただし、便秘薬は量が定まらず、毎日服用する時もあれば、体調を見ながら増やしたり減らしたりします。
家族が便の状態を見ながら、薬の量を調節するしかありません。
便秘薬は細かい調節が必要な場合もあるため記録表にきちんと記入しておきましょう。
(食欲)
がんの人は、少しずつ食欲が低下します。
「死」が近づいている目安になるため、食欲の「有無」も欠かせない項目になります。
無理をさせずに本人が希望するものを食べさせてください。
食欲の低下は、ごく自然な現象です。家族側は慌てずに心の準備を整えていきましょう。
嘔吐や吐き気が続いている場合は、医師の判断で点滴をする場合があります。
(吐き気の程度)(吐き気止め)
医療用麻薬は飲み始めに「吐き気」が多く見られるようです。
祖母は「吐き気止め」で対処可能でした。
吐き気止めも定期薬とレスキュー薬の2種類を服用しているので2列になっています。ここは用法に応じて使い分けてください。
(眠気の頻度)(睡眠の状況)
眠気については、病気が進行している可能性もあります。
記録表には、当てはまる項目に〇をつけて、睡眠の状況をチェックしてください。
強い眠気が続く場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
(MEMO)
MEMO欄には気が付いたことを記入してください。体温を記載しても構いません。
体調面では「活気がない」「ツンツンとした痛みが続いている」と記入しても良いでしょう。
痛みを数字で表すことで、どのようなときに体調が良いのか、具合が悪くなるのか把握しやすくなります。
正確に医師に伝えるためにも「記録表」は必要だと感じました。
「記録表」はウィクリー手帳と同じような使い方を推進します。
紙を節約したい人は、体調が悪い時だけ活用しても良いでしょう。
医療用麻薬の管理も大切
医療用麻薬は、管理を怠ると「麻薬及び向精神薬取締法」に違反しますので注意してください。
痛みや辛さがあると日常生活が送れなくなる
祖母を見ていると、やはりがんの痛みは耐えられないようです。
・突発的な強い痛み
・持続的に続く強い痛み
・一日中苦しい痛み
と様々な痛みを経験しました。
体に痛みがあると
・痛みによる睡眠不足
・食欲不振
・脂汗が出る
・体のエネルギーを使う
・何も考えられなくなる
など肉体的・精神的にも影響が出てきます。
痛みは薬によりコントロール可能と説明がありましたが、副作用もあるので服用は慎重を要します。
ただ、一つだけ言えるのは痛みや辛さは「本人」しか分からないということ。黙っていても治るものではないので、痛みや辛さは、誰かが聞かなければ分からないのです。
自分が訴えなければ、誰も分からない。
薬が効いているのかも、本人にしか分からない。
だから痛みや辛さを忘れないように簡潔に記録しておくこと。これが重要と思いました。
最後に…医師にうまく伝えるポイントは2つ!
医師に痛みや辛さをうまく伝えるポイントは2つです。
・痛みや辛さは数字化する
・「記録表」を持参する
口頭で伝えるのは簡潔で良い反面、前回の受診日から今日までの暗記力が求められます。
がん末期は医療用麻薬を服用するため、徹底した自己管理も必要です。
今回、紹介した記事は、通院以外に訪問診療や訪問看護の記録用にも活用できます。
ぜひ、今回の記事を参考に「記録表」を活用してみてください。
以下でファイルダウンロードができます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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