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もやもやを晴らしてくれた『よかれと思ってやったのに――男たちの「失敗学」入門/清田隆之』


『よかれと思ってやったのに――男たちの「失敗学」入門』を読んだ。読みたいなーと思っていたのにずっと読めていなかった。そういう本がたくさんある。
読みたい本を同時に読めるだけの自分の分身がほしいと思う頻度が高くなっている。
実際に出会ってやりとりをしたことがある男性、SNSなどネット見る男性の言動を見ていて「な、なぜ…!?」となることも多いので、なぜそういった行動になるのかそれらに行き着く思考回路ってどうなっているのかに興味があった。
読んでみると「それな!」「マジでそれ」「そうなんよ…」のオンパレードである。
この本はどんな本なのかというと『はじめに』のところで以下のように書いている。


本書は、女性たちから聞いてきた「男に対する不満や疑問」の数々を紹介しながら、我々男性が抱える問題点について考えていくというものです。主に男性読者へ向け、「自分の内面を見つめ、”心の身だしなみチェック”」ができるメンズを一緒に目指しませんか?」という視点で描かれていますが、女性読者にも、男性の心理やs効果色を理解するための本として役立ててもらえると思っています。

『よかれと思ってやったのに――男たちの「失敗学」入門』p8より

女は「わかる!」、男は「マジで?」
“すれ違い”の背景がわかる、衝撃のレポート

恋バナ収集というちょっと変わった活動を行うユニット「桃山商事」の代表を務める著者が、これまで1200人以上の女性たちの失恋話や恋愛相談に耳を傾けるなかで気づいた、嫌がられる男性に共通する傾向や問題点とは?
女性たちの生の声を聞いてみると、男女でこんなにも違う景色が見えているのか、ということが浮かび上がってくる。ジェンダー観のアップデートが求められる現代を生きるすべての人たちに贈る、より良い関係を築くための“心の身だしなみ”読本!
ここに書いてあること、オレに関係ねぇ〜もん、って男に会ってみたい。
その自己認識のなさもとっても「男らしい」ーっ!
上野千鶴子氏 推薦!

晶文社公式HPより

また性別関係なく、より多くの人に興味を持ってもらって読んでもらいたいため目次も引用する。

【目次】
PART1 モヤモヤさせていること
その1 小さな面倒を押し付けてくる男たち
その2 何かと恋愛的な文脈で受け取る男たち
その3 決断を先延ばしにする男たち
その4 人の話を聞かない男たち
教えて、先生! テーマ「セクハラ」 金子雅臣先生
PART2 軽く引かれていること
その5 謝らない男たち
その6 女性の身体について無理解な男たち
その7 仕事とプライベートで別人のようになってしまう男たち
その8 プライドに囚われる男たち
教えて、先生! テーマ「性教育」 村瀬幸浩先生
PART3 迷惑だと思われていること
その9 イキるくせに行動が伴わない男たち
その10 男同士になるとキャラが変わる男たち
その11 すぐに不機嫌になる男たち
その12 何ごとも適当で大雑把な男たち
教えて、先生! テーマ「ホモソーシャル」 前川直哉先生
PART4 悲しい気持ちにさせていること
その13 付き合いはじめると油断する男たち
その14 「ほうれんそう」が遅すぎる男たち
その15 上下関係に従順すぎるたち
その16 話し合いができない男たち
教えて、先生! テーマ「DV」 中村 正先生
PART5 理解できないと思われていること
その17 お金のつかい方が意味不明な男たち
その18 身体のことを考えていない男たち
その19 保守的で変化を嫌う男たち
その20 シングルタスクな男たち
教えて、先生! テーマ「ハゲ問題」 須長史生先生

晶文社公式HPより

上記のような目次だろうが、いかがだろうか男性は「もしかして…」と思うのだろうか。もしくは「そんなことない!」と思うのだろうか。
後者の「そんなことない!」と思った人は責められているように感じるのだろうか。
実は何か提案を持ちかけられたときに「責められてる!?」と思って過剰なリアクションをとってしまう男性のことも取り上げられいるので「そんなことない!」と思ってしまった方にも読んでもらいたい。
女性は「あ~……」と思う部分も多いと思う。私はそうだった。
自分たちの気持ちを受容してもらっていると感じて、読んでいてもやもやが晴れた。
男性である清田さんがなぜ男性はこういう思考回路や行動になるのかを解説してくれているだけではなく、学者で男性やジェンダーのことについて研究している方の話も掲載されている。
女性と男性はわかりあえない、と絶望したくなるようなことも多いが清田さんや学者さんをはじめ真摯に取り組んでいる男性の姿に癒やされるし、励まされる。

何かと「男女」の二元論で分けすぎるのもどうかと思いますし、男性だけが悪者というわけでもありません。しかし、「男性だから」という謎の理由で免責されていることはたくさんあるだろうし、無自覚で鈍感な男性に対し、嘆きや怒り、絶望や諦めを感じている女性たちは確実に増えていると、私には思えて仕方ありません。

『よかれと思ってやったのに――男たちの「失敗学」入門』p12より


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