ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツル…

ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツルッパゲとの対話」 https://www.amazon.co.jp/dp/4908586071/

マガジン

  • Anizine

    写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

  • 博士の普通の愛情

    恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

  • 写真の部屋

    人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

  • エジさんが来る

    エジさんという人が、役に立たない英語を教えてくれます。

  • PDLB

    PDLBについて。

ウィジェット

  • 商品画像

    ロバート・ツルッパゲとの対話

    ワタナベアニ

記事一覧

批評しなくていい:Anizine

今日はたまたま豪雨にあたることもなくタイミングよく行動できました。明日の撮影に必要なものも揃いましたし、気分がいいです。昨日も友人とずっとそんな話をしていました…

ワタナベアニ
15時間前
34

5月30日
「スタートアップ大阪」にて行われるトークイベントに参加します。チケットの価格にかなり驚かれると思いますが、空席があるとカッコ悪いので、近畿圏の皆様は是非よろしくお願いいたします。
https://peatix.com/event/3939614

5

姿勢は言葉に出る:Anizine

「どれだけニュートラルに生きていけるか」だけを考えています。周囲の友人は誰もみな自分より偉くて立派に見えがちなのですが、他人との相対的な比較はせず、自分は自分だ…

50

家具を作っている男:Anizine

俺は家具を作っているんだ。たいした稼ぎにはならないよ。来年は息子も大学に行くし贅沢はできない。でもね、俺の家具が好きだと言ってくれる人がいる。お前は日本で何をし…

56

博士の普通の愛情

いつも思うのですが、なぜ世の中には恋愛のコンテンツがこれほどまでに溢れかえっているのでしょうか。 『博士の普通の愛情』というマガジンをつくったのはその謎に挑戦す…

12

熱海とカンヌ:写真の部屋

友人と「写真に写っているものが、どれだけ本物であるか」という話をしていました。まず、本物という言葉の定義ですが、それは『自分が本当に写したかったもの』と言ってい…

39

とにかく文型の理解:エジさんが来る

とにかく文型を憶えましょう。日本語と決定的に違うのが語順なので、これを理解しないと文章が作れません。文型は動詞によって決まります。 第3文型 なぜ3番目からかと言…

4

食中毒のシェフ:写真の部屋

「1000回スタジオに入った経験があっても、毎回悩むんです」 ベテランの写真家から聞いた言葉です。「悩む」というのが私レベルには到底理解ができないくらい高度な意味な…

60

くだらない結論:Anizine

「ゴールデンウィークが終わったらグランピングに行かないか」  「また、おかしなことを言い出すなあ」 「だって連休中は混雑するだろう。『この時期は混みますよ』って言…

28

消費の幼稚化:PDLB

先日、友人からランチに誘われて新宿に行きました。食事が終わると「買い物に付き合って欲しい」と言われ、話を聞くと時計が欲しいのだと言います。私はその昔、タコ二匹が…

9

サボり写真:写真の部屋

若い頃、先輩から「お前は、雨が降っていると家の猫しか撮らないのか」と怒られた友人がいました。写真には行動の量が写りますから、雨だから部屋にいる猫でも撮るか、とい…

57

山村紘未さん:写真の部屋(無料記事)

いいモデルが目の前にいなければ、いい写真が撮れないのは当たり前です。つまるところ、写真家にとって「いいモデルと出会う能力」がとても大事だということになります。写…

57

死んだフェラーリ:博士の普通の愛情

数年ぶりに知人と会ったのですが、冷たい結論を先に言ってしまうと彼と会ったことは、私にとって『時間の浪費』でしかありませんでした。誰かと何もせずに無為な時間を過ご…

12

心がロコモコする:写真の部屋

私は30歳くらいまで「引きこもりのインドア人間」でした。広告のアートディレクターをしていたのですが、当時はわざわざスタジオで撮るアイデアばかりを提案していて、なぜ…

50

逆像。

自分の顔は、鏡に映った逆像しか見ることができません。撮られた人が、モニタに映った顔を見て驚く。人の写真を撮るのがなぜ楽しいのかというと、そこで一緒に驚けるからで…

26

等身大であること:Anizine(無料記事)

自分が自分のチカラでできることをする。「等身大であること」をいつも考えています。私は南仏に別荘も買えないですしロールスロイスも買えませんが、毎日生活していく上で…

110

批評しなくていい:Anizine

今日はたまたま豪雨にあたることもなくタイミングよく行動できました。明日の撮影に必要なものも揃いましたし、気分がいいです。昨日も友人とずっとそんな話をしていましたが「何かを作る」という作業には何物にも代えがたい楽しい手応えがあります。 そこにさっきまで存在しなかったものを生む。 それは「ここにあるこれってセンスいいよな」と解説してみせるのとはまったく違うのです。よく映画などのレビューを読むと「つまらなかった。俺が監督したほうが面白いのできそう」などという言葉を見かけますが、

5月30日 「スタートアップ大阪」にて行われるトークイベントに参加します。チケットの価格にかなり驚かれると思いますが、空席があるとカッコ悪いので、近畿圏の皆様は是非よろしくお願いいたします。 https://peatix.com/event/3939614

姿勢は言葉に出る:Anizine

「どれだけニュートラルに生きていけるか」だけを考えています。周囲の友人は誰もみな自分より偉くて立派に見えがちなのですが、他人との相対的な比較はせず、自分は自分だと思って、競走馬が遮眼帯をつけるように前だけを見て過ごすしかありません。 最近ソーシャルメディアを辞める知人が増えてきて、その理由が「どうしても他人と比べてしまうからだ」と言います。他人の芝生がギンギンに青く見えるのでしょう。疲弊するのもわかります。またそこで「自分を盛る」方向に行く人もいます。ある人のプロフィールに

家具を作っている男:Anizine

俺は家具を作っているんだ。たいした稼ぎにはならないよ。来年は息子も大学に行くし贅沢はできない。でもね、俺の家具が好きだと言ってくれる人がいる。お前は日本で何をしているんだ。そうか、立派なカメラを持ってるもんな。それで写真を撮りながら旅をしているのか、それもいいなあ。俺はマレーシアから一度も出たことがないけど、いつか外国には行ってみたい。 俺はひとりで家具を作っている。最初から最後までひとりだ。家のガレージにあるちいさい作業場で朝から晩までやっているよ。奥さんに服を買ってあげ

博士の普通の愛情

いつも思うのですが、なぜ世の中には恋愛のコンテンツがこれほどまでに溢れかえっているのでしょうか。 『博士の普通の愛情』というマガジンをつくったのはその謎に挑戦するためでしたが、まだまだ答えは出ません。今、書籍化のために書いている短編の中で恋愛がテーマのものがいくつかあります。コンビニの店員を好きになる話、メールのやり取りだけで進む話などです。 ウエストランド井口さんがM-1のステージで言ったように、恋愛の物語にはパターンがそれほどありません。服そのものは同じなのにフリル部

熱海とカンヌ:写真の部屋

友人と「写真に写っているものが、どれだけ本物であるか」という話をしていました。まず、本物という言葉の定義ですが、それは『自分が本当に写したかったもの』と言っていいと思います。あるとき知人が熱海に遊びに行っていたのですが、ソーシャルメディアに載せたその写真に「いまカンヌにいます」と書いていました。冗談として面白いかはさておき、こういうのは本物を考えるヒントになると感じました。 日本人が熱海に行くのとカンヌに行くのとでは当然のように希少性に差があります。ですからカンヌを訪れた人

とにかく文型の理解:エジさんが来る

とにかく文型を憶えましょう。日本語と決定的に違うのが語順なので、これを理解しないと文章が作れません。文型は動詞によって決まります。 第3文型 なぜ3番目からかと言えば、この動詞の使用頻度が一番高いからで、ほとんどの文章がこれだと言ってもいいくらいです。SVOというのは主語、動詞、目的語で、「私は、あなたが、好きです」の構文です。 I love you. は日本語で言うと「私は、好きです、あなたが」の順番になっていますが、日本語とは違って、この順番を変えると意味が違ってしま

食中毒のシェフ:写真の部屋

「1000回スタジオに入った経験があっても、毎回悩むんです」 ベテランの写真家から聞いた言葉です。「悩む」というのが私レベルには到底理解ができないくらい高度な意味なのでしょうが、それでも「今回は簡単」などとは思っていないのだな、と驚きました。 写真の技術は、カメラなどの機材の科学的な理解、現像やレタッチなどのポストプロダクション、撮影時に必要なコミュニケーション、プロップなどへの教養、ロケーションの選択眼、それらすべてを満たしていないと仕事になりません。 他人の写真に対

くだらない結論:Anizine

「ゴールデンウィークが終わったらグランピングに行かないか」  「また、おかしなことを言い出すなあ」 「だって連休中は混雑するだろう。『この時期は混みますよ』って言われている時期に行くってどういうことなんだ」  「そこしか休めない人がいるってことだよ。口の利き方に気をつけろ」 「というわけで、グランピング行くか」  「行かないよ。グランピングなんて概念に納得いかないから」 「何がだよ」  「野外のテントで寝るんだろう。それをグランにしてみたって変わらないだろうが。ホームレスが高

消費の幼稚化:PDLB

先日、友人からランチに誘われて新宿に行きました。食事が終わると「買い物に付き合って欲しい」と言われ、話を聞くと時計が欲しいのだと言います。私はその昔、タコ二匹が腕に巻けるくらいの数の時計を持っていましたが、彼が家に遊びに来たとき、ズラッと並んだ時計を見て「こんなにたくさん持っていて、腕が何本あるんだよ」と呆れられたことを憶えています。私も「そう言えば左腕は一本だよな」と気づいて、スーツ用のブレゲと、普段用のシードウェラーの二本だけを残して処分してしまいました。 当時は今の価

サボり写真:写真の部屋

若い頃、先輩から「お前は、雨が降っていると家の猫しか撮らないのか」と怒られた友人がいました。写真には行動の量が写りますから、雨だから部屋にいる猫でも撮るか、というサボリは伝わってしまうよ、ということだったのだと思います。 20代の人に会ったとき「おじいちゃんかよ」と言いたくなるほど枯れた写真を見せられることがあります。ベランダにある花、テーブルの上のオーガニックなクッキーとカプチーノの露出オーバー気味の写真に「日常の繊細な美」みたいにポエちらかしたキャプションがついているの

山村紘未さん:写真の部屋(無料記事)

いいモデルが目の前にいなければ、いい写真が撮れないのは当たり前です。つまるところ、写真家にとって「いいモデルと出会う能力」がとても大事だということになります。写真はモデルで女優の山村紘未さん。ある撮影で知り合い、何度も仕事をしました。 モデルとして活動していたときから、この人は俳優に向いているのではないかと感じていました。衣装を着てカメラの前に立った瞬間に何かが見えてくるからです。神秘的な言い方は好きではありませんし、おおげさな表現かもしれませんが、彼女がそこにいれば何もし

死んだフェラーリ:博士の普通の愛情

数年ぶりに知人と会ったのですが、冷たい結論を先に言ってしまうと彼と会ったことは、私にとって『時間の浪費』でしかありませんでした。誰かと何もせずに無為な時間を過ごす豊かさだってあります。いつも有意義な話をすればいいというものではありません。しかしそういう種類の無駄とは違って、自分とは関係ないネガティブな感情だけを背負わされた気がしたからです。 久しぶりに彼から連絡があって、近くのホテルのカフェに行きました。遅れてやって来た彼を見て驚きました。若い頃はスポーツ選手のような肉体の

心がロコモコする:写真の部屋

私は30歳くらいまで「引きこもりのインドア人間」でした。広告のアートディレクターをしていたのですが、当時はわざわざスタジオで撮るアイデアばかりを提案していて、なぜかロケは避けていました。出不精だったのです。今はデブ性ですが。パワハラじみたオヤジギャグはさておき。 広告の仕事では自分がロケーションを決めるときもあるのですが、「ここでこういう撮影をする」というのが先に決まっていることもあります。そうなると行かざるを得ません。そこで「ロケって楽しいじゃん」と、10年遅れくらいの発

逆像。

自分の顔は、鏡に映った逆像しか見ることができません。撮られた人が、モニタに映った顔を見て驚く。人の写真を撮るのがなぜ楽しいのかというと、そこで一緒に驚けるからです。

等身大であること:Anizine(無料記事)

自分が自分のチカラでできることをする。「等身大であること」をいつも考えています。私は南仏に別荘も買えないですしロールスロイスも買えませんが、毎日生活していく上で特に困っていません。しかし誰かが持っている南仏の別荘に遊びに行ったりロールスロイスに乗せてもらったときに、ほんのちょっと自分が『そちら側に近づいた』と思ってしまう人がいます。ここなんです。等身大の自分に天麩羅のコロモがまとわりついてしまうのは。 誰でも多かれ少なかれ他人に何かを自慢したい感覚があると思うのですが、他人