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読書まとめ『サイゼリヤ元社長がおすすめする 図々しさ』→言ってみる・やってみるから、うまくいく

『サイゼリヤ元社長がおすすめする図々しさ リミティングビリーフ 自分の限界を破壊する』堀埜 一成


一言で言うと

言ってみる・やってみるから、うまくいく



概要

「図々しさ」、自分は持てていないですねー。波風を立てない大和魂が染みついてしまっており、あまり自己主張できていないかもしれません。

そんな「図々しさ」をサイゼリヤの元社長がオススメしているとのことで、読んでみました。コロナ禍での政府方針に対する発言でも話題になった、通称「ふざけんな社長」です。元ファミレス社員としても、サイゼリヤの舞台裏が気になりますね。


「図々しさ」がよい結果を生み出すことの本質は、失敗を恐れず一歩目を踏み出し、成功するために他人を巻き込むからだと捉えました。まずはやってみる・言ってみること、失敗は終着点ではなく通過点のひとつであることを踏まえて、ロジックを図にしてみました。

```mermaid
graph TD
	A[図々しい] --> B[言ってみる] --> C[周りが助けてくれる] --> E
	B --> L[拒否される] --> J
	A --> D[やってみる] --> E[意外とうまくいく] --> F[結果が出る]
	D --> G[失敗する] --> H[経験値が増える] --> I[成長する] --> D
	G --> J[話のネタになる] --> K[かわいがられる] --> C
```

本書を読みながら、「図々しさ」で生き抜いていた大学時代のN先輩のことを思い出しました。サークルの主将でありながら無責任に大きなことを言ってみたり、授業をサボって教授に土下座して単位をもらったり、破天荒な生き方をしていた人です。アンチからも呆れられるレベルの「図々しさ」を発揮していたN先輩ですが、なんだか放っておけない人間的な魅力もあり、周りの助けを得てサークルを活性化させる結果を残していたように感じます。


なお、サイゼリヤ元社長の著作と銘打っているものの、サイゼリヤの社長に就任したところで終了します。打ち切りエンド感がすごい。全国優勝を目指す弱小野球部が、甲子園の切符をつかんだところで連載終了、みたいな。

社長時代のエピソードは、別テーマで次回作が出るのかもしれません。サイゼリヤに転職してから社長になるまでのエピソードは、「図々しさ」というテーマからはやや外れているように感じられたので。大企業から急成長中のベンチャー企業に転職してどう立ち回ったのか、みたいな苦労話の趣が強くなりますね。


また、本書の雰囲気としては、ビジネス本・自己啓発本よりは、エッセイ・回顧録に近い印象です。著者の図々しさエピソードを楽しみつつ気づきを得られればよし、といった気持ちで読むのがよいかと思います。Amazonでは「ただの自慢話」みたいなレビューが散見されますが、他人の自慢話から自分がマネしたいところを見つけようとしないのは、まさにリミティングビリーフに支配された考え方では。


本稿では、私がマネしたいと思ったアクションを3点でまとめます。



① 思ったことは言ってみる・やってみる

どうせ実現しないと勝手に決め込んであきらめるのではなく、言葉・行動にしてみることがオススメされています。たとえば著者の大学時代のエピソードとして、教授に単位をくださいと言ってみたら、運動の実験台を連れてこいと言われて、そのことをぼやいてみたら先輩が引き受けてくれた、というものがあります。著者は単位をもらえて、教授は実験ができて、先輩は教授と親しくなれた、と結果的には三方よしになったそうです。

本書副題のリミティングビリーフとは、「どうせできないだろう」という思い込み・固定観念のことを指します。リミティングビリーフに支配されると、自分の行動を制限してしまうことになります。「ベスト8の壁」みたいな表現も、「ベスト8に進出した実績はないから、今回も難しいだろう」という固定観念を無意識に植え付けてしまい、全力を出すことを制限している表現だと言えるかもしれません。そういった固定観念を無視して自分を信じる行動を取る著者の様子が、周りからは図々しいと思われていたようです。

著者がコロナ禍で放った「ふざけんな」も、言ってみる精神の発露だと感じました。こういう歯に衣着せぬ発言は大炎上しかねないですが、少なくともSNSでは同情を集めていたようです。このあたりの経緯は本書では明かされていないので、次回作に期待ですかね。



② 失敗を隠さずに話す

色々なことをやってみると、当然失敗も数多く経験します。著者がブラジルの工場で勤務していたときに、日本から来る副社長へのサプライズ作戦を計画して失敗したエピソードが語られています。

こういった失敗談を包み隠さずに話すことで、共感や親しみが得られると感じました。成功談を語ると自慢話だとも捉えられかねませんが、笑いながら失敗談を語る人に悪い印象は持たないでしょう。先の副社長に対しても、サプライズ作戦の失敗を正直に語ったことで大いに会話が弾んだそうです。

成功談であれ失敗談であれ、やってみなければ何も生まれません。それほど重要でないことであれば、「失敗したらどうしよう」ではなく、「失敗しても話のネタになる」くらいの気持ちでどんどんやってみるのがよいですね。

もちろん、やってもいい失敗と、取り返しのつかない失敗を見分けるスキルも必要になるでしょう。本書の中でも、卒論やP/Lの矛盾解消など、がむしゃらに粘り強く立ち回っているエピソードが見られます。ここぞという場面を見極めるには、多くの挑戦・小さな失敗を重ねて、本質を見る目を養うことが必要なのかなと思います。



③ 図々しさが許される場づくり

著者は、日本での仕事で一番面倒なのは交渉ごとだと書いています。これには同意です。交渉ごとにおいては、普段は空気を読みがちな日本人であっても、図々しさを出してくるからかもしれませんね。

著者が繰り出した交渉を減らす方法は、すべてを自分で決められる状況を作ることでした。味の素の工場に勤務していた時に、技術部の課長と製造部の課長を兼務し、ケンカしがちな両部署をまとめる役になったとのこと。周りからは大変そうに見えますが、実際には部署間の調整が不要なので楽だったそうです。

また、兼務して忙しそうな立場であることを示すと、他者を巻き込んでも許されるようになります。著者も、社内の優秀な人材を名指しで引き抜いたり、なかなかにしたたかな戦略を取っていました。もちろん、ただ図々しいだけの人ではなく、結果を出して組織に貢献するために、自分が結果を出せる場所・方法を選ぶことも必要です。



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「図々しさ」は、心理的安全性の文脈における「健全な衝突」を促進する効果がありそうです。自分だけでなく、組織全体で図々しくある形が理想的ですね。



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