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ノモリクヲノミカ

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闇夜のカラス、拝啓あんこぼーろ、葵によるリレー小説です。
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記事一覧

ノモリクヲノミカ1

ノモリクヲノミカ1

月曜日の早朝。
白く光輝く巨大な手が、眠っている人間をひとり包み込んで持ち上げる。その人間は深い眠りの中で、少しの揺れにはびくともしない。
その白い手はゆっくりと消えていく。若い大人を連れ去って。
暗い寝室には空っぽのベッドがひとつ残された。

小さい頃に、似たような夢をよく見ていたような気がする。
金色に光輝く鹿が、自分を覗き込んでいる。
「子供の国セオドアへようこそ」
は?ぼくはがばりと起き上

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ノモリクオノミカ②【連載小説】

ノモリクオノミカ②【連載小説】

【「ノモリクオノミカ」①はこちらです】

 ぼくは、その言葉に窓から外を見ようとしたが、急に馬車が傾いて、急降下を始めた。内臓が浮く気持ち悪さに思わず声をあげた。車内は悲鳴であふれた。
「わああ、きもちわりー」
 リョウはモモを抱っこして大声でわめいた。モモも辛そうな顔で、ぎゅっと目をつぶっている。サキとナオはダレカに抱きついている。ダレカは大きな羽根を広げて2人を包み、落ち着いた様子で黒い瞳をぼ

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ノモリクヲノミカ ③

ノモリクヲノミカ ③

ぼくを、丸く黒い膜が覆っている。
膜の外に耳をすますと、かすかになにか聞こえてきた。

こむこぽぽぽこぷぷん

こもこもこもこぷぷ

どうやら、水の流れる音のようだ。
ぼくは流れに乗り、どこかに運ばれているのだろう。外が見えない不安、行き先の分からない不安。ぼくは真っ暗な黒い膜の中で、コウタに声をかけた。
この膜に包まれる前に一緒にいたからだ。

「なあ、どうやら水のなかにいるようだね。でもどこに

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ノモリクヲノミカ4

ノモリクヲノミカ4

https://note.com/aoiaoichan/n/ndb69b073a50f

https://note.com/ravenblackblue57/n/nfbfd4e4a21de

暖炉を抜けると雪国だった。
「何ここ寒っ」
「さっきは高所で次は雪国って。ついてないわあ」黒猫のサキが全身の毛を逆立てている。
「カメレオンって熱帯生物なんだけど」コウタも不満げだ。
「ゆき!ゆきいっぱい!ふ

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ノモリクオノミカ⑤【連載小説】

ノモリクオノミカ⑤【連載小説】

【ノモリクオノミカ④はこちらです】

 ぼくは息を切らしながら、ライトセイバーを腰のさやに納めた。すると足元に粉々になって散らばる氷の鏡のかけらが、オレンジ色に光り始めた。かけらの周りの雪がしゅうしゅう音を立てて白い湯気を噴き出す。生暖かい水蒸気が空気中にたちこめた。
「なにこれ、雪が溶けてるの!?」
 溶ける音にまぎれて、ナオの声が聞こえる。白い湯気の中でみんなを見失いそうになって、ぼくは大声を

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ノモリクヲノミカ ⑥の最初

ノモリクヲノミカ ⑥の最初

コウタの姿が壁を登り、徐々に見えなくなってゆき、あたりに静寂が訪れた。ぼくとリョウとナオとサキは、ただ黙って、頭上の剣の交わる門を見上げている。 

「コウタのやつ、無事かな?音も声もしないけど…」

しばらくしてリョウがそう呟く。
その声が、静かな門にこだまして、さらに静けさを増幅させた。
風が吹き、砂が舞い、僕らの髪や毛並みが少しだけ揺れる。

「あれ?リョウ、来たの?」
ぼくはリョウに訊いた

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ノモリクヲノミカ ⑥の真ん中

ノモリクヲノミカ ⑥の真ん中

「僕は、ハルカと言います。このセオドアで、王をしています」

白いパーカーを着たハルカは、そう言った。

「はるばるここまでよくたどり着いたね。ほんとうにおめでとう。君たちはよくがんばったよ。お疲れさま、おめでとう、がんばったね、ほんとうにありがとう」

そしてひとりで拍手をする。
ぼくたちは、転がったままだったので、それぞれ手をとりあって、ゆっくりと立ち上がった。

「さて。ここまでたどり着いた

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ノモリクヲノミカ ⑥の最後

ノモリクヲノミカ ⑥の最後

「モモ、どういうことだよ…」

コウタがモモに問いかける。
けれどもモモは答えない。
その代わり、ハルカがにこやかにモモに声をかけた。

「独り占めにする必要はないよ。それは皆で見つけたものだ。皆にその権利がある」

けれども、やはりモモは答えなかった。
モモの意図がまったく掴めない。モモは、いったいどうしたいんだろう。
ぼくも、モモに声をかける。

「モモ、どういうことだよ」

すると、モモはテ

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