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ディズニーがまちづくり、戸建てVR、3Dプリント建築の確認申請の話(コンワダさん24週目)

 こんにちは、株式会社アーキロイドの津久井です。毎週金曜日に、今週社内で話題になった事例からいくつかを紹介しています。バックナンバーはこちら

ピックアップ事例:ディズニーが住宅地開発「Storyliving by Disney」

―――リンク
 公式サイト
 ディズニーのリリース
 Bloomberg
―――概要
 ディズニーは1900戸のからなる居住コミュニティ形成プラン「Storyliving by Disney」を発表しました。「Storytellingから、Storylivingへの移行」であるとしています。かつてウォルト・ディズニーが居住していたカリフォルニア州コーチェラ・バレーにあるランチョ・ミラージュという地域に建設予定です。計画予定敷地は9万7000平方メートルで、別荘・コンドミニアム・集合住宅に加えて、商業施設やウォーターアクティビティなども計画中。湖はテーマパーク建設で培った「澄んだターコイズブルーの湖」になるそうです。
 ディズニーにおける住宅用不動産の歴史は古く、1990年代にフロリダ州のディズニーワールド周辺でコミュニティ開発を行い、人口9,900人の町をつくっています。フィリップ・ジョンソンやマイケル・グレイブスなどの著名建築家が計画に参画していました。2011年にも同州で高級リゾートを開発しています。
―――この事例について
 16週目コンワダさんでスノーピークによるまちづくりについて取り上げました。事業会社によるまちづくりが1つのムーブメントなのでしょうか。スノーピークとディズニーの共通項は、確かなファンの存在でしょう。どちらもエントリー的なファンから、どっぷりとしたコアなファンまで抱えているイメージです。
 個人の趣味趣向とライフスタイルは大きな関係があります。キャンプが大好きだったら、週末にスノーピークのテントを持って出かけるし、ディズニーの大ファンは最新映画を観たり、足繁くディズニーリゾートに行くでしょう。それが彼らのライフスタイルです。ファンを抱えるほどの魅力のあるブランドがライフスタイル事業に参入するのは常套手段です。RalphLaurenが大好きなら、RalphLaurenHOMEで寝具を買うし、ZARAが大好きな人はZARA HOMEに行ってラグやカトラリーを買います。いわゆる”ライフスタイル雑貨”や”リビンググッズ”と言われるものです。ディズニーもスノーピークも日常で使えるグッズは山のようにあります。その暮らしをファンがSNSでシェアすることで、更にファンが拡大します。
 ライフスタイルと住まいも密接な関係にありますが、家の提供まで到達している会社は多くありません。消費者にとっても、家の購入といえばハウスメーカーやマンションデベロッパー、または中古市場から不動産を購入するのが一般的でした。多くの人にとって家は一生に一度の買い物です。そうなるとみんなプロに頼ります。住宅展示場やモデルルームに行き、そこで営業員に「お客様のライフスタイルやご要望にベストのご提案をいたします!」と言われるわけです。そうは言ってもらっても初めての買い物。そもそも自分が何がほしいかわからないなんてことも当たり前です。それだったらディズニーで買いたいし、スノーピークで買いたいですよね。筆者はファンエンゲージメントの最高到達点が住まいなのだと理解しています。
 ファンを抱えるブランドで、ライフスタイル雑貨から住宅まで手掛けている成功例は、国内では無印良品が挙げられます。偶像を廃して物自体の良さを追求した無印と、偶像を物化してきたディズニーの交差点とでもいいましょうか。しかし、無印の家はあっても無印の街があるという話は聞きません。家は基本的には単体で成立しますが、コミュニティは数が集まって形成されます。SNSを介したバーチャルなコミュニティではなく、街、家、リアルライフという身体を介してつながるコミュニティづくりへ。ディズニーやスノーピークの挑戦はどのように昇華してゆくのでしょうか。自治体や普通のデベロッパーが定める「子育て世代」や「共働きの高所得夫婦」といったぼやっとしたターゲット層ではない、「〇〇が好きな人!」を狙い撃つまちづくりの未来やいかに。

その他の事例

VRマンションギャラリーのROOV、戸建て版を開発中

 5週目コンワダさんで取り上げたROOVが戸建て版を開発し、間もなくリリースされるようです。「CADデータからフルオートでVRに変換」と書いてあるので、利用の敷居も随分と低そうです。入力の手順や形式、そして何より使い勝手や操作性。気になることが沢山です!リリースなどの続報を引き続きウォッチしていきます。

建設3Dプリンターで倉庫を印刷、建築確認を受けた国内初の事例か

 セメント系建設3Dプリンターの開発を手掛けるPolyuse(ポリウス)は、建築確認を受けた建物を同社のプリンターで「印刷」したことを明らかにしました。3Dプリンターでの造形を前提に確認済み証の交付を受けた建築物は国内初だそうです。
 建築3Dプリンターに関する研究開発は国内外で盛んに行われています。3Dプリント住宅のメリットは、一般的に工期短縮、費用縮小、造形の自由度の3点が期待されているでしょう。工期と費用については結果がついて来ている印象ですが、造形の自由度については、鉛直方向の積層が制約となり平面的な自由度にとどまっています。今後は3次元的な自由度も期待したいところです。
 とはいえ、今回建築確認というプロトコルを突破したことは、日本の建築業界において大きな意味を意味を持つでしょう。今後著名な建築家が参加したり、競合するメーカーの開発が活性化することが考えられます。
―――3Dプリント×家に関する事例
世界初「3Dプリントで建てられた家」が販売開始
カリフォルニアに3Dプリント住宅村を建設中…建築プロセスも住宅自体もサステナブル
建築、土木からデザインまで!中国の3Dプリンター技術がスゴいことに
60万円住宅 3Dプリンターハウスなら24時間で出来上がり 自然災害大国の日本にこそ必要だ!
中国の企業が3Dプリンタで豪邸を建設、これがその全貌だ

TechCrunch Japan及びエンガジェット日本版終了

 テック情報ジャンキーにとって2大ニュースサイトともいえる、TechCrunch Japanとエンガジェット日本版がこの3月を持って更新終了、5月で閉鎖するそうです。エンガジェット日本版は2005年、TechCrunch Japanは2006年から運営されていたようです。老舗とも言える2サイトの終了は残念です。コンワダさんでも何度もお世話になってきたサイトです。本当にありがとうございました。

 なお、このニュースを伝えているITmediaの記事へのコメントを読んでいたら、下キャプチャのコメントを見つけました。ITMediaの記事に「IT MediaよりEngdgetが良かった」という趣旨のコメントができるハート、羨ましいです。

最後に

 今週も最後までお読みくださり、ありがとうございました。是非「スキ♡」を押してってください。励みになります。その他面白い事例など有りましたら是非コメント等で教えて下さい。それではまた来週。

「今週、社内で話題になった事例」 について
株式会社アーキロイドの社内で話題になった事例(ニュース、リリース、書籍、動画、論文などなど)のうち、いくつかをご紹介します。元記事の配信時期は必ずしも今週とは限りません。数ヶ月前、数年前のものもあるかもしれません。

社外にこれを発信することで、
①アーキロイドメンバーが日々どのようなことに目を向けているのか、を知ってもらいたい。
②せっかく読んでもらえるなら有益な情報をお届けするために、自分たちの情報感度をもっと高めていきたい。
という目論見があります。

メンバーも大半が30代に差し掛かってきたので、備忘録という意味合いが一番強いかも。ご笑覧ください。

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