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江戸時代。葛飾北斎と娘・お栄の親子関係を軸に描かれる北斎の人生。

宮本亜門さん演出の舞台を北斎ゆかりの地、墨田区の劇場(曳舟文化センター)に観に行きました。
会場には『北斎鳳凰図』が飾られていました(トプ画)。

江戸時代と現代が交互に出てくる演出。現代人の二人のうち一人は北斎の批評家、もう一人は画家を諦めた青年(後に再び筆を持つ)。
それぞれの北斎に対する思い、そして葛藤。

批評家が解説もしてくれるので、例えば、『神奈川沖浪裏』はダビンチ同様、計算幾何学によって成り立っている等も知ることができました。

神奈川沖浪裏



江戸と現代を往来する展開の中で、それぞれの時代を生きる6人の人間を通して、人生とは何か、人間とは何なのか。

「画狂人」と呼ばれた北斎の生き様そのものが、現代人に問います。

変人と評され、当時ではあり得なかった90年という葛飾北斎の人生。

生涯に3万点を超える作品を発表。
一人の絵師が描いたとは思えないほど、画風の違いが見られます。

画号の改変の多さ、数多くの引っ越し等の奇行でも知られますが、ヨーロッパの芸術家に大きな影響を与えた北斎は世界における評価が大変高い。

それを支えた娘・お栄。娘として、母として、味方として、敵として、画の同士として…。

葛飾北斎のことば

『七十年前画く所は実に取に足ものなし
七十三才にして稍禽獣虫魚の骨格草木の出生を悟し得たり
九十才にして猶其奥意を極め
百有十歳にしては一点一格にして生るがごとくならん』

『天我をして五年の命を保たしめば、真正の画工となるを得べし』

宮本亜門さんの目を通して、様々な人間模様、葛藤が表現されます。

宮本亜門さんの文章をご紹介します。

「人生はやり直せる」
葛飾北斎は、私が最も尊敬する日本人だ。 それは自らの作品で世界中の人を感動させたからだけではない。 一回限りの人生を、誰よりも本気で生きた人だからだ!  こんな先輩が日本にいたとは、つくづく日本人として誇らしい。 現状や過去に甘えず、30回も改名、93回引っ越し、それに3万点ものあらゆるジャンルで、スタイルも変えた名作を残した。 まさに「人生はいくらでもリセットできる、自分は変われる」を見事に証明した人なのだ。

特に北斎は、北斎が70代以降が凄い!  72歳で富嶽三十六景をスタートしたと思ったら、突然版画を止め、一つ一つ精魂をこめた肉筆画を描き出す。 その肉筆画らの殺気立つほど究極に追い込んだ世界観は、壮大な宇宙だ。 北斎が言った「73歳にしてようやく動植物の骨格や出生を悟ることができ、80歳ではさらに成長し、90歳で絵の奥意を極め、100歳で神妙の域に到達し、百何十歳になれば1点1格が生きているようになるだろう」こそが、画狂人北斎の本質なのだ。

だが私は北斎を天才と片づけない。なぜならこれほど正直で、生々しく愛おしい人間はいないからだ。 苦労もし、葛藤もし、人を想い、誠心誠意生きた人、だから、私たちは北斎の絵にこれほど愛着を感じ、その生き方から勇気と生きる喜びを感じるのだ。

そしていよいよ今回、新たなキャストによる公演が始まる!  まるで北斎そのもののような西岡德馬さんや雛形あきこさんらによって生まれ変わる「北斎」を是非その目で観て体感してほしい。 北斎の波乱な人生のうねりが必ずやあなたに、生きる凄みを伝授してくれるから。 劇場でお待ちしております。

主演は西岡徳馬さん。
まあ〜、ぴったりでした。
調べたら御歳76歳。びっくり!
信じられないほどお若い!
まさにプロ。人間力、存在力、演技力…どれをとっても素晴らしい役者さん。

西岡徳馬さん


プロデューサーの難波利幸さんも語っています。『絵を芝居に変えたらそのまま徳馬さん…』
『画狂人北斎が芝居狂人徳馬だとするならば、その共通項は魅力溢れる変なおっさんということになるでしょうか』と。

いや〜、あっぱれ!
歳は関係ない。意欲なんだと思います。

皆さま、どう思われましたか?

日本に葛飾北斎という人物のいたことを私も誇りに思います。
自分の仕事に向き合う時、一番大事なことは、芯の通った信念と意欲・探求心だと思うのです。

この舞台を作った宮本亜門さんはじめ役者さん、スタッフさんも皆、誇りと意欲をもって臨まれていると思います。

幸い私も目標に向かって意欲的に取り組む「今」があることに、感謝と襟を正す気持ちになりました。

もうすぐ59歳おばさん、まだまだひよっこデス(笑)。


PS
終演後、ロビーで宮本亜門さんをお見かけしました。「ダバダ〜🎵」のコーヒーのCMが思い出されます(笑)。髪がだいぶ白くなられ、CMの時よりは歳を取られましたが(当たり前だ!一体、いつのCMだ(笑))、童顔はそのまま。
[違いの分かる男]は、ご健在でございました〜🎵(*≧∀≦*)


ありがとうございます!!




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