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倒れても倒れても。

21:30、息子(4歳半)は寝た。
19:30からの寝かしつけだった。

ここ数日、考えすぎであまり睡眠が取れず、仕事帰り、マスクで苦しい中の満員電車。体調は最悪。
18:30帰宅。妻が息子のお迎えと、風呂メシまでは済ませてくれていた。しかし乳児(3ヶ月)の手も離せない。
息子の着替え、歯磨き、全裸のトイレ(大)の途中、僕は廊下で倒れた。意識はまだあったがよだれが垂れてきた。啜る気力もなかった。

「パパー、どーしたのー」とトイレなら繰り返す声が、どんどん遠くなる。

「パパー、どーしたのー、はやくー」。立ち上がれ、オレ。立ち上がれ・・。腕に力を入れて起き上がる。目が開かない。疲れすぎてまぶたが開かない。
なんとかトイレの前に立つ。息子は「いつものおどりやってー」と笑ってる。今にも倒れそうで棒立ちでいると、「やってよーー」と繰り返す。手だけで踊ると笑ってる。

手を洗わせるのもこだわりのある息子。台の位置、タオルはマイハンカチ、もうどうでもいいが、それをやらないと、倍の時間がかかる。無心でこなす。

寝室へ降りる。
絵本を読むが、半分以上寝てるようなもので、自分が何を読んでいるのか、何を言ってるのかもわからない。勘でページをめくり、夢の戯言のような話を作る。

絵本も3冊までにする。
読んでいくうちに意識がはっきりしてくる。あともう少し、ページを飛ばす。最後の一冊読んでも、案の定もう一冊!となる。いつもの耳かきですぐ寝てくれるパターンに持っていきたい。

耳かきを始める。腕が重い。3分も続かない。そのうち、もう、どうでもいい気分に襲われて、布団に倒れる。だめだ、息子。ここまでだ。

「パパー、ねんねしないでー!」

(1.2.3.4.5・・)数字を数える。自分に集中する。10数えるまでは、たとえ隕石が落ちても自分の回復に努める。
(9.10・・)
這うように起きる。また耳かきをする。誰も、誰一人、助けてくれない。。

「パパー、ボクこわい夢をみたくないよー」という息子。
「それならおまじないを一緒に言おう」とボク。

柏手を叩く。パンパン!
「神様、仏様、夢を見ないようにしてください、お願いします」。
息子は満足そうだ。

「ねぇ、パパー。仏様はなんで後ろに葉っぱがあるのー?」
葉っぱ?ああ、後光のことか。確かにそう見えるな。

「あの葉っぱみないなものはね、光なんだよ。えらーいから光るんだ。でも良く観てるねぇ・・」と息子に語りかける。 
感心する。よく観てるなと。
いつのまにか疲労も感じなくなっていく。もっと息子と話したくなる。

耳かきをして、寝息が聞こえたとたん、横に倒れた。
口を開けて、天井を見上げた。すると、自分がどんどん離れていくような気がした。
二人がS字のように横になっている。二人だけ世界。僕は骸骨のようにあんぐりして目を瞑っている。寝室はほのかにオレンジの光。くしゃくしゃの白い布団が雲のようだ。

意識が遠のきながら、神様仏様のお祈りだけが耳に残っている。

数分後、よろよろと寝室を出て、自室に戻る。息子とのことは、書き残そうと思った。これで最後でもいいから。

僕は、この子を愛している。
愛の力は、何よりも尊い。

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