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高校三年の時、新校舎ができた。
新校舎と言っても、全てではなくて
第三校舎が新しくなった。

第三校舎には新しく図書館ができた。

それ以前の数年間、というより、あれは
仮の設置場所だったから、僕が高校1年、2年の頃だけだったのかも
しれないけれど、図書館は第一校舎の職員室のホールにあって、
僕はそれを知る最後の世代になった。

本を読んだ。
本を借りた。
先生と、先輩と、喋っていた。
先輩たちをみていた。

先輩たちが本を借りるのを。
先輩たちが受験勉強をするのを。
先輩たちが職員室に出入りするのを。
先輩たちが悩んだり、笑ったりするのを。

なんだかんだ、僕は先輩たちを尊敬していた。
全員じゃないけど(笑)

生徒会のようなものに入っていたから、
その作業も図書館でしていた。

図書館の先生とは仲が良かった。
その先生は、小論文指導をしてくれて、
本の話をしてくれて、愚痴を聞いてくれて、
最後の最後まで僕の進路を気にしてくれた。
そして、僕たちの卒業と同時に、他の高校へ異動した。

オレンジ色の西日が
差し込んでいたような気がするのだけれど、
よく考えれば、
窓は本棚で塞がっていた。

仮の設置場所でも、
新校舎の新設図書館でも、
図書館は図書館で、図書館特有の空気が溢れていて
居心地が良かった。

でも、利用する人は決まっていて、
ほとんどの人は、受験や就職、読書期間の時に
利用すればいいほうだった。
一冊も本を借りないで卒業する人も、
きっといた。

.......もったいないなぁ。

たくさん人がいたらいたで、
居場所を作るのが難しくなるんだろうけど。


人は少ないけど、僕にとってあの図書館は、
出会いの場所だった。

青春だった。


あぁ〜高校に戻りたいなぁ〜



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