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麻草の日記

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麻草郁の日記をためておく箱です。
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独り言が多いことに今更気がついた。

独り言が多いことに今更気がついた。

 喉の外側の筋肉が痛い。風邪でひどく咳をしたのでもなく、寝違えたのでもない。ただなんとなく痛い。不思議だなと思いながら四日間、喋る仕事をした。うち三日間は昼と夜。ずーっと喋りっぱなし。

 夜、唐揚げを食べると、飲み込むのに痛みが伴った。よく噛まないでのどごしを楽しむために、熱くてデカい唐揚げは最適なのに。

 どうやら、声帯のまわりが腫れているらしい。原因はたぶん、夜中に小声で歌い続けたせいだ。

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何系でもなかった

何系でもなかった

 かつて「何系でもない」というキャッチコピーのアパレルCMがあった。NEWSのメンバーがダンスをしながら次々と入れ替わり、全員が並ぶ30秒のCMは、メンバーが次々と出てくるという点で「二次創作」の作者たちに大いに受け入れられ、ダンスをトレスし、自分の好きなキャラに置き換えたアニメ作品が多く作られた。

 それらは「#何系でもない」と呼ばれた。今でも「何系でもない」のタグで検索をすると、まとめ動画な

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実在しない景色を作ってみる

実在しない景色を作ってみる

 背景の絵を分割し、それぞれを重ねてずらして動かし、視点が移動しているように感じさせるアニメーションの撮影技術を「密着マルチ」と呼ぶ(らしい)。

 実際の目で見る景色は、見る側の視点が変われば見える面の角度も変わっていくのだが、望遠レンズで捉えた景色の場合はあまり角度が変わらない。映画に出てくるそのような景色を、静止画を重ねることで再現するのが、密着マルチという技法の肝だ(と思う)。

 で、や

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アニメって作ると楽しんだよな

アニメって作ると楽しんだよな

 むかし、まだインターネットで動画を見るのが難しく、画質以前に動けば結構、といった時代があった。その頃ぼくは、写真に落書きしたり、切ったり貼ったりしてGIFアニメを作っていた。そのころのデータは何も残っていない。残念だ。

 アニメを描くのは好きだった。何かが動いて、何かになり、また何かへと変化していく。人体を描くのも、物体を描くのも、現象を描くのも好きだった。ただそれを仕事にしようとは思わなかっ

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正月から描いてるアニメの続き

正月から描いてるアニメの続き

 アニメを描くってなんなんだ、もっといい言葉はないのか。と思うのだがわからない。原画、とか動画、というのは職業用語である気もする。使って良いものか、わからない。

ミャオたん、というキャラクターを作った。ゲロたんにはできない動きができる、とか、描きながら設定を考えていたら、暴力的なキャラクターになってしまった。

 3コマ打ち、というのがあるらしい。ディズニー映画なんかの場合だと、1秒間に24コマ

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モルカーを見て病んでしまった話。

モルカーを見て病んでしまった話。

毎日アニメを描いている 正月から毎日一本、5秒〜10秒のアニメを描いている。2本の日もあるけど「毎日やる」のは目的ではなくて手段だ。とにかく、取り憑かれたように様々な手法で描いている。ただ、インスタでアップするようになってから、仕上がりの目標ができたような気はする。

 短くて、何らかのコンセプトがあって、見ていられる動画。そんなところだ。自前のキャラを動かして、真面目にアニメの練習だ。特に注目さ

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丑年にうしの絵を描く。

丑年にうしの絵を描く。



 丑年なので、うしめいた絵を描きたいと考えた。仕事で編集した映像をレンダリングしている最中のことである。レンダリングの最中は基本的にエラーをチェックするくらいしかやることがない。そこで大晦日の果てに絵を描いた。見ようによってはうしにも見えるロボットだ。戦車のように分厚い装甲と、悪路も駆け抜ける軽快な脚周りを持ち、刺又型の鉄の棒を振り回す突撃巨大歩兵、牛頭。

 描いてみたら、絵を描くのが楽しく

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「最近の○○がわからない」がわからない。

「最近の○○がわからない」がわからない。

 冬になると夜になるのが早い、夏は逆にいつまでも夕方が続く。毎年、同じことにおどろくのは、感性がゆたかなのではなく、記憶力が曖昧で情報の管理能力が希薄だからだ。例えば床の上に積まれた資料としての本、壁際に積み上げられたいつ使うのかわからない(だが確実に必要になる)小道具制作のための道具たち。すでに頭の中では整理しきれてはおらず、目録を作ることも放棄している何かたち。机の上に置かれたiPad、その下

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モノローグについて

モノローグについて

 モノローグの作品を、一度だけ書いたことがあった。

 モノローグ演劇祭に出演した時に書いたのは、中年男の独り言だった。『ディズニープリンセスあるあるの歌』というタイトルで応募したものの、中身をさっぱり思いつかない男が、ディズニープリンセスあるあるを列挙し、苦しんだ挙句に倒れ込むと照明が変わり、何一つ変わらない姿の中年男が「ディズニープリンセスあるあるの歌」を歌い出す、という内容だ。

「モノロー

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真夜中の脚本教室第0回

真夜中の脚本教室第0回

 2021年から「真夜中の脚本教室」というのを開くことにした。若輩者の僕が大上段から教えるのではなく、学んできた脚本術や、脚本を書く上での「筋トレ」「ストレッチ」に相当するような練習方を共有できたらな、と思ったからだ。

 先日、第0回を行ったのだが、その前に受講者の新貝さんから早速良いコメントが届いた。理想的な「登場人物(キャラ)が勝手に動き出す」というのはどういう状況か? という疑問だ。

 

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ぼくたちはまだ、殺していない

ぼくたちはまだ、殺していない

 人狼系のゲームをやるといつも思うのが、ほんとぼくって殺しに向いてるな〜、ということなんですよね。実際の暗殺者も「市井の人々に紛れてサッと殺してサッと去る」って言うじゃないですか。ああいうさりげない殺しと、その直後の言い逃れ、たまらなく落ち着いてやれちゃうんですよね。

 ただ、ぼくは楽しいことを何度でも遣りたい性質なんですよ。だから実際に殺しちゃうと毎回イレギュラーだし、次回はまた、いろいろ計画

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役に立つ、役に立たない、役が立つ

役に立つ、役に立たない、役が立つ

【演技にまつわる、生き方のお話です】

 役者が役作りで困っている。しっくり来ない、だの、セリフが出ない、だの、理由は色々あるが、要は気持ちよく演技ができていない、ということだ。ぼくはそれを間違っているとは思わない。思わないけど、効率が悪いなあ、と思う。

 役というのは、脚本の中で何かのために存在する役割の事だ。役者はその役を演じて、物語の進行、観客の感動、舞台の興行のための役に立つ。それが仕事

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おそわる、おしえる、おそれる、おさまる。

おそわる、おしえる、おそれる、おさまる。

 まともに学ぶことを、してこなかった自覚がある。なんでも、独学で本を読み人に会いやり方を見て盗む、そんなのは車輪の再発明で、非効率的で無駄なことだと笑われる。

 言ってることはわかるが、そんなにお前ら教わるの好きか、という疑問がわく。みんな教わるより教えるほうが好きではないか。何かのティップスにつく感謝の言葉よりも目立つのは「こうした方がさらに良い」といったアドバイスの類ではないか。

 一人で

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排便の人類史ー差別はなぜ「悪」になったかー

排便の人類史ー差別はなぜ「悪」になったかー

 人類は、自分にとっての常識をゆるがされると、恐怖を感じます。この恐怖に根付いた他者への攻撃が「差別」です。具体的な害がなくとも「なんとなく怖いから」「なんとなく嫌だから」「不快だから」という理由で他者を害する差別は、現代社会では「悪」とみなされます。

 なぜでしょうか。

 ここで唐突ですが、うんこの歴史をおさらいします(うんこなだけに)。

かつて、人類に便所はありませんでした。 穴居生活を

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