麻草 郁

あさくさかおる。1976年生まれ。造形する脚本家。

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あさくさかおる。1976年生まれ。造形する脚本家。

マガジン

  • マンガについて考えていたこと

    かつて、マンガについていろいろと考えていたことを書いています。

  • 小説

    麻草郁の小説を発表する場です。

  • 脚本家としてのメモ

    脚本家として考えたこと、学んだことについて書いています。

  • 造形する脚本家

    脚本家ですが、造形もしているため、具体的に作ったものを紹介していきます。表紙はJOJOの石仮面です。

  • 麻草の日記

    麻草郁の日記をためておく箱です。

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シグルイタワーを作った日

 今朝、今朝だ。今朝寝ぼけて歩きながらスマホを触っていて、Twitterの固定ツイートにしていた「シグルイタワー」についてのツイートを間違えて消してしまった。とても悲しい。シグルイタワーとは、何か。振り返ってみたい。 シグルイという漫画がある。 南條範夫の短編集『駿河城御前試合』を原作に描かれた、血と愛とマゾヒズムについての物語だ。作者は『覚悟のススメ』『衛府の七忍』を創造した漫画家、山口貴由。『サイバー桃太郎』から運命の出会いを果たし『覚悟のススメ』のチャンピオン連載をお

    • 君たちはどう上下左右に動くか

      #君たちはどう生きるか を見ましたよ。とても面白かった、なんと真正直な作品だ、と、感涙した。まずはじめに罪悪感についての物語だと感じ、それが映画の中でどのように描写されていたのかを思い出すと、その動きは横移動であった。そして、主人公眞人が翻弄される幻想の世界は上下動が支配していた。過去作に顕著であった奥から手前、手前から奥の動きは控えめであり、劇的を排除した抑制が読み取れる。本稿は「アニメーション内での移動」に焦点を絞った評となる。 『君たちはどう生きるか』評  これは、

      • 正月落語/抱負

        朗読劇用脚本。1人〜3人。上演希望の際はご連絡ください。  サテ、落語というのは枕があります。夜寝るやつじゃなくて、お話の前につけるちょっとした会話のこと。 観客であるお客様への語りかけ。 落語家のみなさんは、その語りかけを通して、お客様の今日のご調子や、ウケそうなところなどを見極めるんだそうです。  だから、多くの落語家さんは、枕ではえ〜とかアーとか言って、自然な感じを出すんです。落語の中ではどんな難しい言葉でも流暢に言えるのに、あえて日常会話のように、えー、まあ、話して

        • 春夏秋冬/花暦

          春夏秋冬/花暦 しゅんかしゅうとう/はなごよみ 朗読劇用の脚本です。四人用。上演希望の場合はご連絡ください。 あらすじ 季節の精霊は四人暮らし。彼女たちの模様替えが世界の季節を決めていく。けれど、今年の冬はどうも怠け者のようで……? 役柄 さくら 長女。しっかりもの。 もも 次女。あわてんぼう。 もみじ 三女。メランコリー。 みかん 末っ子。のんびりや。こたつが大好き。 時 冬 さくらナレ「私はさくら、春の妖精。季節を司る私たち四姉妹は、それぞれ春、夏、秋、冬を担当

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        シグルイタワーを作った日

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          『やがて雪になる』

          バレンタインに合わせた朗読公演のための脚本です。https://twitcasting.tv/soc_osaka/shopcart/214210 にて、2023年2月25日(土)23:59まで購入可能。本作の他にも『初詣でない』『正月落語/抱負』『春夏秋冬/花暦』『義理チョコはいらない』を聞くことができます。上演希望の方はメッセージにてご相談ください。 場 高校の校舎 出演 弥生 文芸部の2年生 望月 文芸部の1年生 春日 陸上部の2年生 車谷 生徒会長3年生 『やがて

          『やがて雪になる』

          『現在対未来、死んだ猫と明日の五千万円』 令和座第四回公演『クリエイター偏差値35』評

          麻草 郁 筆者は考える。人は誰もが言い訳を抱えている。昨日寝てなくて、間違えても許してくださいね、この前はうまくいったんですけど、ちょっとよくわからなくて、もう一回いいですか? そう繰り返しているうちに、人生は黄昏を迎え、そしてやがて消えていく。筆者は考える。人間には二種類いる、やる前に言い訳を出すタイプと、やってから言い訳を考えるタイプ。人類の歴史というものは、およそこの二種類が相互に尻尾を食い合いながらひり出した、螺旋形に伸びた巨大なクソ、あるいは言い訳の記念碑である。

          『現在対未来、死んだ猫と明日の五千万円』 令和座第四回公演『クリエイター偏差値35』評

          『千路』 朗読脚本

          『千路』 麻草郁 時 いつ、どことも知れぬ場所 登場 語り部 少女  ひばり 平板な音で言葉を奏でる鳥 旅人 少年、青年、老人 妹 姉を探している子供 □語り出し 語り部「何から残そうか。生きてきた証を、私が生きてここにいたという        証を残すには、何がふさわしいだろうか。たとえば色、命の証、     血の色、髪の色、肌の色、そういった、光を反射する構造の     すべてを、ここに残しておくことはできないだろうか」 ひばり「できませんね」 語り部「と、窓際

          『千路』 朗読脚本

          オープン記念に本質を作った。

          さてさて、いよいよ本日午前10時からスタートする #WorldMaker オープンβ版、クローズド版の終了に向けて、記念の作品を作りました。 クローズド最終日は人型素材を使わずに、背景効果と吹き出し、漫符だけを使って「シンプルTHEネーム」を作りました。何しろ神様の姿は絵には描けないので……(いらすとや素材にベレー帽がなかったので割り切りました)。 これから大量のプレイヤーが参戦することで、おそらく予想もつかないようなすご作品が現れてくれるはずです。それでも二週間の期間、

          オープン記念に本質を作った。

          世界を作れ〜worldmakerβ版体験〜

          マンガのネームを簡単に作れるwebアプリ「WorldMaker」のβ版テストプレイヤーに応募したら受かってしまったので、一般公開までの二週間、アプリを使い倒してみることにした。20000人のうちの500人、19500人の期待を一身に背負っているわけだ。 ↑これが現時点での最新作 どうだろう、なかなかマンガらしくなっているのではないだろうか。 (ちなみにこのお話はぼくが原作脚本を担当した舞台『クォンタムドールズ』を元にしている。作品の初演は

          世界を作れ〜worldmakerβ版体験〜

          歌詞について④

          歌詞について書いていたら、質問をもらった。 Twitterで思いついたことを書くように歌詞を書くのはアリなのでしょうか? どうかな、どうだろう。今日はこのことについて考えてみよう。 思いついたことを書くようにこの「歌詞について」では、聴衆の感覚をコントロールするような押韻や母音子音の使い方などを書いてきた。だけど、歌詞であることを前提としないような、散文的な書き方の歌詞だって、この世にはたくさん存在する。 たとえばaikoの『花火』はこんな歌詞で始まる。 眠りにつく

          歌詞について④

          歌詞について③

          今日も歌詞について、自分が気にしていることなどを書く。前回はこちら。 駅へ行く道を聞かれているのに、駅とはなにか、道とはなにか、みたいな話ばかりをしている気がする。あまりそういう話を喜べる人はいない。今日こそはすぐに役立つ歌詞の書き方を目指して進もう。 文字数は気にするべきかこれ以上何を失えば 心は許されるの どれほどの痛みならば もう一度君に会える one more time 季節ようつろわないで one more time ふざけあった時間よ これは、山崎まさよし『

          歌詞について③

          歌詞について②

          昨日は子音と母音の使い方について書いた。 ちょっとなんだろうな、ラーメンの作り方を書くときに、麺の加水率について説明し始めるような感じになってしまったような気がする。なので、今日はもう少し抽象的な話をしたい。 あなたは歌詞で、何がしたいのだろうか。例えば韻を踏みたいのかもしれない。 韻を踏みたい歌詞の華といえば、やはり韻を踏むことだろう。漢詩の時代から、読んだときに発する音で韻を踏むのは気持ちがいいものだ。では、あなたは歌詞で韻を踏みたいのだろうか。 最後の花火に今年

          歌詞について②

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          歌詞について

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          独り言が多いことに今更気がついた。

           喉の外側の筋肉が痛い。風邪でひどく咳をしたのでもなく、寝違えたのでもない。ただなんとなく痛い。不思議だなと思いながら四日間、喋る仕事をした。うち三日間は昼と夜。ずーっと喋りっぱなし。  夜、唐揚げを食べると、飲み込むのに痛みが伴った。よく噛まないでのどごしを楽しむために、熱くてデカい唐揚げは最適なのに。  どうやら、声帯のまわりが腫れているらしい。原因はたぶん、夜中に小声で歌い続けたせいだ。喉を絞って小さな声で、ハイトーンの歌に挑戦した。編集作業をしながら延々と、気づけ

          独り言が多いことに今更気がついた。

          あいがて

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          「手の演技」について

           表紙画像のギャンについている左手は商品名「SHAKA」つまり釈迦の掌を模したインディーズの造形作品(再生工場さん)で、販売されているハンドパーツです。市販のメーカー品とは一味違う形をしています。簡単に言えば「小指の位置が上がっている」わけです。  これは同じパーツで違うポーズを取らせた時のもの。モビルスーツにあるまじき色気がただよっています。サーベルを持つ方の手は、厳密に言えば、指の隙間は二ミリ用、サーベルの軸は三ミリなので、弾力を利用して挟んでいるだけなのですが、小指だ

          「手の演技」について