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ー外へ一歩も出られなかった頃ー

はじめに

発症してから10年弱。私は一歩も外へ出られなかった。
ここ数年は、トリガーになってしまう場所以外であれば、問題なく外へ出かける事が出来ている。
今回は、あの頃を思い出しながら書いていこうと思う。


明確な理由は分からない

発症と同時に、かなり重篤なパニック障害も併発した。
洗濯物を干すために昨日まで出ていたベランダへすら出られなくなり、窓の近くへ行く事も出来なくなった。

発作が起きると、天地も前後も不覚になり、首を絞められたように苦しくて息ができない。
目の前が真っ白になって何も見えない。心臓の音だけやたらと大きい。死んでしまうのではないかという恐怖に支配される。
パイロットが空間識失調Vertigoを起こすと、こんな感じだろうか…。

パニックを起こしてしまう明確な原因は分からないが、恐らく最初の夫の脅迫やストーカー行為が直接的なトリガーになっている。
被害を受けていた当時は常に
「殺されるかも知れない」
「すぐに電話番号がバレて、日々嫌がらせや脅迫の電話がかかってくる」
という脅威に晒されていたのだから、無理もない。

窓の外から見張られているかも知れないと思うと発作を起こした。
その恐怖と発作の苦しさで、まるで外へ出なくなってしまった。


外を散歩してみたい

どれくらいの期間が経ったか忘れたが、部屋の隅でガタガタ震えて怯える状況を脱した私は、パソコンに逃げ込むようになった。
元々パソコンが好きで、時間を忘れて弄っていられる方だった。

そこで出会ったのがネットゲーム。主にMMORPGやMORPGだった。
キャラクターを育てる事より、美しく広大に作られた景観の中を走り回るのが好きで、次の景色(Map)見たさに最低限の育成をする程度だった。

私の分身が草原を駆けていく。時には空を飛び、上空から全景を眺める。私のキャラクターは、私の代わりに様々な場所へ元気に出かけていった。
私はすっかり夢中になった。


仲良くなった数名の友達

当時、本当に偶然仲良くなった人が数人居た。
その頃はSkypeでやり取りしながら遊んでいて、リアルでは誰とも話せないのに、彼らとは会話をする事が出来た。
そして、なぜ彼らに自分の病気の事を話したのか覚えていないのだが、私が精神疾患を抱えているとを知っても、彼らは変わらず仲良くしてくれていた。

一緒に遊んでいる時に発作を起こす事も有ったのだが、彼らは淡々と受け止め、私が落ち着くまでSkypeを繋いだままにしてくれていた。
そしてまた、何事も無かったかのように一緒に遊ぶ。

そんな彼らとは、10数年が経った今でも連絡を取り合っていて、機会があればリアルでも行き来するような仲になった。

山口。兵庫。埼玉。東京。

てんでバラバラな場所に住んでいるが、仲間の1人が結婚したと聞いて遠方から祝いに駆けつけ、私のライブ・ツアーにも足を運んでくれた。
海外出張へ行ってきたからと、土産を送ってきてくれる事も有った。
年齢も住む場所もバラバラだけれど、きっと彼らとは、今後も友達で居続けられるのだろうと、漠然とだが感じている。

こんな友達など、まず出来るものでは無いと思う。
あの頃、同じネットゲームに嵌ってはまっていて、たまたま仲良くなった。
なぜかお互いの事を開示できた。
彼らが居なかったら、またこうやって外を歩く事なんて出来なかったかも知れない。

BelleIsle」
フランス語で「美しい島」という意味の国産MMORPG。
調べてみたら、PVが残っていた。
2007年2月28日からサービス開始だったようだ。
彼らと、もう15年もの付き合いなのかと、改めて驚く。


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