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番外編 どんな習いごとがいいの?

亀子がウサギ仙人(ウ仙)に習いごとのことを質問したので、その話になった。

ウ仙「習いごとをどうすればいいかを聞いておったのぅ」

亀子「そうなんです。子どもの習いごとをいつから始めればよいかわからなくって・・・」

ウ仙「ちなみにおぬしは何を習っておったんじゃ?」

亀子「私は公文式とピアノと水泳をやってました。あと母についていって茶道を少々」

ウ仙「なるほど。女の子のスタンダードな習いごとという感じがするのぅ」

亀子「スタンダードってあるんですか?」

ウ仙「成長意欲のことをずいぶんと語ってきたから、子どもがやりたい習いごとに通わせるのが一番なんじゃがな。子どもがやりたい習いごとが何かというのはやってみないとわからないじゃろ」

亀子「そうなんですよ。だから入会無料キャンペーンみたいなのをいっぱい探しています」

ウ仙「まぁその手のタイプはやめておいたほうがいいのじゃが、それは後で話をすることにして。プロ野球選手がやっていた習いごとの1位って何じゃと思う」

亀子「えつ?野球教室とかリトルリーグなんじゃないですか?」

ウ仙「もちろん小さい頃から野球をやっていた人間が多いのじゃが、それ以外の習いごとで言えば、水泳が一番多いんじゃ」

亀子「意外ですね。水泳でオリンピック選手を目指さなかったんですか?」

ウ仙「人には合う合わないがあるからな。もちろん水泳でも代表になれるくらいの素質があったのに、野球の道を選んでプロ野球選手になった者もおるじゃろぅ」

亀子「プロ野球選手は日本を代表するアスリートの塊って感じがしますもんね」

ウ仙「しかし大半の人間は水泳ではなく野球選手として道を選んで、そこで大成したんじゃ」

亀子「亀田三兄弟もボクシング選手としての道を選んで、そこで大成しましたね」

ウ仙「ではなぜプロ野球選手に水泳の習いごとをしていた人間が多いのか。水泳を経験すると、筋肉が柔らかくなると言われている。ただ野球だけをやっていると、筋肉が固くなって故障が多くなったり、能力にも限界が出てくるが、水泳のおかげで怪我をせず野球の才能も伸ばせるのではないかと言われておるのぅ」

亀子「亀田三兄弟もボクシングのために空手をやっていたらしいです」

ウ仙「似たようなもんじゃが、亀田三兄弟の場合は最初からボクシングで世界チャンピオンという夢があったじゃろ。多くの人間は習いごとを始める段階では、まだどの道に進むか決まっていない者が多い」

亀子「なるほど」

ウ仙「スポーツ分野で何かしたいと思うものの何が合っているかわからない状態だと、選択肢の幅を拡げるほうがよいのじゃ」

亀子「選択肢の幅?」

ウ仙「水泳は筋肉が柔らかくなるから、どんなスポーツにも応用がきくんじゃ。だからスポーツ選手を目指すなら水泳教室に通わせて損はないじゃろぅ。ただ運動神経や身体の柔軟性でいえば、体操教室やバレエスクールじゃな」

亀子「そういうことなんですね」

ウ仙「もちろん、本人が野球教室やサッカー教室などを気に入れば、そこに通わせればよいが、運動系でいえば水泳・体操・バレエはダブルで通わせても運動選手としての素質は伸ばしてくれるじゃろ」

亀子「可能性を広げるってことですね」

ウ仙「おぬしが通っておったピアノは音楽分野でいえば、さっきの水泳や体操教室のようなものじゃな」

亀子「というと」

ウ仙「ピアノに通えば音楽の基本が身につくじゃろ」

亀子「たしかにそうですね」

ウ仙「ただ絶対音感というのは、3歳くらいまでにきちんとしたトレーニングで身に付けないといけないので、小さい頃から通わせないといかんじゃろうな」

亀子「うちの亀吉はもう手遅れですかね」

ウ仙「プロの歌手や芸術家を目指すのであれば必要じゃろうが、そうでなければ無理に身に付けることもなかろう」

亀子「うちの子の可能性を広げようかと・・・」

ウ仙「『題名のない音楽会』によく出演しておられる大谷靖子さんというバイオリニストがおるんじゃがな。『プロのバイオリニストになりたければ、生活音、たとえばドアをノックする音、扉を閉める音などをすべてバイオリンで表現できるようにならないといけない』って言ってたのじゃよ」

亀子「やっぱりプロの道は厳しいですね」

ウ仙「ちなみに大谷靖子さんの弾いているバイオリンは、300年前に製造されたピエトロ・グァルネリと言って8億円もするらしい」

亀子「バイオリンと言えば、ストラディバリウスくらいしか知りませんでした」

ウ仙「とにかくその分野の基本を身に付けさせてくれる習いごとに通わせれば、子どもの選択肢の幅は拡がるじゃろ」

亀子「お勉強系はどうすればよいでしょうか」

ウ仙「お勉強系の基本と言えば、寺子屋と同じで『読み書きソロバン』じゃな」

亀子「江戸時代にさかのぼりましたね」

ウ仙「そういう意味では公文式は読み書きも教えてくれるし、計算もできるようになるじゃろ」

亀子「ソロバンじゃなくてよいのですか?」

ウ仙「計算ができるようになれば、公文式でもソロバンでもかまわんよ。それぞれスタイルがあるからな。ちなみにわし自身はソロバンに通っておったからソロバン派なんじゃが、公文式に通っておった友人を見たら、どっちでもいいと思っておる」

亀子「私は逆にソロバンがよくわからないです」

ウ仙「読み方教室というのは最近はなかなかないが、幼稚園や保育園の放課後教室なんかでやっているところがあるな」

亀子「それは調べてみようと思います」

ウ仙「将来の社会的地位は母国語の言語能力で決まるから、読みを鍛えるのは本当は大事なんじゃがな」

亀子「それは詳しく聞きたいですね」

ウ仙「これも話すと長くなるから、また別の機会じゃな」

亀子「お願いします」

ウ仙「書きのほうは、書道や書き方教室ということになるな」

亀子「字はきれいなほうがいいですね」

ウ仙「たしかに字は人を表すというからな。しかし書道や書き方教室は技術だけでなく、姿勢を正すというような生き方の基本も教えてくれるところが多いな」

亀子「生き方の基本?」

ウ仙「そうじゃ。今回は子どもの人生の可能性を広げるには、どんな習いごとがいいかについて伝授したが、同じ習いごとでもどんな教室に通ったら人生の可能性が広がるかについて、次回伝授しよう」

亀子「わかりました。でもウサギ仙人様の考え方って徹底してるんですね」

ウ仙「子育てというのは、要は目的を決めて、その目的に近づくようにすべてのことを決めていくのじゃから、習いごと一つとっても、おぬしの場合は『子どもを幸せにする』という目的に沿うように決めればよいんじゃ」

亀子「少しずつレベルアップしてる気がします」

こうして亀子はレベルが上がった。
習いごとの選び方を身に付けた。(つづく)

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