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子育て四訓

ウサギ仙人からしつけ塾の話を伝授してもらった亀子であったが、

亀子「反抗期の子どもとどう付き合っていけばよいんでしょうか?」

ウ仙「そもそも子どもとは年齢に応じて、距離を変えないといかんのじゃ」

亀子「距離?」

ウ仙「子育て四訓というものがある」

乳児は、肌を離すな
幼児は、肌を離して手を離すな
少年は、手を離して目を離すな
青年は、目を離して心を離すな

亀子「誰が言い出したんですか?」

ウ仙「一説にはアメリカのインディアンに伝わる言葉らしいのじゃ」

亀子「いい言葉ですね」

乳児は、生まれてから3歳になるまで。
幼児は3歳から6歳まで。
少年は6歳から12歳。
青年は12歳以上

ウ仙「これくらいに考えるとよいじゃろぅ」

亀子「じゃうちは『肌を離せ、手を離すな』の時期に差しかかったということですね」

ウ仙「反抗期が始まるということはそういうことじゃな」

亀子「現実的にはどれくらいの距離なんですか?」

ウ仙「『乳児は肌を離すな』というのは、常に視界の中に入れておく、本人の姿が見える場所にいるということなんじゃが、『肌を離せ、手を離すな』というのは、視界の中にはいなくても、家の中のどこにいるかを把握しておくということじゃな」

亀子「なるほど。では少年になれば・・・」

ウ仙「『手を離せ目を離すな』は、一人で外に遊びにいかせてもかまわんが、どこに行ったのかを把握しておくことじゃな」

亀子「どこに行ったのか?」

お友達の家に遊びに行ってコミュニケーションのトレーニングを積む

ウ仙「お友達の家に遊びに行くことは大いにいいことなんじゃよ。たとえば今は携帯電話・スマホが普及してしまって、青年になると、電話をかければ直接相手が出てくれる。昔はそうはいかなかったじゃろ?」

亀子「彼氏の家に電話して、母親が出たら、ドキドキしましたね」

ウ仙「お友達の家に遊びに行って、インターフォンを鳴らせばだれが出てくるかわからん。出てきた相手に対して、自分の名前を告げ、遊びたい旨を伝えないといけないことはいいコミュニケーションのトレーニングになるんじゃよ」

亀子「そういうことですか。で、青年は・・・」

ウ仙「青年ともなれば、どこに行ったのかも聞くのは野暮ということじゃ」

亀子「ほっといて大丈夫なんですか?」

ウ仙「何度も心配は百害あって一利なしと言っておるじゃろ。ただし『心を離すな』じゃから、何かあったら助けてやらんといかん」

亀子「そういうことですか」

ウ仙「ちなみに子育て四訓には続きがあるんじゃよ」

小学生は暗くなる前に帰りなさい。
中学生は暗くなったら帰りなさい。
高校生は日付が変わる前に帰りなさい。
大学生は盆と正月くらいは帰りなさい。
大学院生は帰れる家があることに感謝しなさい。
社会人になったら、子どもが安心して帰ってこれるような家を、 今度は自分がつくれるようにしなさい。

亀子「大人になっても親にとっては子どもなんですね」

ウ仙「そういうことじゃな」

こうして亀子はレベルが上がった。
『子育て十訓』を覚えた。(つづく)


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