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【フレームワーク】5Forces分析




はじめに(再掲)

※本題ではないので、飛ばして頂いても結構です
ビジネスの現場では、フレームワークがよく活用される。
あくまでスキルの一種でしかないので、フレームワークが万能であるとは思わない。
ただ、何かしらの目的を達成しようと思った際に以下の対応が必要である。
・効率的に思考する
・思考、論点を整理する
・認識のずれをなくす
・思考を可視化する
・思考を伝達する

上記を明確なスキルとして体系化したものがフレームワークだと考えている。
コンサルティングの現場ではよく使われるこのフレームワークだが、
このフレームワークを使うことが目的でないということは理解しておきたい。
…フレームワーク症候群のように、なんでもかんでも既存の枠に収めようとすると、
新しい発想や創造を遠ざける可能性がある。
新しいものは既存の枠を超えて産まれるのである。
ただ、このフレームというものも新たに生まれるということは理解しておきたい。
フレームワーク症候群はあくまで既存のフレームに当てはめようと思った場合の話である。

複数回に分けて、既存のフレームや自身で考えたフレームを記事に整理していこうと思う。
今回は外部環境を俯瞰的に捉えるために用いられる
5Forces分析
に関して…

5Forces分析とは


5Forces分析は、業界の魅力度や競争状況を評価するための
マイケル・ポーターによって提唱された外部環境の評価モデルである。
経営戦略の策定や環境分析において、一般的に使用されるフレームワークである。
5Forcesはその名の通り、5つの要素で構成される。
それぞれの要素は以下の通りである。
1.競争環境
2.売手の交渉力
3.買手の交渉力
4.新規参入の脅威
5.代替品の脅威

各要素は、それぞれ以下のような内容、評価の観点を有す

  1. 競争環境
    競合他社の数と競争力を評価
    ・市場シェアや成長率、競争戦略などを考慮し、競争の激しさを評価
    ・激しい競争が価格を下げ、利益率を圧迫する可能性有

  2. 売手の交渉力
    ・材料やサービスの供給者が価格や条件を交渉する力を評価
    ・供給者の集中度や供給の安定性を考慮
    ・供給者の強力な交渉力は、原価コスト増加などの影響をもたらす可能性
     が高い

  3. 買手の交渉力
    顧客が価格や条件を交渉する力を評価
    ・顧客の集中度や需給関係による影響大
    ・顧客の強力な交渉力は、価格引き下げなどの要求につながる可能性が
     高い

  4. 新規参入の脅威
    ・新規事業者や他社が市場に参入する可能性を評価
    ・資本要件、ブランド力、技術的要素など、参入障壁の高さを評価
    ・新規参入が容易な業界の場合、競争が激しくなる可能性が高い

  5. 代替品の脅威
    ・顧客のニーズに対応した別の商品やサービスに関する評価
    ・代替品の入手可能性や提供価格の差が重要
    ・代替品が多い場合、業界の収益や需要が減少する可能性大


とまあ、簡潔にいくとこんなところだ。
これを意思決定につなげていくには、
自社の業界にかんする5Forces分析が必要なのである。


分析項目例(飲食業界)


5Forces分析のような分析を行う際に最も注意しなければいけないのは、それが自社・自事業・自業界に影響を与える要素なのかどうかを把握することである。
関係のない要素を拾ってしまっては、かえって意思決定の妨げになる可能性がある。
なので、5Forcesの各要素をどの基準(自社・自事業・自業界)に基づいて
分析するかを先に定める必要がある。
ここでは、飲食事業を行っている事業者として5Forces分析を行う際の検討すべき項目例を提示しよう。


  1. 競争環境
    飲食業界では同業他社や外食チェーン、地域の飲食店などが競合相手
    ・競争相手の数や市場シェア、売上高の推移を調査して、競争の激しさを   
     評価
    ・メニューやサービス、価格設定戦略などの状況で、競争環境を評価する
    ・数字に表れない接客等の評判に関しても評価する必要がある

  2. 売手の交渉力
    ・飲食業界では、食材や原材料の供給者が価格や供給条件を交渉する力を
     持つことが多い
    ・供給者の集中度、供給の安定性、代替供給源の存在などを評価し、供給 
     リスクを分析
    ・ある原材料は一社でしか供給ができないような状況の場合は、その一社
     が価格や流通量を決定することができることから、売手の交渉力は非常
     に高いと想定される

  3. 買手の交渉力
    顧客は飲食業界で価格やサービスを交渉する力を持つことがある
    ・地域における顧客の集中度、顧客の重要性、顧客の情報アクセスなどを
     評価し、顧客の交渉力を評価する
    ・顧客が当該地域において、店舗やサービスを自由に選べる環境である
     ほど、買手の交渉力は高いと評価される

  4. 新規参入の脅威
    ・飲食業界は比較的低い資本投資で新規参入が可能だが、衛生規制や
     ブランド構築の難しさも存在
    ・参入にあたり必要な資本力、技術力、ブランド力を評価し、
     新規参入の脅威を考慮

  5. 代替品の脅威
    飲食業界では、同じカテゴリの異なる店舗や他の業態の飲食店が代替品となり得る
    ・また、外食でしか食べられなかったものが家で食べれるような商品・宅配サービス等も代替品として考えられる
    ・代替品の価格、品質、アクセスの容易さを評価し、顧客が代替品にシフトする可能性を評価する

このように、事業に応じて5Forcesの各項目で見るべき内容が変わってくる。
そのため、まず5Forces分析を行う際に基準となる指標を決める必要があることを忘れぬように留意が必要だ。
これらを整理することで、以下のような考察や、対応の土台となる検討ができるようになる。

対応方針例(飲食業界)


  1. 競争環境
    メニューの差別化や独自のサービス、価格設定戦略などで、競合他社との差をつけることが求められる

  2. 売手の交渉力
    ⇒複数の供給先との協力関係を築くか、長期契約を検討することで、供給リスクを軽減する

  3. 買手の交渉力
    顧客満足度向上やリピート率の向上を通じて、顧客の離反を防ぐことが重要
    ⇒自社・自店舗独自のブランドを構築し、周囲との競争に巻き込まれないようにすることを検討する

  4. 新規参入の脅威
    ⇒自社の独自性や地域的な強み、顧客ロイヤルティを高めることで、
    新規参入者に対する競争優位性を維持する

  5. 代替品の脅威
    ⇒健康志向や食事トレンドに合った提供、特別なメニューや体験を提供することで、代替品への対抗策を検討する


分析というのは最終的な方針等の決定につながってこそのものである。
整理して終わりではなく、それをどう活かすか…という部分が肝になってくるので、注意が必要だ。
またこの5Forces分析も業界や事業、特定の領域に絞った例を記事にしてみようと思う。
一旦、今回は全体感を掴む概要ということでの整理にとどめます。

今後もビジネス、コンサルティングの現場で活用されるフレームワークについて整理していきたいと思います。
活用の仕方や、経営に関するご相談も受け付けておりますので、フォロー・メッセージお願いします。


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