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父親は娘が生まれると男女平等志向になる

子どもが生まれるという経験は,母親だけでなく父親の意識も変えるのでしょうか。

夫婦にとって,子どもが生まれるという出来事は,生活を一変させる大きなイベントです。そして子どもは,夫婦の行動を大きく制限する要因でもあります。どこかに出かけようとしても気軽にすることはできず,入念な準備とタイミングの見極めが必要になってきます。そんなことが繰り返されて,そのうち出かけるのもおっくうになってしまうことになってしまうかもしれません。

しかし,もちろん良いこと,楽しいこともいっぱいあるのです。子どもの成長を見守ることは楽しいものです。そして,あれよあれよとあっという間に大きくなってしまうのは,悲しいことです。

お子さんが生まれた方に「何かアドバイスはありますか」と聞かれたときには,「できるだけたくさん記録をとっておくことです」と答えることが多いように思います。なんといっても,親の記憶は薄れていきます。そして,いつのことだったか,夫婦の間だけでも記憶が一致せず,混同していくことがわかります。それを避けるには,できるだけ写真を撮り,動画を撮影しておくことです。

今ではネットのクラウド上にいくらでも撮影したものをストックできますし,自動的に撮影日順に並べてくれますので,以前に比べれば格段に撮影したものを整理しやすくなっているはずです。

父親は幸福に

さて,以前に紹介した論文ですが,子どもが生まれても母親はあまり幸福感が高まらないのに対して,父親はより幸福感が高くなる傾向があるようなのです。母親は子どもが生まれることをネガティブに,父親はポジティブに捉えがちということなのでしょうか。

ただしそれは,家庭内の母親と父親の子どもに対する接し方の違いが反映しているようです。母親は子どもの「世話」をする傾向があるのに対し,父親は子どもと「遊ぶ」傾向が多いことが,幸福感にも関連しているのではないかということです。

この研究結果では,父親は子育ての「いいとこ取り」をしていると言われてもしょうがないのかもしれません……。

娘をもつと

子どもが男女どちらが生まれるかは,予想できないことです。男女どちらが生まれても同じように育てていこうと思うものだとは思うのですが,現在の社会の中でこの子がどのように育っていくのかを考えると,男の子と女の子を同じようには捉えにくい面も出てくるようです。

娘が生まれると,父親にどのような変化が生じるのでしょうか。この論文(The First Daughter Effect: The Impact of Fathering Daughters on Men's Preferences for Gender Equality Policies)では,父親の政治的な態度の変化に注目しています。

ふたつの仮説

現在の世の中では,男女を平等に扱おうという方向に全体的な流れが進んでいます。しかし,そこには明示的・暗示的にいろいろなハードルがあるのも事実です。それは,親が自分の子の死だって行くイメージを思い浮かべる時にも反映します。「この子は将来,どの学校に進学するのだろうか」「どんな職業に就くのだろう」「何歳くらいで結婚するのだろうか」こういったイメージには,その社会の中で男性と女性がどのような立場に置かれているかという社会的な状況,そして親がそれまでどのようにその問題を考えてきたのかということが反映します。

そういったことを背景に,この論文ではいくつかの仮説が設定されています。

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