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体重増加は自己コントロールと白黒思考で説明できるのか

(もしもこの記事をお読みになっているみなさんが成人しているなら,ですけれども)みなさんは,成人してからの体重の変化のパターンは次のうちどれがいちばん当てはまりますか?

1. 体重はほとんど変わらず維持している
2. 長期間かけて体重が少しずつ減りながら維持している
3. 一時期体重が増えたが,ダイエットをしてもとに戻った
4. 体重が増えたらダイエットをして減らすということを何度か繰り返した
5. 体重はずっと減り続けてきた
6. 体重はずっと増え続けてきた

2.も5.も体重が減っているのですが,2.のほうが減少が緩やかなパターンです。また3.と4.もよく似ていますが,3.は長期的に増えて減ってきたというパターンで,4.は短期的に何度も上下を繰り返してきたパターンです。

さて,どれが一番近いでしょうか。

白黒思考

ものごとを白か黒か,ゼロか100か,勝ちか負けか,といったように極端な2つの選択肢でとらえようとする傾向のことを,二分法的思考といいます。私自身も,この思考態度の研究をしているのですが,食事に関連する二分法的思考の研究も,海外ではよく行われています。

特に摂食障害(拒食や過食)に,二分法的な思考が関連するということも言われていますので,体重のコントロールにとって二分法的思考は重要な心理的側面の一つとなります。

自己コントロール

ある目標があるときに,その目標に向かって自分自身の行動や態度を調整しつつ,目標の達成に向かっていくことを,自己調整とか自己コントロールといいます。これには,目標を設定したり,自分自身をモニタリングしたり,自分自身を評価したり,何らかの行動を起こすといったように,いくつかの要素が含まれています。

現在のわたしたちの生活の中では,自由に食物をとるとだいたい「食べ過ぎ」になってしまいますので,体重管理には自分自身をコントロールすることが不可欠となっています。

体重管理

二分法的な思考と自己コントロールは,体重管理に対してどのように影響するのでしょうか。たとえば,二分法的志向が強いと,すぐに体重管理を「失敗」「成功」と考えてしまいますので,自己コントロールを妨げて不安定な自己管理につながりそうです。

実際に,二分法的思考と自己コントロールが体重管理に対してどのように関連していくのでしょうか。この点を検討した論文を見てみましょう(Can self-regulation explain why not everyone is overweight or obese?)。

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