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UXデザインのケーススタディのような サービス~『使いやすい』と『ために なる』を突き詰める仕掛けとは~

 日経電子版の記事【おいしいお店、LINEで探して予約まで ビスポ】でリポートされている「ビスポ」の飲食店予約サービスは、サービス設計の教科書のケーススタディーにしたいような、UXをとことん突き詰めたサービスだと思います。


 さっそく、一般論として、このようなサービスの『強み』をピックアップして、さらに課題(こんな機能あったらいいな)も検討してみると――


(1)利用開始のハードルが低い

 対話アプリでサービスを友達登録すれば利用できる、というデザイン。専用のアプリをダウンロードする必要がなく、利用開始のハードルが低い。

 ▶ 海外を含めた複数の対話アプリとの連携が課題


(2)ワンストップのサービスでストレスレス

 対話アプリ上で予約まで完結する、というデザイン。複数のアプリを行ったり来たりする必要がなく、ワンストップでストレスレス。

 ▶ 決済まで含めたサービスにできないかが課題と思われる。

 ▶ アクセス、ルート検索との連携も。


(3)予約可能な店のみ表示して手間を省く

 予約台帳サービスと連携して空席のある店のみ表示する、というデザイン。たくさんの店の中から探し出す手間が省ける。

 ▶「今日は予約までしないで、今度行く店を前もって目星を付けて
  おきたい
」というUXへの対応も必要か。

 ▶ それと連動して、店舗のお気に入り登録も。

 ▶ さらには、キャンセル・空席が出た時のアラート機能も。


(4)希望する店を見つけ易いユーザビリティ

 チャット型サービスで、一問一答で会話しながら希望する店を絞り込んでいくので、検索方式と違い、見付けにくいものが見付けやすくなり、しかもスピーディー、というデザイン。最も肝心なユーザビリティに優れている。

 ▶ AIチャットボットを導入して、会話のフローチャートをより複雑化
  できれば、ユーザーのより細かな要望、条件提示にも応えられる
ように
  なるのではないか。

 ▶ AIがユーザーの好みを予測してレコメンドする機能なども考え
  られる。


(5)会話という最も自然なインタラクション

 チャットによって自然に操作できる、というデザイン。人間にとって最も自然なインタラクションである会話を使っている、という優位性。

 ▶ 音声入力に対応できれば、さらに自然な操作が実現できる。

 ▶ 複数の友人と会話しながら行くお店を決められる機能があれば、
  さらにUXは向上する
(グループトークなど)。

 ▶ このサービスは会話によるインタラクションなので、翻訳機能さえ
  あればインバウンドにも対応できる
ようになる。


(6)忘れてならないもう一方のユーザー『B』に
  配慮した三方良し

 他の多くの飲食店予約サービスと違って、忘れてならないこのサービスのもう一方のユーザーである『B(企業)』、飲食店に月額料金や予約成立手数料が発生しない収益モデル、というデザイン。飲食店にとって大きな負担となりかねない予約手数料をなくして、三方良し(顧客・飲食店・飲食業界の活性化)のバランス感覚にポリシーがある。

 ▶ 記事にもあるように、有料会員限定のプレミアムコンテンツでの課金
  や、飲食店での飲料品メーカーのキャンペーンによる広告費など、安定
  した収益モデルの構築
が課題。


 こうして見てくると、このようなサービスのデザインには、大きなポテンシャルを感じざるを得ません。このようなサービスが、ユーザーにとって『使いやすい』を追求したもの、そして、飲食店の『ためになる』を追求したものとなっている、そのキーポイント、UX最大化の仕掛けとは何なのか――


▶UX最大化の仕掛け

①【機能の拡張性】・・・ 対話アプリ上のサービスに
 なっている事で、様々な機能の拡張が出来る。

②【自然なUI】・・・対話というインタラクションで
 自然なユーザビリティを実現している。

③【ワンストップ】・・・飲食店に行くというUXを、
 全てのフェーズに渡ってワンストップで実現して
 いる。

④【ネットワーク効果】・・・『機能の拡張性』などに
 よってユーザーが増えていき、『三方良し』などに
 よって掲載飲食店が増え、その相乗効果で
 店舗とユーザーが加速度的に増えていく効率的な
 ネットワーク効果の仕組みが出来ている。


 今回の事例、「ビスポ」の飲食店予約サービスは、とても参考になりました。UXを突き詰める事の重要性が再確認できたように思います。


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