見出し画像

今一番オープンイノベーションが必要なのは行政

 日経電子版の記事【前代未聞の未来像 「理想」か「独りよがり」か
未来へ 東京都長期戦略(上)】は、2020年オリンピック・パラリンピック後の10年間をカバーする東京都の「長期戦略」に関するリポートです。



 この記事、タイトルに「前代未聞」・「独りよがり」とぶっ飛んだ文字が躍っていたので思わず読んでしまったのですが、一読、何か違和感のようなものを覚えました。……一体どこに違和感を覚えたのか、再読してひっかかったのは、次のくだりです――

(記事より)
都が8月、長期戦略の「論点」を発表すると、9月の都議会では「独りよがり」「都民に誤ったメッセージを伝えている」と批判が飛んだ。

 完全に文脈が切り取られているため、定かなことは言えませんが、少なくとも、記事中に表示された「都が示した主な未来像」13項目は、少子高齢化・女性の活躍・教育・無電柱化・デジタルガバメント・イノベーション・アート・スポーツ・都会の自然、云々と、第4次産業革命というイノベーションの時代にふさわしい『社会課題』を果敢かつ重点的に取り上げた、まさに都民の求めているものであり、これを追求しようという姿勢は、決して「誤ったメッセージ」とは思えないのです



 そもそも、行政がなかなか現実に追いつかず、『社会課題』が雪だるま式に膨れ上がって、年々その深刻度が増していくのは、達成可能な目標しか立案しないからではないのでしょうか?

 達成可能な施策とは、本当に重要かつ深刻な問題点を回避しているから達成できるのであって、そのような施策をいくら積み上げても、重要な社会課題が解決するはずもありません。

 記事にもあるように、社会課題を真っ正面から捉えて試行錯誤するのは、民間企業にあっては当たり前の事。その感覚からすれば、「都が示した主な未来像」13項目は、至極まっとうなメッセージであり、もしこれが「誤ったメッセージ」だというのなら、残念ながら、いささかハードルが低い、としか言いようがありません。今日本の国民に勇気を与えてくれているラグビーなどを見ても、大きくて困難な課題を達成するためには、高い目標を掲げ切磋琢磨するプロセスがいかに大切であるか分かります。



 今、民間では、イノベーションの達成のために、いかにしてイノベーションの生まれくるエコシステムを構築するか、苦しい模索の日々が続いています。この点は、行政にあっても全く同様に、『行政の場でのイノベーションエコシステム』を構築すべきです。その際最も大切だと思われるのが、『オープンイノベーション』の概念ではないでしょうか?

 広く民間の人材を募って、民間と行政のオープンイノベーションを活性化することが、社会課題解決の唯一残されたメソッドかも知れません。



#COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?