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オッペンハイマーを観るための注意点と、彼がいなければ『ゴジラ−1.0』はなかったという皮肉

過日、クリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』を見ました。イオンシネマ会員「ワタシアター」の月一割引を使って1200円で鑑賞しましたよ。

結論から言うと、ものすごくいい映画だと思います。とりわけ核アレルギーの強い日本での公開が今年になったのはどうかと思います。とっとと公開していればよったのにと思います。だって核を礼賛してませんから。
ぜひ観てください、なーんてアホみたいに勧めるだけではナンなので、これから見る方に3つほど注意点をあげつらっておきます。それがこの映画の欠点に直結します。

1、日本人にとって聴聞会と公聴会は馴染みがないこと
2、時間軸を3つに分けたこと
3、原爆実験が成功したこと

1の公聴会は『ゴッドファーザー』などを観ていれば馴染みはあるかも知れません。しかし、聴聞会は何だかよく分からない制度でした。劇中で説明がありますが、まあ、ロバートダウニーJr.に操られた場所であり、オッペンハイマーを「赤狩り」「レッドパージ」しようとしてる場所、ぐらいに思っておきましょう。

2に関しては、聴聞会というシステムがよく分からないので「時間軸を3つに分けるなら聴聞会シーンは赤っぽい画面にしろよ、赤狩りにつての追及なんだから」ぐらいの文句です。

3は日本人だから、失敗しろと願っただけです。

オッペンハイマーは原爆実験成功によって、物理学者の栄光と、マズいものを発明してしまったという恐れと、死者たちへの懺悔と、のちの世界への懺悔を同時に感じます。
しかし、そのオッペンハイマーの意に反して、日本人はあるものを生み出します。
『鉄腕アトム』や『ゴジラ』です。
『アトム大使』内の登場人物である『鉄腕アトム』の誕生が1951年。東宝が生み出した『ゴジラ』の公開が1954年。アトムは核融合をエネルギーとしています。ゴジラは水爆実験によって誕生した、核の落とし子です。
日本人は広島長崎に原爆を落とされて10年もしないうちに、核による正の遺産と負の遺産を同時期に生み出しているんです。
この時点で、と言うかその前から、日本人の核に対する考え方が枝分かれしていることが分かります。

転んでもただじゃ起き上がらないぜ、日本人は! というネトウヨっぽいことを言うのはNGですからね。

そう言えば、『ドラえもん』も体内に埋め込まれた原子炉によって動いていましたが、東日本大震で福島第一原発が爆発して以降、シレッとその設定をなくしています。

ついでに言うと、北野武監督『キッズリターン』には「原爆ボーイ」というリングネームをつけたボクサーが出てきます。

ここでOMDの『Enola gay』を貼って、本日はおしまい。



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