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2023年の本ベスト約10冊 海外ミステリ

ことし激推しの翻訳もの

みなさん海外ミステリーはお好きですか?

読みづらい…名前が覚えられない…なんて苦手意識をもってちゃいけません。日本映画は見るけど、海外映画は見ないようなものです。世界各国で高品質なミステリーがたくさん書かれています。一冊だけでもいいので、レビューを覗いてみて下さい。

2023年に発売され、かつ40作以上の読了本から選んでいます。こちらも年末年始のお休みに、ゆっくり楽しんでくださいね。


1位 卒業生には向かない真実/ホリー・ジャクソン

2位 頬に哀しみを刻め/S・Aコスビー

3位 父から娘への7つのおとぎ話/アマンダ・ブロック

4位 ニードレス通りの果ての家/カトリオナ・ウォード

5位 トゥルー・クライム・ストーリー/ジョセフ・ノックス

6位 恐るべき太陽/ミシェル・ビュッシ

7位 だからダスティンは死んだ/ピーター・スワンソン

8位 ナイフをひねれば/アンソニー・ホロヴィッツ

9位 哀惜/アン・クリーヴス

10位 渇きの地/クリス・ハマー


作品たちの紹介と総評

新作50作は読みたかったのですが、ちと目標達成ならず。でも話題作は追えたので自信をもっておすすめできる作品ばかりになりました。上半期の評価では『頬に哀しみを刻め』が絶対1位だろと思ってましたが、自由研究シリーズ完結編『卒業生には向かない真実』があまりに衝撃的すぎて1位に躍り出ました。3位以下はほぼ僅差で、どれが上位に食い込んでもおかしくない傑作ばかりの一年でした。

卒業生には向かない真実』は、三部作のシリーズを最初から読んでないと読めない作品なので、1位にするかは悩みました。ただ『自由研究には向かない殺人』『優等生は探偵に向かない』でのピップとラビィの大冒険ぶりが胸に刻まれていて、本作でも彼女たちの活躍に期待していたのです。しかしなんと… 私は誰が何と言おうとも、この愛すべき二人を応援したいです。

犯罪小説、復讐劇の最高峰『頬に哀しみを刻め』は、激熱&超イイ話。自分をアップデートができないオヤジたちの葛藤、でも家族を愛する気持ちは世界一なんです。カッコイイんだけど、決してなりたくないという人物像が魅力な作品。

父から娘への7つのおとぎ話』は、行方不明になった父親を捜す若き女性の物語。ミステリー色は弱めですが、少しずつ父親に興味と愛情が沸いてきてしまう描写が切ない。終盤からの展開は、リアルに涙が止まりませんでした… 実は本作「今年もっとも人におすすめしたい作品」です。

何を読まされているか全くわからない『ニードレス通りの果ての家』。特に序盤は読む力が必要ですが、中盤からは怒涛の面白さが押し寄せてきます。今年いちばんインパクトと驚きがあった作品で、ぞわぞわ感もNo1です。

フェイクドキュメンタリーの『トゥルー・クライム・ストーリー』。地の文が一切なく、すべてインタビュー形式で進行。もう誰の何を信用していいか分からず、人間不信に陥ること間違いなし。「マジかよ」「ウソだろ」ってシーンが何度も登場し、人間ってここまで最低になれるんだな…と、むしろ人生勉強になりました。

恐るべき太陽』は、今年の本格ミステリー枠(海外)ではNo1。クリスティ作品のオマージュですが、もはやオリジナルをも超える素晴らしい一冊。破天荒なメイントリックですが、恐ろしいほど自然に腹におちてしまうという、超絶技巧のミステリーです。

サスペンスの名手、スワンソンの人名シリーズ『だからダスティンは死んだ』。今回はお隣さんトラブル&疑心暗鬼がテーマ。とんでもなく鋭角な角度で物語が展開していきながら、サスペンス感も満載で怖い怖い。ハラハラドキドキしたい方は必読です。

ホロヴィッツの新作『ナイフをひねれば』、今回はホロヴィッツが逮捕されちゃうという散々な目に… いつものとおりドエンタメなミステリーを楽しませてくれる作品です。メインの伏線が秀逸で、これは気づかなかったなぁ

イギリスを舞台に、どの国でもある社会問題をテーマにした『哀惜』。重く痺れる展開が魅力で、人間の弱さや気持ちを理解するためにも読んでおくべき一冊です。

探偵や刑事ではなく、新聞記者が事件の真相を導いてゆく『渇きの地』。オーストラリアで発生した過去の事件を取材しながら、ジャーナリズムとは何か自問自答していく。想像以上に入り組んだ事件で、人間関係と社会背景が濃密。灼熱さ重みで息ができなくなる作品。

以上、2023年の海外ミステリーベスト10でした。海外作品の魅力は映画と同じなんです。アメリカ作品は読者を楽しませるエンタメ力があるし、展開も派手なものが多い。ヨーロッパ作品は芸術性と社会問題性が強く、渋みのある作品が多いですね。

国内ミステリーにはない魅力がたっぷりで、来年もまだまだ海外ミステリーを楽しもうと思いました。素晴らしい作品たちを提供してくれた作家先生、出版社、翻訳家の皆さんにはお礼を言いたいです。ありがとうございました!

他にもたくさんの作品をレビューしています。お時間があるかたは、ぜひ遊びにきてね。


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