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繊細になっていく世の中で


先日Twitterで、ユニ・チャーム社とハヤカワ五味氏のプロジェクト(正確には、ハヤカワ氏はメンバーの一人らしい)#NoBagForMeに関するツイートを目にした。Yahooやハフポなどのニュースでも取り上げられていた。

(ハヤカワ氏は、私が唯一見ている朝のニュース番組モーニングクロスに出演していてコメントも面白いので、注目している)

生理のある当事者としてこのツイートを見ていたが、正直最初は結構違和感があった。

自分(私)の経験からいくと、生理を「恥ずかしいこと」と教えられたこともないし、抑えつけられたこともない。「紙袋」がいらないのであれば、レジでそう言えばいいだけなのでは...(私が鈍感なだけ...?)。

もちろんこれが、「紙袋いる・いらない」という表面的なテーマではないことは予想がついたけれど、イマイチ彼女たちが何を問題視しているのかがよくわからなかった。

私はその程度だったけれど、Twitter上、またはネット上での反応を見ていると結構燃えている様子。ちゃんと検証してないけれど、「そういうのやめて」的な、ネガティブな反応の方が多いように思う。

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そんな中で、当のハヤカワ氏がnoteを更新した。

これまでのプロセスがすごく大変だったようなのだけど、やりたいことは、要するに生理用品の「選択肢を増やす」ということらしい。

なるほど確かに、いわゆる紙ナプキン以外の使い方ってちゃんと習う機会もないし、それにより快適さが増すということであれば賛成してくれる人も多そうだ。デザインがかわいくなることも、みんな超ウェルカムだと思う。

最初からこの真意が伝わっていれば、よりスムーズに賛同を得られたのだろうなあ。
前提の共有って大事。
そして、ムーブメントを起こすことは、大変だ。尊敬。

▶”選択肢”という言葉の罠

ハヤカワ氏のnoteにも幾度となく出てくる”選択肢”という言葉。
あらゆるテーマで"多様性"が叫ばれる中で、「選択」はとても前向きなこととして捉えられている。どのような意見でも、排除するのではなく、「一つの選択肢」として受け入れられたら理想だし、平和だ。

一方で、「選択肢を増やす」ということは物事を細分化、場合によっては複雑化させることにもなる。

細いということはそれほど脆いということだし、

複雑になるなら、「わからない」という人も増える。
それを和らげるための理解促進が必要だ。


▶見えている人と、見えていない人

自分の知らないこと、経験したことのないことだと思考が止まってしまう人は多い。そして、多くの人がそのことに気付いていない。

かく言う私自身そういう傾向があり、多様性の文化には大賛成であるものの、自分自身の環境や鈍感さが相俟って、この生理の話にしても、例えば女性活躍などのテーマにしても、イマイチピンとこないことが多い。そして、それ以上考えようとしてこなかった(反省)。

自分の興味関心のある分野であれば先まで理解を深めていくよう努めるのだろうが、そうでない場合、違和感を放置するか、忘れてしまうか。場合によっては相手を非難・排除するようなことをする人もいる。だってわからないんだもん。しょうがない。

ただ、これはもしかしたら、傷つきながらも選択肢を増やそうとする、先の世界が「見えている人」と「見えていない人」の差なのかもしれない。

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今回は生理の話だけど、例えばセクシュアルマイノリティなら、「男女」ではなく「LGBTQIA+」という幅広い概念があるらしい。これについては「見えていない」人の方が多いだろう(自分自身全然見えていないので詳しいことは書けない)。

概念が幅広くなることは生き方の”選択肢”が増えた結果なのだけれど、多くの人が、「見えている世界」の中で思考を止めてしまっているのが今の段階。

腫れ物のように接する、わからないから関わらない、とか。
その結果、傷ついている人がいる。
周囲から理解を得られていない”選択肢”は、とてももろい。

”選択肢”を増やすことは自由である一方、世の中を繊細にしていくことにつながるのだ。
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▶少しでも先を見るために

最初のハヤカワ氏の話に戻すと、彼女は人より多くのものが「見えている」人なのだと思う。社会的に影響を及ぼしている人は、「見えている」人が多いのだろう。「見えてない人」からの攻撃もあると思うけど、頑張ってほしいなあ。

いろいろな考え方の人がいて、正解・不正解はない。別に、必ずしも先を見る必要もない。

ただ、思考を止めずに、知らないことについて理解して、想像してみよう、ということ。

自分たちが止まっていることに気付いて、歩を進めようとする「想像力」を持てたら傷つく人が減って、幸せな人が増えるかも。

わからない・関わらない、で終わらせずに、想像できる人でありたい。




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