戯曲連載プロジェクト

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ノート

『プライベート』冒頭(戯曲)

『プライベート』

◎密着

(劇作家は、演出家の稽古場に密着する。そこで行われる稽古は架空の作品であっても、実際に上演される作品の稽古であっても良い。劇作家の稽古場での発言権は、演出家及び俳優との話し合いによって決定される。架空の作品である場合は、どのようなシーンを稽古するかの提案も劇作家はしても良いが、その提案の採用不採用についても、演出家に委ねられる。劇作家はそこで行われることを記述する。記

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『想像を絶する』パート5(戯曲)《完結》

水曜日

上司に殺意を抱く
化粧ぐらいしたら? と言われて
してますと訂正を入れるのすら癪で
黙っていた
黙って席について
怒りをくすぶらせながら
キーボードを強く叩いた
痩せたら? と言われたときも
死ね
と一瞬で思った
上司はわたしに事実を伝えることで
心を改めると思っている
逆だ
わたしは想像の檻の中に閉じこもる
意思をますます頑なにする
わたしの想像では
(以降、想像上の「わたし」が演じて

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『想像を絶する』パート4(戯曲)

火曜日

想像の廊下を歩いている
現実のわたしはデータ入力をしているだけだけど
あまりにも考えることのない
ただひたすら速く入力すればいいだけの単純作業なので
わたしはわたしを現実に置き去りにして
心置きなく想像の廊下を歩くことが出来る
そこにはわたしの想像の残骸が散らばっていて
撫で回したり
たまに蹴っ飛ばしたりする
想像の廊下の先は鋭く光っていて
永遠に辿り着くことは出来ない
わたしのすべての

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『前世でも来世でも君は僕のことが嫌』(戯曲)

北海道胆振東部地震を受け、戯曲『前世でも来世でも君は僕のことが嫌』の売上全額を、平成30年北海道胆振東部地震災害義援金(日本赤十字社)に寄付することを決定いたしました。※

皆さまの安全と、一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

青年団リンク キュイ主宰
綾門優季

※平成30年北海道胆振東部地震災害義援金(日本赤十字社)への寄付受付が平成31年3月31日に終了以降、一時的に通常販売へと切り

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『想像を絶する』パート3(戯曲)

土曜日

俺はいま
君の想像の及ばない場所にいるよ
さあどこでしょう
想像の及ばない場所だから
何と言ってもあたらないけどね
ははは
俺はいま
想像力を使うことを
生まれてはじめてやめてみたんだ
神も仏もない
貧しい世界を
飾り付けもせず
直視することにしたんだ
想像力を止めるのは
想像力を動かすよりも
よっぽど強い意志がいる
ありもしないものにすがって
幻覚と幻聴で毎日を彩って
これまで生きてき

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『想像を絶する』パート2(戯曲)

金曜日

ここはどこだろう
昨日の記憶がない
お酒を人生でいちばん飲んで道に寝た記憶まではあるけど
起きたら道じゃない
電車のなかにいる
牧歌的な風景が窓の外に広がっている
木の中にたまに家
畑の中にたまに家
稀に人
時計をみたら午後三時
金曜日
普通に出勤の日だ
無断欠勤の連絡をしないで
はじめて休んでしまったな
学校も皆勤賞を貰っていたのにな
何度も
でももうどうでもいいや
カバンがないと焦っ

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『フェスティバルの記者会見』

『フェスティバルの記者会見』

○登場人物

アーティストたち
記者たち

○本編

(下記の戯曲をあらかじめ観客に配布する。アーティストたち、記者たちは戯曲の通りふるまう。)

1

アーティストたち なんか適当なこという(まじでなんでもいい)

2

記者たち 適当さを看過せずにがんがん質問する(ここはなんでもよくない)

3

アーティストたちと記者たち 超モメる(たぶん)

4

アーティ

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『知らずに済むならそうさせて』コンセプトノート

上演時間…15-30分(予定)

わたしはAさんのことをなんとなく知っているつもりでいます。性格のことも人間関係のことも。その人がこの世界でどのような立ち位置にいるのかということも。

わたしはAさんについて、なるべく異なるタイプの十人の人々に、どのように捉えているかインタビューします。わたしの抱いているAさんのイメージとそこまで食い違わないエピソードを話す人もいれば、わたしがみたこともない表情に

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『あなたが墓場まで持っていこうとしている出来事をわたしに教えてください』コンセプトノート

上演時間…15-30分(予定)

完全にお互いがお互いのエピソードを入れ替えて、本人は本人役をやらないという、二人芝居を上演したいです。

ここでは仮に俳優を鈴木さんと加藤さんにします。お互いに初対面で、話したことはない二人の俳優にオファーをかけるつもりです。
タイトルのとおり、世間話で出てこないタイプの話をしてもらいます。
鈴木さんは例えば、生まれながら心臓に奇形があって、心臓病で母も祖母も亡く

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『ダイレクト』(戯曲)

この戯曲、ぜんぜん出来てないですが、2020年あたりにどこかで誰かと上演しようとゆるゆる画策中です。ご期待ください。2018年4月から書き始めて、たぶん2年はかかる。誰かから頼まれた仕事じゃないし、そんなペースで進めるものがあってもいいと思う。誰かの消費のスピードはあくまでも誰かの消費のスピード。僕には僕の適切な速度がある。そういえばキュイの旗揚げ公演のタイトルは『祈る速度』だった。祈る速度。どん

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