見出し画像

「画家が見たこども展」

開館10周年記念 画家が見たこども展―
ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、 ヴァロットン」
三菱一号館美術館



突然ですが、最近ダンテの「神曲」のことを知ろうと思って、日々地獄煉獄天国と向き合ってたんです。結構いろんな作品が「神曲」を知ってないとわからないものが多くて。でも地獄と煉獄まじでグロいし容赦ないのでしんどいし怖いしキモいしなんか社会にも自分の生き方にもいろいろ思うこと出てくるし、しかも天国は半端なく宇宙すぎて心めっちゃ透明にして神秘の域に持ってかないと理解できなくて、気づかない間に心身共に負担を強いてしまってたみたいで心が重くなっていたようです。なのでこの「画家が見たこども展」の1作品目を見た瞬間からうぉおぉぉこども〜〜〜〜!!!!って感じで遠藤の中に突然花々が咲き誇り、穏やかな風が吹き、鮮やかな虹がかかり、ユートピアが生まれました。


なにを言ってるのかわからないと思いますが、わたしにもわかりません。とにかくなんだか心が澄み渡りました。


この展示ではボナールやドニ、ヴュイヤール、ヴァロットンのナビ派の画家を中心に、それよりちょっと前の時代のゴッホ(赤ちゃんとゴッホの間に埋められない心の距離感が感じられておもしろかったです。本人は赤ちゃん好きみたいですが。)やルノワール(きゃわいいっ♡)、ゴーガン(彼に関しては13歳の妻テフラを描いた絵が「こども」として出てたのでちょっとギョッとしてしまったけど。)なんかが描いたこどもの絵も展示されています。


こどもの絵に特化した展覧会って初めて見ましたが、特にナビ派が描く子供が書かれた絵には、子供が個として尊重されてる様子はもちろん、当時の社会背景や子供服や乳母の格好の流行、画家の生活が垣間見えたりとおもしろい発見がたくさんありました。


18~19世期までこどもって「小さな大人」「不完全な大人」として考えられてて、裕福な家庭以外は子供でも労働することが普通だし、厳しい扱いをされていたそうです。それ以降今みたいに「子供は大人とは異なる」「純粋で無垢な存在」「教育が必要だし大人が守ろう」という発想が出てくるのですが(義務教育ができたのって日本もヨーロッパも1870年頃の話だそうです。)、たしかにこの事実を知ってから「子供」だけに注目してみるといろんな絵の感じ方、考え方が変わりそうだなと思いました。


さて、遠藤はジャポニスムをこよなく愛しているのでボナールのことがだ〜いすきなのですが(「日本かぶれのナビ」と呼ばれているほど。浮世絵などに影響された描き方をしています)、今回ボナールが描いた「子供向けソルフェージュの楽譜の挿絵」や「子供がアルファベットを勉強するための本の絵」やボナールがおじいさんになった時に描いた牛や馬の絵などマニアックなラインナップが見れてめちゃくちゃおもしろかったのですが、遠藤は1つ大事なことに気づきました。ボナールの絵がじつはへたくそだということを…!!!今まで色やタッチでごまかされてて気づかなかったけど、へたうまって感じではなく、へたくそ…!!!!(極めて失礼)「こんなにへたくそなのに画家として生きたの、絵描くのめっちゃ好きだったんだろうな…♡♡♡」ってより好きになったし、わたしも絵が死ぬほどへたくそなので親近感がわいたし勇気がわきました!!(謎の収穫)


そしてドニの絵もたくさん展示されてたのですが、全遠藤が癒されました。あの淡いピンクと緑と水色と紫の組み合わせ、超絶好き。かわいい。超かわいい。大好き。

しかもドニ、最初の妻との間に7人、次の妻との間に2人の子供がいて、子沢山なのですが、なにが今回良かったって、ドニがコダックで撮った白黒写真…!!!!!!子沢山ゆえに何人かの子供たちを撮った写真の構図や逆光の使い方が神がかりすぎてて、もちろん絵の構図や見え方をテストするために写真をフル活用してたみたいなんですが、子供たちが被写体、モデルでありながら、そこには愛や色彩が溢れてて、もうダンテの「神曲」で血まみれや氷漬けの地獄勉強してる場合じゃないわ!出産出産!って思いました。


三菱一号館美術館がお持ちのヴァロットン版画コレクションは言わずもがな魅力的なものばかりで拝見するたびに新しい発見があるし、ヴュイヤールは部屋を描いた絵シリーズが超絶盛れててたまらんすきなのですが、こどもを描いた絵もシーンの切り取り方や構図が独特な目線で、うわ〜こっから描くんや、さすがやなぁ素晴らしい感性やなぁと思いました。


あと1枚だけあったポール・ランソンというナビ派の方の「アナトール人形劇」っていうこれは挿絵なのかな?がときめきの嵐すぎて遠藤は悶えまくったので、ぜひ行かれた方はこちらの絵を隅々までご覧ください。縁にいるよくわらかない生き物たちが死ぬほどかわいいです。いっぬ。


時間指定の事前予約制での入場でしたが、私は入ってから出るまでに6名の方にしかお会いしなかったほど快適な環境でじっくりと1つ1つの絵に向き合いながら鑑賞ができ、とても心が温かくなる時間が過ごせて嬉しかったです。


今日はお姉ちゃん一家から、私がプレゼントした水着を着た1歳の姪のかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい写真が送られてきて、遠藤は姫専属のガイドさんになるために明日も一生懸命アートを勉強しようと思いました♡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?