小栗B

ライト文芸寄りの小説を書いてnoteとエブリスタで公開しています。 筆名の小栗B(おぐ…

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ライト文芸寄りの小説を書いてnoteとエブリスタで公開しています。 筆名の小栗B(おぐり びぃ)は近鉄バファローズの外国人選手ベンジャミン・オグリビーからとりました。

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  • 明智光秀のありふれた日常

    現代語で書かれたライト文芸寄りの歴史小説です。 昔も今も、みんな人間関係で悩んでた。 本能寺の変の前後数日間を、明智光秀の娘婿・明智秀満の視点で描きました。 六章完結で、80ページ分くらいの短さですのでお気軽にどうぞ

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「明智光秀のありふれた日常」一章

本能寺の変の前後数日間を、明智光秀の娘婿・明智秀満の視点で描きました。 現代語で書かれたライト文芸寄りの歴史小説です。 昔も今も、みんな人間関係で悩んでた。 #創作大賞2023 #オールカテゴリ部門 戦国時代が英雄の時代だったと思っていたいのかもしれないけどね、立派な英雄がたくさんいたなら百年も殺し合いが続くわけないんだから、そりゃどいつもこいつも独善的で被害者意識だけ強いろくでもないやつばっかりだったよ、今と同じで。 なんだか納得いかないような顔をしているね。いいだ

    • 六章 明智光秀のありふれた日常 完結

      「もうあとは美濃の稲葉に奇襲をかけるしか手が残ってないと思ってな。安土城に詰めてる兵の一部を使うつもりで安土城に入ったんだが、出兵の準備をしてる時に秀吉が早くも軍勢を返して山崎で戦になったと連絡を受けたんだ。しかも戦は半日で終わって光秀様はすでに死んだと。まさかそんなに早く兵を返してくるとは光秀様も想定してなかったのだろう。光秀様が死んでしまっては美濃に攻め込んでも意味がない。ワタシは明智光忠が守っていた坂本城に向かったんだ。坂本城には光秀様の息子たちもいたから、一人か二人か

      • 五章 明智光秀のありふれた日常

        「猜疑心のカタマリみたいな男を油断させるとは、光秀のやつは何年もかけてよほど大量のゴマをすって信長をすっかり騙しきったのだな。ウソで塗り固めたような忠誠心を幾重にもウソで塗り固めて本物だと信じさせたのだろう。あいつらしいやり口だ」 いきなりケンカ腰ではあるものの細川藤孝のいうことは大きく間違えていない。 むしろ一面の真理をついているというべきだろう。 しかしワタシはあえて別の一面から話を始めてみた。 「天下統一に目前まで迫って信長は増長したのです。皆が自分に忠誠を誓いたが

        • 四章 明智光秀のありふれた日常

          「なんで斎藤利治を殺したんだ。あんなに自信満々で味方にできるって言ってたおまえが、なんで殺した」 ワタシの言葉に利三が不服そうに反論した。 「病気の療養で美濃の加治田城にいるからなんとかなるって言っただけだ。まさかあの話をしてる時にちょうど利治が京を目指して移動中だったなんて知るわけないんだから。信長を殺す前日に京に戻ったあいつがタイミング悪いってだけでオレたちにはどうしようもなかったんだ」 「だからってなんで殺すんだ」 「オレだって分かってたさ。何度も降伏するよう呼

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        「明智光秀のありふれた日常」一章

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        • 明智光秀のありふれた日常
          7本

        記事

          三章 明智光秀のありふれた日常

          枕元に気配を感じる。 とても近い。 おそらくしばらく前からそこにいたのだろう。 悪い夢をみていたせいでちっとも気づかなかった。 今さら跳ね起きても意味がないから、あえてゆっくりと起き上がる。 落ち着き払った声で背後の何者かに 「何の用だ?」と言おうとするが、 寝起きの最初の発声をコントロールし損ねてやけに低いくぐもった声になってしまった。 「いや、用というほどのことでもないのだがな」 光秀様がこたえた。 なぜワタシの枕元に光秀様がいるのか。 新鮮な驚きを包み隠して 「ず

          三章 明智光秀のありふれた日常

          二章 明智光秀のありふれた日常

          「あのじいさん、自分が冷遇されてるのは誰かの策略のせいだって、そういう陰謀論みたいことを言い出すくらい老いさらばえたってだけなんだよ。思い通りにいかないことがあったらぜんぶオレや光秀様のせいだって、そういう老人の思いこみなんだ」 那波直治の件で安土に行った際の状況について、光秀様から詳しくきけなかったから斎藤利三にきいてみたら稲葉一鉄の悪口ばかりがこぼれ出る。 ワタシがききたいのはそういう話じゃないんだけどなと思いながら適当にあいづちをうっていると 「那波直治の方から利三

          二章 明智光秀のありふれた日常

          一章 明智光秀のありふれた日常

          戦国時代が英雄の時代だったと思っていたいのかもしれないけどね、立派な英雄がたくさんいたなら百年も殺し合いが続くわけないんだから、そりゃどいつもこいつも独善的で被害者意識だけ強いろくでもないやつばっかりだったよ、今と同じで。 なんだか納得いかないような顔をしているね。いいだろう、時間はたっぷりあるんだ、ゆっくり話してやろうじゃないか。 *** まっすぐワタシの目を見て 「信長様を殺す算段がついた」 と光秀様が穏やかにつぶやいた。 殺す相手を様づけで呼ぶのはこの人の根っから

          一章 明智光秀のありふれた日常

          もくじ 明智光秀のありふれた日常

          一章 明智光秀のありふれた日常https://note.com/b_oguri_b/n/n4e244e317156 二章 明智光秀のありふれた日常https://note.com/b_oguri_b/n/n5253c8a86b04 三章 明智光秀のありふれた日常https://note.com/b_oguri_b/n/na7a7f1cf2795 四章 明智光秀のありふれた日常 https://note.com/b_oguri_b/n/n60548b62a3f3 五章 

          もくじ 明智光秀のありふれた日常

          ごあいさつ

          小説を書いてnoteとエブリスタで公開しています。 短編の歴史小説「明智光秀のありふれた日常」 現代語で書かれたライト文芸寄りの歴史小説です。 今も昔も、みんな人間関係で悩んでた https://estar.jp/novels/25910817 長編小説「1996年は小鳥教団の年」 新興宗教の内幕を軽快に赤裸々に。新興宗教と金と女、欲望、ウソ、権力 https://estar.jp/novels/26023412 長編「1996年は小鳥教団の年」はエブリスタだけで公

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