あかいの。

口先だけの冒険家。

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最近の記事

長谷部誠

ウォーキングしているとこころにも重さがあることがわかる。日によってそれが違うこともわかる。今まではそれを誤魔化しながら過ごしていた気がする。 酒だとか。週末に控えているイベント毎だとか。気づかないふりだとか。 心身ともに痩せ細った今、こころを整えることに必死だ。こころが曇っていると音楽が入ってこない。嫌なことばで視界が埋まる。 歩くというのはまずニュートラルにギアを入れなくてはいけない。片手に酒を持ったり、エナジードリンクに頼るひともいるだろう。それは本懐ではない。身も

    • 未練は残さず

      一月前ぐらいから散髪時、風呂上がりの抜け毛が増えてきた。それは日が経つにつれて増していく。抗がん剤のダメージは蓄積すると担当医は言っていた。味覚障害や痺れもクールごとに抜けずらくなりはじめている。爪の根本も前よりくすんできた。 でもこの歳までもってくれたんだからええか。たとえズルムケになったとしても。髪の毛。頑張ったなキミたち。よく頑張ってくれた。

      • タンブルウィード

        いろんな楽しみ方がある。祭りもプロレスもライブも。演者も裏方も観客もありとあらゆる目線、内包するドラマがある。それは人の数だけ。まるで田舎で見上げる星空のようにドラマがある。 大病を患ってからできること、できないことが常に線引きされる生活になった。抗がん剤投与日とその後3日間は痺れや倦怠感との付き合い。器用ではない自分はその生活に流されるように時間を過ごしていた。砂漠に転がるタンブルウィードみたいに。 仕事を休んでいる今、生活に時間割がない。こなさなくてはいけない作業がぽ

        • ヘルプマーク

          ヘルプマークをもらってきた。役所の窓口で貰えるものだとてっきり思っていた。窓口のおばちゃんに尋くとここじゃないんですよと。都営地下鉄の窓口ですぐ貰えますよと。 ならばと近所の都営バスの窓口へ。呼び鈴で係の方を呼び出し「ヘルプマークはこちらでいただけますか?」と一言。すると秒ではーいとレスポンスが返ってくる。そして差し出される袋に入ったピカピカのヘルプマーク。   何か申請する書類であるとか身分の提示であるとか現在置かれている症状の良し悪しその一切は問われず。抗がん剤治療

          侵食

          歩いている時。今置かれているこころのコンディションが浮き彫りになる。立体になる。 元気な時もあれば、そうでない時もある。散歩道の千本桜がもうちょっとで満開だ。ひとと会わない日々が続くと病気のことが侵食してくる。終わらない月蝕のように。 病気を忘れていられる時間こそが今はリラックス。月をあたたかいもので満たしていかねば。

          遮光カーテン

          気持ちをつくるのがむずかしい。体調がよくなったと思えばもう投与の日が迫る。人と会わない時間をうまくやりくり、と毎日考える。結局遮光カーテンのような憂鬱がシャットダウンする。

          遮光カーテン

          里崎智也

          抗がん剤投与第四クール。ようやく春めいてきた。寒さの度合いが副作用に直結するのでそれが緩和されるだけで心持ちが違う。入院中抱いた遅すぎる日の出と早すぎる日の入りを憂う気持ち。春の訪れを待ち侘びる今と重なって懐かしい。 今この瞬間に限っては副作用は前回より少し軽め。相変わらず味覚障害でお茶がまずい。こんなお茶顧客に出してたらすぐ会社など潰れるレベルでまずい。味噌汁やコーンポタージュは普段と変わらないのに。温めるとそうでもないのだろうか。 投与翌日の昼にカレーを食べられる。そ

          第三クール

          昨日抗がん剤投与第三クールを終えた。金曜までは様々な不調に見舞われるだろう。それは致し方なし。 昨日投与中に飲んだ痛み止め以来、今の時点で服用せずにいられている。みぞおち、左脇腹に生じていた違和感や鈍痛は顔を見せていない。快復の兆しのひとつならばそれは嬉しいし、何より痛みに脳のメモリーが支配されないだけでかかるストレスが全然違う。睡眠の質も下がるし。 もともと薬の服用自体あまり好きなほうではない。なるべく頼らずにいたい方だ。ロキソニンとはしばらくお別れできるといい。

          すなわち

          元気でもそうじゃなくても抗がん剤投与の火曜日は訪れる。散歩と筋トレと自炊と映画の毎日。憂鬱にならないよう事務的に前日をこなす。投与中に観る映画は何にしよう。 気持ちを作るのが難しい。気持ちが沈む投与後4日間の事を考えるとこころが曇りだす。喜怒哀楽の波が何一つない。頑張れと散歩中に誰かの歌が流れる。はやる気持ちに身体がついてゆかない。投げ出したくなる自分と弱さを認めたくない自分とせめぎ合っている。 アップルウォッチのベルト、4つめから6つめになっていた。

          オメェはそれでいいや

          先日 「少し弱ったぐらいがちょうどいいんじゃない?」 そう言われて「え!?」と思った。だがそう言われてみればそうなのかも知れないとも思えた。思い当たる節がそんじょそこらに点在するほど、自分は不器用なタイプだったからだ。 正義感について語られている一連の話題を見ていて思うところがあった。自分に置き換えて考えてみるに無駄にそれが強い。プライベートでも仕事でも趣味でも思想でも。正義感とは許せないもの、気に入らないものに対するアンチテーゼであり、自分の美意識を立ち昇らせる一番手っ

          オメェはそれでいいや

          29日

          一日中横になったり、寝てたり。吐き気は軽減されたけどまるでだめお。一歩も外には出なかった。 こんな日もあろう。 携帯ポート上手に外せたし、それだけでよしとする。

          プーさん

          朝起きてから倦怠感と少しの吐き気。こればっかりは慣れるしかほかない。 食べられないことはないが、食欲が湧かない。トースト、バナナ、ゼリー飲料、ポタージュ。なんとか詰め込んでよしとする。 倦怠感のせいか眠くて仕方がない。頭の働きもだかが鈍い。買い物に行くと寒さで手が痺れる。結局ほとんど横になったまま寝ては起きを繰り返し。

          クリームパン

          抗がん剤投与第二クール。8時から採血予約だ。7時に家を出て途中パン屋で朝昼兼用分を購入。 電車とバスを乗り継いで病院到着。朝一採血してもらい、1時間ほど待って担当医の面談。2回目なので処方箋の種類と量の調整を進言してすぐ終了。 眠気まなこでぼーっとしたままパンを齧る。 抗がん剤投与専用の部屋へ。iPadでTHE BAT MAN鑑賞。そういえばポート刺す時ロックを倒さずテープで固定する方法に変わっていた。僕が外す時若干苦労したと打ち明けたことを汲んでもらったのだろうか。外

          クリームパン

          備忘録

          明日から抗がん剤投与第二クール。しんどさやその前兆、ピーク、波。それなりのイメージが掴めたのでメンタル面、生活面における準備がしやすくはなった。 初日はとにかく朝から夜まで時間がとられる。帰ってきたら食事して寝るだけ。2日目は吐き気は薄いが買い物など行動した後に襲ってくる疲労感が思いの外強い。 3日目は吐き気が如実に芽を出す。食欲が比例して薄れる。4日目は吐き気と疲労感が最も強い。精神的にも最も弱い時期。携帯型抗がん剤投与のボトルはこの日で外れる。 土日でそれが徐々に薄

          諦念

          いつ仕事復帰できるのだろう。 いつ治るのだろう。 どうすべきなんだろう。 来月の体調も見通せない。 風景は変わらない。 大した距離歩くわけでもなく 家で誰とも喋らないまま 日に日に弱っていくんじゃないか。 そんな恐怖が急に降ってくる。 朝になれば少しは元気になるし 腹も減る。 抗がん剤投与が明後日と考えるだけで 憂鬱な気持ちになる。 話相手がいない。 諦念が重くのしかかる。

          第二クール

          歩いても歩いても良くなるわけじゃない。 見通しが立てばまた違うのだろう。 23時を過ぎると真っ暗闇に襲われる時がある。 朝になったら立ち上がらなくては。 次の抗がん剤投与はすぐそこ。