善き友 - 学ぶ -

ハイジの作者シュピリの舞台は19世紀のスイス。資本主義が世界中の国々に広まった時代と思って差し支えなさそうです。営利主義合理主義が人々に浸透していけば当然のこと、お金重視の風潮は広まるし、他者に勝ちたいという競争意識が広まるし、見栄・ファッションに疎い感覚の人は勝ち上がれない。勝ち上がるためには持って生まれた能力も重視されるし、能力が具わっていない人は見下されることになる。結局教養を身につけるってことは社会常識に長けた人を貴ぶ風潮が蔓延するってことなんだよね。

さて、社会常識に染まるとどうなるか?染まりたくない人は社会に学ばないが、学んでしまうと社会の風潮にどっぷり首を突っ込むことにならないか?ハイジのお祖父さんの場合はどうだ?立派な農園の長男に産まれた少年は一攫千金を夢見る日々となる。商業主義は裕福な少年にファッションを教え、酒を教え、バクチを教える。そういったことを学びながら散在し破産して、さらに別天地で金を手に入れようと傭兵になったことが考えられる。国を護るためでなく食い扶持を稼ぐために入隊したことにならないか?

除隊した訳を私は知らないが、息子トビアスを連れて帰郷した。その息子は立派に成人したとされるがこれを私はどう理解すべきか?だれが息子を育てたの?牧師か?町の人々か?いいや、駄目と言われる男の下で息子は立派な大人に成長したのだろ⁉教養ある立派な農園で育った祖父はダメと噂され、牧師からは反省を促されるほどだから、どんだけ駄目な祖父なんだと想わされる人は多いだろう。あなたがその一人でなければ良いのですよ。これじゃ教養のない家庭で育ったほうが幸せと思いたくもなる。いかが?

苛められて登校拒否になった子を「ダメな奴」という風潮は既に19世紀にあったのだなあ‥ハイジを読んでそんなことを思っている私。教会を登校拒否してる爺さんは「駄目な奴」って声があなたの耳には届かないか?私の場合は、登校拒否しても好いじゃないかって感覚で生きているのです。一人の応援よりは教養豊かな数千万人のなかで苛められるほうを選ぶ人が多いことも知ってるから別に驚かない。ま、選択の自由だし、現実には滅多にいない幸運なハイジだし、ダメになる子や駄目になる親は余りにも多いからね。

結局、現実から何を学ぶべきか‥そうでない?そこを間違えたら痛ましい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?