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学習負荷と修了難易度:ロンドン大学会計学修士号プログラム

こんにちは。べえたです。

これまで、このnoteでは、ロンドン大学の会計学修士プログラムについて、ご紹介してきました。

今日は、プログラムの学習方法と負荷、修了の難易度について、ご説明したいと思います。


学習方法

ロンドン大学会計学修士プログラム(MSc Professional Accountancy)では、基本的に通信で授業を受けます。

各モジュールは、1ターム10週で学習を行う構成となっていますが、モジュールの開始日時点で、全ての週分の授業が公開されていますので、公開を待つ必要はありません。

1週間で学ぶ論点の範囲をレッスン、その中での個別の論点はレクチャーと呼ばれています。

学習画面では、以下のようにスライドと動画が掲載されており、動画の下には、トランスクリプトも記載されています。

動画自体は10分程度のものが多く、細かく分かれています。
このため、スライド資料をダウンロードすると、モジュール全体ではかなりのファイル数になります。

課題提出の準備をする際には、複数の論点を確認する必要があり、1つ1つ該当するファイルを探すのは非効率であるため、Adobeの編集機能などを使って、pdf資料を1つにまとめておくと便利です。

スライドは、モジュールごとに指定されるテキストから論点を抜粋して解説していることが多いため、テキストのどの部分に該当するかを確認したうえで、講義を受けると良いでしょう。
(各レッスンの最後にテキストリーディングの範囲が示されています)

また、動画の説明はスライドの内容を読み上げる形に近い授業も多いため、時間がない場合には、トランスクリプトとスライド、テキストを見ながら、自習することも可能です。

各レッスンの最後には、小テストやアクティビティ、グループワークの提案なども書かれていますが、これらは成績には関係しないため、余裕があれば取り組むという形で問題ありません。

各モジュールの課題は、モジュール終了の2週間前ごろに発表されるため、可能であれば、それまでに全ての週の学習を一通り終えておくと、余裕を持って課題に取り組むことができるでしょう。

学習負荷

ロンドン大学によると、モジュール1つあたりの学習時間としては、週15時間を想定しているとのことです。

しかしながら、英語ネイティブでない日本の受講生は、内容の理解や確認により時間を要するため、週20~25時間ほどの学習時間がかかることを覚悟しておいたほうが良いと思います。

もちろん、これは学習開始直後の時間の目安であり、学習を続ける中で、自分なりの学習方法の習得や、英語力の向上により、少しずつ短くなっていきます。

これに加えて、Capstone projectの受講期間中は、研究提案やビジネスプランの策定にかかわる参考文献や論文を検索するために週2~3時間をプラスで確保することが望ましいです。

課題が発表されてから慌てて論文検索を始めると、検索した論文の中から取捨選択することが難しくなり、結果として採点の10~20%を占める文献調査で大きく得点を落とすリスクがあるため、文献検索は細く長く続けることが重要です。

Capstone projectの後半は、グループワークを除いてほとんど講義は無いため、講義学習には時間はかかりませんが、合計7,000 wordsもの文章を書く必要があるため、構想や執筆、校閲などで、同じぐらいの時間を確保する必要があるでしょう。

USCPAの合格者は、週20時間ほどの学習を継続されていた方が多いと思いますので、その学習時間+αを1年ほど継続できるかが、修了できるかどうかの1つの目安になるでしょう。

なお、1年未満での卒業を目指す場合には、同時に複数のモジュールを受講する必要があるため、その期間はさらに学習時間を確保する必要があることにご留意ください。

修了難易度

最後に、プログラムを終了することの難易度について、お話しします。

実際のデータを直接確認しているわけではないため、あくまで個人の感想としてお読みいただけると幸いです。

(1)修了率

大学から公式に発表されている卒業率は見つけられませんでしたが、プログラムの教官が作成した資料では、以下の記載がありました。

「プログラムが開始した2016年から2020年末までの期間で、世界150ヶ国以上から延べ4,000人以上が受講し、2,900人以上が修了した。」

このため、単純計算では、2,900人÷4,000人=72.5%の修了率となっています。

印象としては、思ったよりも高い修了率となっている印象ですが、その背景は、以下の2つの理由があると思います。

①ACCA保有者が母数の多数を占めていた期間であること
ロンドン大学会計学修士プログラムは、元々はACCA(英国勅許公認会計士)を対象にしていたプログラムです。

ACCAは、USCPAと異なり、全ての科目が記述式で、USCPAと比較しても、より英語力が求められる試験内容となっています。

このため、2016年から2020年末の期間は英語がネイティブレベル、もしくはそれに近い受講生が多くを占めていたと考えられます。

その後、受講資格がUSCPAなどにも拡大されたため、英語面で苦労している受講生の比率は高まっている可能性があることには、留意が必要です。

②受講生が会計資格を有していること
この点が、修了率が高い最大の理由だと思います。

プログラムの受講要件に英語圏の会計資格が求められるため、受講生は全員、一定の会計知識や英語力を身につけています。

これらの資格を取得するためには、継続して学習時間を確保する必要があり、そのハードルを乗り越えた学習習慣や知的体力を持った人材が受講していることが、高い修了率をもたらしているとも考えられます。


以上の2つの理由が、72.5%という高い修了率を示した理由と思われます。

このうち、①の点については、実際の日本の受講生の方の多くは、英語ネイティブと比較して不利な状況にあるため、実際の修了率は、もう少し低い水準になると思います。

しかし、②で記載した継続的な学習習慣は、日本の受講生の方々にも当てはまる部分なので、USCPA試験と同様にまとまった学習時間を確保できれば、高い確率で修了することができると思います。

(2)成績

以前の記事でも記載しましたが、各モジュールの提出物は100点満点で評価され、基本的に成績は以下の基準で判定されます。

  • 70点以上:Distinction(優)

  • 60点以上 70点未満:Merit(良)

  • 50点以上 60点未満:Pass(可)

  • 50点未満:Fail(不可)

また、プログラム全体を通じて高い成績を修めた人には、学位に対しても成績が付与されます。

  • 必須科目(Capstone)70点以上かつ選択科目2科目の平均点70点以上:Qualification with Distinction

  • 必須科目(Capstone)60点以上かつ選択科目2科目の平均点60点以上:Qualification with Merit(※)with Distinctionの条件を満たさない場合

各モジュールの成績分布についても、公式なデータは見つけられなかったため、個人的な感想ですが、特に論述系の科目で、Distinctionの条件を満たすのは、ノンネイティブの受講生にはかなり難しいです。

英語ネイティブの受講生と比較して、学術的な文章を書く経験がどうしても不足するため、その中では、with Meritの水準が、現実的な目標になると思います。

一方で、計算系の科目については、70点以上のスコアを目指すことも十分可能なため、そちらでスコアを稼ぎつつ、論述系の科目のスコアをカバーすることが、戦略的に有効と言えるでしょう。

まとめ

今回は、ロンドン大学の会計学修士プログラムの学習方法と負荷、修了の難易度をご説明しました。

正式な修士号が授与されるプログラムであるため、もちろん負荷は軽くはありません。

しかし、USCPA合格者の方の英語力や会計知識、継続的学習能力を生かし、しっかりと学習時間を確保できれば、チャレンジする価値は十分にあるプログラムだと思いますので、ご検討してみてはいかがでしょうか。

このnoteでは、英語と会計両方を学ぶ、ロンドン大学会計学修士プログラム(MSc in Professional Accountancy)や米国公認会計士(USCPA)を中心に、概要のご紹介や学習法アドバイスなどを発信しています。

もしよろしければ、これまでの記事や今後の記事もご覧いただけると嬉しいです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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