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読書記録

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読書はヒトだけの楽しみ
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記事一覧

2024/05/12 『あなたの写真を拝見します』より その3

「見える」と「見る」撮影会などに参加して一緒に歩いたとしても、私とあなたで、同じ写真にはならない。それは技術の差によるものではない。目には映っていても、心(脳ともいえる)に届かなければ、自分の写真にはならない。

2024/05/13 国際子ども図書館へ

国際子ども図書館は、1906年に帝国図書館として開館した建物をリノベーションして活用している。今回の展示が行われている本のミュージアム内は期間中、自由に撮影できる。蔵書の素晴らしさは言うまでもなく、建物がまことに美しい。 カフェやラウンジ、ホール、そして中庭で、ひと時ゆっくりと過ごしたくなる。こころ豊かな時間が過ごせそうな場所だ。 中庭へ出て、ふと見上げると、ガラスの屈折で分身の術のような光景が… 光が、美しい建物をさらに美しく照らしていた 図書館なのだから本を読まず

2024/05/10 『あなたの写真を拝見します』より その1

先日、地元図書館で借りた。ぜひオススメしたい。といいながら、ネタバレだが、何回かにわけて抜粋して紹介したいと思う。興味を持たれたら、ぜひ読んで欲しい。 写真を撮るということ誰もが、あまりにも簡単に自由に写真を撮れるようになった、今。 写真はカメラが撮るものではなく、人の心が撮るものだということを肝に銘じたい。

2024/05/11 『あなたの写真を拝見します』より その2

わからないとはこれまで、わからないと思うことが多かった。わからないと言い続け、放棄せずにやり続けることが生きるということだとわかった。

2024/03/18 読書記録 『柚木沙弥郎のことば』 柚木沙弥郎98歳、いま思うこと

「いつからだって、どんな対象だっていいんだよ。僕だって物心ついたのは80歳になってからなんだから」 と、柚木さんは言っている。 80歳まではまだ少し先だが、70代になってわかるようになったことがある。「わかるようになった」というより「感じるようになった」と言ったほうがいいかもしれない。若くても頭で理解して「わかる」ことはできるが、なるほどなぁと腑に落ちるようになったのは、やはり自分自身が実際に歳をとってからだ。柚木さんのようなわけにはいかないが、私も80歳になれば、生きる

2024/03/03 読書記録 こどもの哲学・大人の絵本 赤瀬川原平

赤瀬川原平の「子供の哲学・大人の絵本」3部作を読んだ。 ・不思議なお金 ・自分の謎 ・四角形の歴史 一番面白かった「四角形の歴史」について書いてみることにする。 最初に、犬は景色を見ていない、とある。 それはそうだろう… 犬の関心は目の前の食べ物、あるいは食べ物を与えてくれる人だけだ。 意識しなければ、見えないのは人間も同じである。人も昔は風景を見ていなかった、と赤瀬川さんは言う。人が風景画を描き始めたのは、モネやピサロやゴッホなど、印象派画家が台頭してからだ。それまで

2024/01/05 読書記録 書くことで平凡な一日を「何かあった日」にする

年末、図書館で2冊、借りてきた。いしかわゆき著『書く習慣』と藤吉豊/小川真理子共著『日本人のための「書く」全技術』だ。 年が明け、まずは、『書く習慣』を読むことにした。 何か書いてみたいと思っている人に向けて、さぁ一歩踏み出そうという気持ちにさせるのが、いしかわゆきさんの『書く習慣』だ。新年向けの本だともいえる。 昨年の春、書く場所を求めてnoteを利用するようになった私には、「書く」ことへの抵抗感はないが、改めて自分の気持ちを確認することができた。 書くことと同じよ

2024/01/03 読書記録 歳をとるほど上機嫌に

齋藤孝著 『養生訓』 貝原益軒が記した『養生訓』を齋藤孝さんが今の時代にアレンジし、誰もが実践できるように解説したものだ。 持って生まれた天命を縮めるのは、天地父母への最大の不孝である。身を慎み、命を養うのは人としてもっとも大事なこと。 たいていの人は、1度や2度、鉢植えの花を枯らしたことがあるだろう。自分の命も草木を世話するイメージを持つことが有効であると書かれている。わかりやすいたとえだ。 もっと若いうちに読んでおけばよかったとも思うが、こういった本は、若い頃には

2023/11/29 読書記録 偶然の幸運に出会う能力「セレンディピティ」

茂木健一郎著『セレンディピティの時代』 偶然の幸運は待っていても出会える保証はない。とにかくなんらかのアクションを起こすことが大切だ。出会ったら、そのことに気づくこと!気づきのためには心の余裕がなくてはならない。 次に、気づいたら、そのことを受け入れること!勇気を持って、自分の内側に招き入れる、受容のプロセスがセレンディピティを完成させる。 まぁ当たり前といえば当たり前のことが書かれているが、わかっていても実行できないのが人間である。1つでいいので、明日から心がけてみよ

2023/11/21 読書記録 ヘタだけどいい写真を撮りましょう

幡野広志著 『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』 7章で構成されていて、各章の終わりにまとめが載っているという親切な作りになっている。そのまとめから、うんうん!そう思う!と強く頷いたものを抜粋してみる。 おもしろい人が撮る写真はおもしろい 写真に大切なのは写真以外の知識と経験 なにがなんでもRAWで撮る カメラの勉強をするヒマがあるなら、パソコンの勉強をしてください まとめではないが<写真は考える仕事です>と、なんどか書かれている。 人は暇ができ、退屈し、

2023/11/08 読書記録 人間は退屈と気晴らしの混じり合いを生きている 國分功一郎著 『暇と退屈の倫理学』

どんな生物もその生物なりの世界(環世界)を生きている。例えば、夜行性動物は触覚や聴覚を使って空間を把握しており、視覚によって把握している人間とは全く異なる空間を生きている。 人間は高い環世界間移動能力をもっているため、一つの環世界に浸っていることができず容易に退屈してしまう。人間が人間らしく生きることは退屈と切り離せない。とすると、人間が退屈から逃れるのは、人間らしい生活から外れた時である。その状態は<動物になること>と称することができる。 何かが不法侵入してきて自らの環

2023/10/27 読書記録 睡眠は、覚醒時の行動を映し出す鏡なのだ 『熟睡者』

以下、要点をまとめてみました。 感情面から循環器系に至るまで、睡眠が私たちの生活、ひいては人生全体に及ぼす肯定的な効果は計り知れない。 睡眠にプラスに働く習慣を身につけることが大切だ。 朝のうちに外へ出て日光を浴び、明るいうちに運動し、夕食は少量にとどめ、夜はスマホやコンピュータを遠ざけるなど、日中、起きている間に安定した睡眠・覚醒リズムに資する行動をとることで、夜ぐっすりと眠れるようになる。 睡眠がいかに大事かが、科学的な根拠を示しながら書かれている。その根拠が正し

2023/10/25 読書記録 笠置シヅ子自伝 歌う自画像 私のブギウギ伝記 

NHKの朝ドラ「ブギウギ」のモデルである笠置シヅ子さんの自伝である。 2023/9/29発刊。 えっ?と思われるだろうが、1948(昭和23)年刊『歌う自画像 私のブギウギ傳記』(北斗出版社)を原本として新装復刊したものだ。 巻末には略年表がある。1914(大正3)年生まれ。1985(昭和60)年、70歳で死去。年表には当時の世相・事件が載っており、時代背景がわかる。 この本の最後には「(ヱイ子の初の誕生日、六月一日擱筆)」との添え書きがある。昭和22年5月にヱイ子の

2023/10/21 読書記録 アイデアを出すために書く、アイデアができてから書くのではない 『勉強の哲学』 千葉雅也 著

さほど難しいことが書かれれているとは思えないが、読みにくい。著者が言うように目移りしたり少し深掘りしたりの行ったり来たりをしながら最後まで読んでみるのもいいだろう。 横断的な勉強によって、アイデアは散漫な形で断片的に湧いてくる。アイデアができてから書くのではなく、アイデアを出すために書くのだとも言っている。まさに、ここ、noteの利用法だ。 様々な別の見方を比較する、比較し続ける。勉強に完了の状態はない。新しい見方をある程度の、できるだけの勉強で仮固定する。完璧主義を避け