【漢詩解説】李白:子夜歌 其三 秋歌〈書き下し文・日本語訳〉*白文音声あり*
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李白:子夜歌 秋歌
【書き下し文】
長安 一片の月、
万戸 衣を搗つの声。
秋風 吹いて尽きず、
総て是れ玉関の情。
何れの日か胡虜を平げて、
良人 遠征を罷めん
【日本語訳】
長安城の夜の空
一輪浮かんだ月のもと
どこも砧の音がする
やまず吹きくる秋の風
ああ玉関のひと いかに
いつか戦に打ち勝って
ぬしは帰って来ますやら
【解説】
第三首は秋の歌。
春夏秋冬の詩の中では最も有名です。
留守中の妻が、遠く玉門関に遠征している夫を想う心。暗く、大きな長安城の空にかかる一輪の月。
秋風が砧の音を伝えて、冬の仕度にかかる頃だと教えている。
月の光・秋の風・砧の音。それらは全て玉門関にある夫を想うタネとなる。
【用語説明】
一片月…ひとつの月、ではない。「片」は面積や範囲が広い物(土地)を数える量詞。夜空に月が広がる様子を表している。
捣衣…砧(布を打つときに使う台)で衣を打ってやわらげる。秋がおとずれ、冬ものの仕度をしている。
总是…月、秋風、砧の声。それを見聞きすると、出征中の夫のことを考えてしまう。
玉关情…玉関は玉門関。甘粛省敦煌の西にある要衝の地で、古来、西域への出口の役割を果たしていた。
玉関の情とは、玉門関の彼方に出征した夫を想う心。
※西域(地域)の範囲については、以下の記事の解説でまとめています。
胡虏…中国北方、西方の塞外異民族をさす呼び方。「胡」は元来、北方の匈奴をさすことが多いが、この詩では特に限定されていない。
良人…妻が夫をいう称。
漢詩解説は以上になります。
春歌、夏歌は美しい女性の描写が目立ちましたが、
秋は一転して夫と離れて暮らす寂しさを詠っています。
夏の暑さに混ざって秋風が吹くと、
なぜか心が寂しくなる時がありますよね。
月の光と秋風と冬の衣を仕立てる音。
すべての感覚が恋しさを加速させるような詩です。
明日はいよいよ子夜歌のラスト、冬歌です。
アイキャッチ画像は、
沖縄県浦添市のブルーシール・アイスパーク。
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改装工事が終わったら、
また遊びに行きたいと思います。
余計な話しが多くなって申し訳ございません。
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