物語のような音楽のような、連弾詩集
ふしぎな響きのタイトルだなあ。
この本を図書館で見つけたときの、それがわたしの最初の感想。
手にとってページをひらくと、こんなふうに書かれていた。
扉のかたちをした闇。
森雪之丞さん、なんておもしろい発想をするひとだろう。
扉のかたちをした闇。
あけたらいったいどうなるんだろう。
そんな気持ちで、読み始めた。
旧友(あるいは元恋人)との往復書簡のような、夕暮れの南風のような、涼やかに甘い、それは詩集だった。
質感の異なる二人の言葉が混ざり合い、豊かな香気を醸し出す。
初めてのむ風合いの、上質なお酒のようだった。
借りてきた本は図書館にすぐ返却し、代わりに書店で買い求めた。
2週間の返却期限までに味わい尽くすことは、到底できない本だったから。
手元に置いてゆっくり味わいたい、本だったから。
おわりに、
お二人の詩を一編ずつ、ご紹介。