見出し画像

【本103】『銀座「四宝堂」文房具店』

著者:上田健次 出版社:小学館

帯に「涙が止まらない」とあったけど、泣ける感じではなかったです(笑)でも、人と人をつなぐ文房具や道具の愛おしさがじんわりと伝わる優しい小説でした。

主人公は銀座の老舗の文房具店「四宝堂」の店主 宝田硯。宝田は、さまざまな事情で訪れるお客さまの相談にのりながら便箋などをすすめていく。祖母への感謝の気持ちを伝えたい青年、退職届をなかなか書けない女性、亡くなった元妻の弔辞を書く男性など。「どんな文章を書いたら良いか?」という相談にのりながら、彼らの気持ちを上手に引き出していきます。

大切なことは、きちんと伝える。
言いにくいことこそ、自分の言葉で伝える。

あいまいにしたり、逃げたりせずに、心を伝えること。その大切さを思うとともに、文房具が果たす大切な役割を感じました。

私も引き出しの奥にしまっている万年筆を出しました。亡き祖父が大学入学のお祝いに贈ってくれたものです。どんな気持ちで選んでくれたんだろう、そんなことを思いながら久しぶりにインクを入れようかなと思いました。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?