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フィルムはタイムカプセル

シャッターを切り,再びレバーを引こうとするも,重くなって微動だにしなかった.カメラの中で放って置かれてたフィルムをやっと使い切ることが出来たらしい.終わったという達成感と,まだ撮りたかったのにという不完全燃焼とを同時に味わうあまりない経験をした.

私は今まで,趣味をカメラにしていた.していたというのも,個々最近めっきりカメラを持ち歩く回数が減ったからだ.それは重量的な問題もあったし,私の精神的かつ肉体的体力の低下というのもあった.そのためデジタル一眼とフィルム一眼と持っていても,この一年で登場したのは5回にも満たないかもしれない.そのくらい熱量としてはなくなっていたのだ.

デジタルだったらまだいい.数枚しか撮っていなくてもデータを落とすことが出来るから.問題はフィルムである.だいたいが24や27枚撮りとなっており,撮り終わるまで出すことは出来ない.否,出すことは出来るけれど,フィルムと後の現像の金額を考えたら,途中で出すなんてことは恐ろしくてできない.だからといってなんでも撮って良いようなものでもない.限られた枚数だからこそ,吟味して撮りたいというものだ.

そんなことを考えているうちに1ヶ月経ち,3ヶ月経ち,半年経ち……結局1年以上をかけて24枚を撮り終えたのだ.昨年の花見で持って行った記憶はあるが,それ以外の記憶がさっぱりである.

私はいつ,どんな気持ちで,何を撮ったんだろう.タイムカプセル以来の気分だ.そう思うと少し寝かせたい気もするな.

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