「レギュラー」じゃないから切り開ける

まさかまさかです。

守備固めのイメージが強い板山選手。久し振りに一軍で見ましたが「あれ?」と思いました。構える際の雰囲気もスイングも力強くなっている。ファームで相当鍛えてきたのでしょう。身体も精神も。

ここ数試合マスクを被っている坂本捕手も素晴らしい。打つ方では元々の粘りと選球眼の良さに加え、勝負強さが出てきました。リード面も冴えています。特に8回、廣岡選手をストレートで三球三振に仕留めた配球は圧巻。終盤の緊迫した場面でそれをできるのかと。慎重な梅野捕手とは正反対の「道なき道を切り開く冒険心」を感じました。

彼らは控え選手です。常に出場できるわけではない。ひとつひとつのプレーがいわば人生の分岐点。だからこそ重要な局面でも守りに入らず、己を信じた力強い一歩を踏み出せる。大胆な決断を下せる。レギュラーではないことをいい意味で武器に変えられるのが彼らの強みなのです。

書店にもレギュラーな「正社員」と控え選手の「非正規」がいます。正社員は責任感が強く、広い視野と豊かな経験を持つ人が多いです。ここぞの修羅場で頼りになります。一方で事務仕事と己の棚だけをダラダラやる人もいます。大きな声では言えませんが、客注やレジ打ちがロクにできない人も。。。

逆に非正規でも全体を見られる人はいます。自分の仕事をテキパキと終わらせ、残りの時間で他を手伝う。休んでいる人の担当する棚に補充分を出し、雑誌に付録を付け、絵本やコミックをシュリンクする。レジが手薄だと思ったら自発的に入る。

ダメな非正規は時間が余るとバックヤードでサボりがち。できる人は自分で仕事をどんどん見つけます。早めに出社するけど残業はあまりしません。つまり正社員よりも少ない給料で効率よく成果を出すのです。億単位をもらうレギュラーよりもはるかに安い年棒で奮闘する控え選手のように。

かくいう私も非正規のひとり。未熟者です。まだまだ修行が足りません。板山選手や坂本選手を見習い、新たな道を切り開けるように精進します。

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