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「元・雑誌担当」の老婆心

藤浪投手の希望は先発。しかしメジャーの各球団が求めているのはリリーフの役割みたいです。

子どものころ「週刊プロレス」を時々買っていました。ターザン山本さんが編集長だった黄金期です。文学的な文体や急角度の感性に触れ、大いに学ばせていただきました。

彼がよく唱えていた主張のひとつに「評価は第三者の下すものが正しい」というものがあります。

バイアスや肩入れ、各種の思惑とは無縁な場所で付けられた客観的採点が最も信頼できる。たしかにその通りです。

一方で「他人や世間が何を言おうと俺は俺だ」みたいな「流されない主観」を重んじる向きもあります。私の印象では、当時のターザンさんも「我が道を行く」タイプでした。

だからそこはケース・バイ・ケース。己を信じて貫く場面と他者の声に耳を傾ける局面を適切にジャッジできるように、ということでしょう。

藤浪投手が先発にこだわる気持ちは理解できます。シーズン後半のピッチングを見たら、誰もが「1イニングではもったいない」と感じたはず。ただ、固執することでせっかくのチャンスを逃してしまう可能性もあるわけです。

スターターとしてはまだ不安が残る。でもリリーフなら十分通用する。もしそれが現時点における「第三者の評価」だとしたら。

私は長年「雑誌担当」を務めていました。自分で言うのもなんですが「もったいないなあ」と考えていました。せっかく幅広いジャンルで古今の名著を読み込んでいるのに。でもいざビジネス書や専門書の担当になったら「雑誌もわかる」ことが売りになりました。主要誌の発売日や名前すら知らない書店員が意外に多いのです。

老婆心ながら言わせてもらいます。「リリーフもできる」ことが評価の理由になっているのなら、ご縁のあったポジションで働くのもひとつの選択ではないでしょうか? その経験と実績がきっと後で活きるはず。

納得と活躍を祈っています。

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