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「料金分の仕事」と「本気性」

「お客様には料金以上のものを」

ジェイク・リー選手のコメントを見て、やはり彼は全日本プロレスで育ったレスラーだなと嬉しくなりました。

90年代前半、テレビ朝日で新日本プロレスを、日本テレビで全日本プロレスを見ていました。地方大会のメインはどちらも6人タッグが多かったのですが、コンテンツの内実はだいぶ異なっていた気がします。

私の印象だと、新日本の6人タッグはそれなりの内容でした。10~15分ぐらい。手を抜いていたのではなく、おそらく大会規模やチケットの値段に相応のファイトを見せていたのです。「料金分の仕事をきっちりこなすのがプロ」という観点に立てば模範解答。もっと面白い試合を見たかったら、より大きな会場のより高いチケットを買ってくださいと。

一方、全日本はすごかった。試合時間は当たり前のように25~30分。ジャンボ鶴田選手が三沢光晴選手の膝を場外のテーブルへ叩きつけ、小橋建太(当時は健太)選手がムーンサルト・プレスで宙を舞う。決して誇張ではなく、常にタイトルマッチ級の激闘を見せていました。

80年代後半に全日本で活躍した天龍源一郎選手は、著書に「お客さんにお土産を持たせよう」みたいなことを書いています。彼の姿勢が妥協なき熱いリングを生み出したのは間違いありません。

ビジネスとしては新日本の方が賢い。効率もいい。でも見ていて胸が熱くなることが多いのは全日本でした。

仕事だから一生懸命やっている。わかっています。と同時に、素の熱意や本心からのホスピタリティーに対して我々が敏感なのもたしかです。話題性や派手さで新日本に劣っていた全日本が武器にしたのが、まさにこの「本気性」だったのでしょう。

私もジェイク選手を見習い、料金以上と感じられる良書を置き、接客面でもこの店に来てよかったと思ってもらえるように「本気性」を高めていきます。

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