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ハードボイルド書店員が「38年ぶり2度目の日本一」から学んだこと

38年ぶり2度目の日本一。

阪神ファンになってから初めて目にした栄光の瞬間です。

選手や関係者の皆さまに「おめでとう」と「ありがとう」を最大限の気持ちで伝えたい。そして改めて岡田監督の采配から学ばせていただきました。

7点リードで迎えた最終戦の9回。登場したのはクローザーの岩崎投手ではなく、2年目の桐敷投手でした。

岡田さんは「点差もあったんで負担をかけず」とコメント。その気遣いも本音でしょう。ただ私はもうひとつの意図を感じました。「スペードのエース」と呼ぶ新進気鋭の左腕に「これからはお前がチームを背負うんだぞ」と伝えたのではないか、と。

初戦と2戦目でやらかし、厳しく叱咤された森下選手はシリーズの新人記録である7打点。初戦で見事なピッチングを披露した村上投手はプロ3年目。4戦目で怪我からの復活を遂げ、オリックスに傾いていた流れを引き寄せた湯浅投手もまだ24歳です。

岡田監督は情で判断を曇らせません。大事な局面で彼らを起用し、結果を出させたのはチームを勝利へ導くため。しかし彼はおそらく、その時だけ勝てばいいとも考えていない。

85年の日本一を選手として体験した岡田さんは、数年後にやってきた暗黒時代も肌で知っています。ならば当然「同じ過ちは繰り返さない」「ずっと優勝争いができるチームを作る」と決意しているはず。

本屋も目先の数字を追うだけなら、人気作家の新刊やSNSで話題になった本ばかりを積めばいい。値段が高くて分厚い専門書や海外文学を返品し、アイドル写真集やコミックの棚を増やせばいい。でも読書の真の醍醐味やリアル書店で良書に出会う喜びをお客さんに伝えていかなければ、待っているのは暗黒時代です。

結果を出しつつ未来も見据える。覚えておきます。岡田監督がタイガースに戻ってきてくれて本当によかった。改めて言わせてください。ありがとうございました。

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