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ハードボイルド書店員が「屋外で読みたい」一冊

興味深いツイートを見つけました。

屋外で読みたい本。要は「建物の中よりも外でページを開く方が断然楽しめる一冊」ってことですよね。いつもよりも開放的な空間で、穏やかな陽光と心地良い風を浴びながらゆったり味わう読書。

私みたいなインドア派の書店員にとっては、まあまあ高難度なお題です。

身近なシチュエーションとして思い浮かぶのは、町の公園や商業施設の外側に置かれたベンチ。いわゆる「ソロキャンプ」が趣味の人ならキャンプ場で美味しい食事やお酒を味わいつつ、というケースもありそうです。

砂浜やプールサイドで本を読む人もいますよね。開いたペーパーバックで陽射しを避けながら微睡むシーンを海外ドラマでよく見掛けました。

いま書いていて、ジャン=リュック・ゴダール監督の傑作映画「気狂いピエロ」を思い出しました。

↑の予告編を見てみてください。ジャン=ポール・ベルモンド演じるフェルディナンが屋外で本を読む場面が出てきます。しかも音読。

しばらく見ていないのでうろ覚えですが、逃亡中の気晴らしにレコードを買ってきたアンナ・カリーナ扮するマリアンヌに対し、活字中毒のフェルディナンが「音楽よりも文学の方が大事だ!」と激高するシーンがあったはず。あのロケーションもたしか海辺の廃屋の前だったような。

決めました。↓にします。

昨年発売された原作小説です。初の邦訳ということで話題になりました。すぐに読むつもりでしたが映画ファンの辛口レビューをいくつか見掛け、迷っているうちにタイミングを逸しました。

フェルディナンの心情に寄せた気分で家を飛び出し、青い空の下で本書を開いたらどんな心地がするだろう? ここではないどこかへ。そんな危うい衝動に駆られるかもしれません。

興味があったら皆さまもぜひ。

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