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加速主義

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#読書の秋2020

積極的安楽死を行うスイス人医師Erika Preisig著『Dad, You Are Allowed to Die』読んだ

積極的安楽死を行うスイス人医師Erika Preisig著『Dad, You Are Allowed to Die』読んだ

少し前に触れた安楽死についての本を読んだ。

著者の本職は家庭医であり、それとは別に自殺幇助も医師として行っている。自殺幇助という訳し方があっているかどうかはわからない。本書の副題では、Voluntary Assisted Suicideという表現が使われているし、またphysician assisted suicide(PAS)という言葉が彼女の行為にたいして一番使われている。他にはself-d

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山岸俊男『安心社会から信頼社会へ』はまあまあイケナイ本だった

山岸俊男『安心社会から信頼社会へ』はまあまあイケナイ本だった

高名な社会心理学社である山岸俊男氏の『安心社会から信頼社会へ』ようやっと読んだ。

この本は、私が敬愛してやまない白饅頭ことテラケイ氏がおすすめされていたので購入したのだが、これまた4ヶ月以上も放置していたのだった。。。

本書は信頼に関する様々な研究を紹介していくものだが、テラケイ氏が言うようにそれ以上いけないことがたくさん書いてあって口角が上がりっぱなしであった。

例えば、他人を信じやすい人

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安楽死のお勉強はじめました

安楽死のお勉強はじめました

先日のニー仏さんと沼田和也(ぐう聖)先生のツイキャスで安楽死が話題になっていた。

主たるテーマはマジョリティや強者の責務とはなにかみたいな話だったけど、どうしてかそういう方向に一瞬脱線していたのをたまたま聞いていたというわけである。

今年になって安楽死、尊厳死についてなんとなく考えることが多くなっていたので興味深く聴かせていただいた。そこでお二人が紹介されていた宮下洋一氏の著作のお試し版がある

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石弘之『感染症の世界史』とても勉強になった

英検や国連英検のスピーキング、ライティング対策として感染症の歴史をざっくりと捉えておく必要があるなあと前から思っていて、たまたまどなたかが紹介されているのが目についたのが本書である。

名著『鉄条網の世界史』と同じ著者ということで購入したんだけど、いまAmazonの履歴をみるともう半年も前のことだった。でもやっと読んだのでKONAMI感想を書いてみる。

総論がまずけっこう面白くて、感染症と人類の

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尾身茂『WHOをゆく』を国連英検のために読んだ

尾身茂『WHOをゆく』を国連英検のために読んだ

尾身茂氏といえばWHO西太平洋事務局長を10年にわたって務め、同地域におけるポリオ根絶、結核激減に多大なる貢献のあった医師である。またWHOを辞めて帰国してからは2009年の豚インフルエンザ対策の陣頭指揮を取り、2011年の東日本大震災においても活躍された人物としても知られている。

尾身氏はこのたびの新型コロナウイルスパンデミックでも専門家会議を主宰し相当な貢献があったものと推察される。しかし最

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フィリップ・K・ディック『高い城の男』やっと読んだ

フィリップ・K・ディック『高い城の男』やっと読んだ

SF熱が再燃したので『三体』の次に読むSF小説を探していたのだ。

そうすると早川書房から『サイバー・ショーグン・レボリューション』とかいうものの邦訳が発売されるというではないか。

どうもこれは『メカ・サムライ・エンパイア』というものの続編らしい。
メカ・サムライ・エンパイア、サイバー・ショーグン・レボリューション、なんと少年の心をかきたてるタイトルであることか。
これは読むしかないと思った。

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『仏教思想のゼロポイント』読書メモ

『仏教思想のゼロポイント』読書メモ

魚川祐司さんの名著『仏教思想のゼロポイント』が出版されてもう5年になるが、このほどようやく3周目を読み終えたので読書メモというか感想みたいなものを書いておく。何度読んでも知的に興奮できる素晴らしい書物である。

本のタイトルは通常、出版社側が決めるものであるが、著者はこのタイトルにこだわったという。ここでいう仏教思想とは、上座部だけではなく、チベット、中国、日本、あるいは宗教色を配した形で西洋に浸

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佐藤優『読書の技法』はとても参考になる

佐藤優『読書の技法』はとても参考になる

先日某所で読書術みたいなことが話題になった。難しめの本を読むのは時間がかかるししんどいものなのであるからして、みんな自分なりの工夫をしているのである。

これは自分のざっくりした感覚なのだが、前提となる知識が身についてないような本は読むだけ時間の無駄である。なにも頭に入らないからだ。7割くらいは知っているというような本が、苦痛なく読み進めることができて、かつ知的な充足感も大きい。自分の仕事の専門分

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